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このシリーズをはじめて手にしたのは、Xiaomiという名前がまだカメラ文脈では少し異質だったころのことだ。それから3世代。毎回「今年こそ本物になったかもしれない」と思いながら、どこかで「でも、やはりスマートフォンだな」という感覚が静かに残り続けていた。

Xiaomi 17 Ultraを構えた瞬間、その感覚がすっと消えたように感じた。

フォトグラファーキット——さらなる高みへ

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Xiaomi 15 Ultraでサムレストが追加されたとき、撮影体験に対するXiaomiの本気度を素直に感じた。Xiaomi 17 Ultraのキットでは、サムレストは着脱式から標準仕様となり、ミニマムな仕上がりになっている。

なにより嬉しいことは、シャッターボタン上部にレリーズボタン装着用ネジ穴が加わったことだ。一見すると小さな変更に思えるかもしれないが、実際に手にしてみると印象はかなり変わる。

構えた瞬間の安定感。指の置き場。シャッターを切るまでの流れ。それらがごく自然に、カメラ的な体験へと引き上げられている。アクセサリーの拡張というより、撮影体験そのものを大切にしたいというXiaomiからのメッセージだと感じた。今回もnanigashiのレリーズボタンを装着している。お気に入りのレリーズボタンを取り付けられることは思った以上に喜ばしく、いつものフィーリングで撮影できる安心感は侮れない。

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また、このグリップがバッテリーパックとして機能する点も、地味に大きい。スマートフォンの撮影現場でじわじわと頭をもたげてくるバッテリー残量への不安が、物理的な安心感として手のひらに収まる。長時間の撮影でも途切れない。不安なく撮り続けられるという余裕が、制限されることのない次の一枚を産み続ける。

LEICAらしさが、ようやくプロダクトに宿った

3世代を経てようやく、と感じるところでもある。LEICAとの協業が、ロゴの共存からプロダクトとしての説等力を帯びてきたことだ。

Xiaomi 14 Ultraでその片鱗を感じたが、Xiaomi 15 Ultraでは少し派手さが際立ち、両者の哲学に少し距離を感じたところだった。今回のXiaomi 17 Ultraでは、それが刷新され、本体の佇まいにまで届いている。

ハードからソフトに目を向けると、通常モードでのJPEG/HEIF撮影では、LEICA LOOKの切り替えにより、色表現をその場の環境に柔軟に合わせることができる。プロモードでは RAW撮影にも対応しており、後処理を前提としたワークフローにも無理なく応えてくれる。この二層構造が、撮り手のスタイルを問わず受け止めてくれる懐の深さになっている。

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ひとつ正直に書いておくと、動画のLog撮影に辿り着くまでのUIは少し分かりにくかった。プロモードから、さらに動画のプロモードへ切り替える必要があり、慣れるまでに少し時間がかかった。ここの導線はもう少しシンプルになってほしいというのが、動画を撮る立場からの率直な声だ。画面の撮影もしくはRECボタンの上にカメラアイコンがみえるが、ムービーのアイコンがそれとわかりづらかった。

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プロモードの写真の様子
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プロモードの動画の様子
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手ぶれ補正とズーム機能

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静止時の手ぶれ補正は非常に高い水準にある。100mm以上の望遠域を使っていることを忘れさせる、ピタッと止まる安心感は使っていて素直に頼もしい。

一方で、動画撮影時の移動を伴う動き出しでは、わずかな"タメ"を感じる場面があった。「スムーズ」というより「制御された動き」による印象で、大きく動かす分には問題なさそうだが、繊細なカメラワークには少し慣れが必要かもしれない。このあたりの感触は、使い込むうちに自分のリズムとすり合わせていく部分だと思っている。

75–100mm:連続する望遠という新しい体験

本機の最大の特徴のひとつは、75mmから100mmをカバーする望遠ユニットにある。従来のスマートフォンは、3倍・5倍といった"段階的な切り替え"によって焦点距離を変えていた。しかし17 Ultraでは、機械式の可変光学ズームによって、75mm・85mm・90mm・100mmといった画角が滑らかに繋がる。

UIの「3.2-4.3」という他のスマホにみない表記は、一本のレンズで可変することの主張の表れだ。

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ポートレートなどの撮影において、繊細なフレーミングで追い込む場合、レンズとセンサーが切り替わることのストレスは実に大きい。この焦点距離がシームレスに一本で完結することの意味は、本気で使いこなそうとするユーザーにこそ恩恵が大きいはずだ。

なお、ズーム機能については、注意すべき点がある。通常モードでは8.6倍の高倍率まで扱えるのに対し、プロモードでは4.3倍までと制限がかかる。この特性を踏まえると、RAWで徹底的に追い込むよりも、通常モード+LEICA LOOKで撮影、広角から望遠までを余すことなく駆使し、その場で仕上げる方がこの機体の本質に近い気がしている。

これは、"追い込むカメラ"ではなく、"瞬間を完成させるカメラ"だ。

高級コンデジを圧倒する超高画質の液晶画面

ディスプレイは単なる高精細・高輝度という言葉では収まりきらない完成度にある。

特に印象的なのは、屋外環境における視認性の高さだ。強い日差しの下でも、ハイライトやシャドウの情報が潰れることなく確認できるため、その場での判断精度が明確に変わる。

また、色の階調やコントラストの再現性も高く、撮影直後のプレビューがすでに"仕上がり"に近い。後で確認するのではなく、その場で完結させるという本機の思想と強く結びついている。

これは単なる表示性能の向上ではなく、撮影体験そのものを支える要素として機能している。この液晶画面の性能こそ、コンデジやミラーレス機にもないスマホならではの強みの一つだ。その部分についても、前世代からの進化を感じた。

ディスプレイには、画素配列をRGBに適正化した新型『Xiaomi HyperRGBディスプレイ』を採用している。フルRGBサブピクセル構造を導入することで、赤・緑・青の各サブピクセルを最大限に活用することが可能だ

何気ない日常にもう一度カメラを向けたくなる

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趣味のトレイルランニングで訪れた千葉県の御宿。

保養所としても使われている海辺のマンションの一室にその日は宿泊したのだが、昭和を匂わせる内装を広角と標準域で写し止めた。

ミラーレスなら億劫に感じる瞬間も、スマホでなら話は別だ。ポケットからさっと取り出し数枚を撮影。焦点距離に柔軟性があることで、画作りにも幅を持たせることができる。

レトロな佇まいは落ち着いたLEICA LOOKとも相性がよかった。

作例による比較

焦点距離別の比較

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朝焼けの波模様を、46mmから200mmまで4枚に分けて撮影してみた。どの焦点距離でも、それそれの状況に合わせた緻密で繊細な描写をみせてくれた。

もちろん、広角を選べば目の前の景色を階調豊かに余すことなく収めてくれる。圧倒的な快適さに、ミラーレス機の出番は想定以上に限られてしまった。

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撮って出しとRAW現像の比較

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撮って出し(左)とRAW現像(右)
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撮って出し(左)とRAW現像(右)
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もちろんRAW現像ができないわけではないが、撮ったその瞬間に完結できる手軽さを楽しむことの方が、Xiaomi 17 Ultraの撮影体験を最大化してくれると感じた。

ムービー

時間の都合で簡単なものになるが、Log撮影したムービーも用意した。 ポケットからさっと取り出す前提で、セッティングはほぼAutoで撮影している。撮影後はDaVinci Resolveで、ごく簡単なカラーグレーディングを施した。

参考までに、以前のレビューで制作したXiaomi 14 Ultraのムービーも一度チェックしてみてほしい。

Road movie / shot on Xiaomi 14 Ultra Log & Color Graded.

クラシックやクールなど、本体内にもいくつかLUTは存在するが、あらかじめDaVinci Resolveなどで作成した、オリジナルのLUTをインポートすることも可能だ。

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Xiaomi 17 Ultra / 写真作例

問いを突きつける完成度

Xiaomi 17 Ultraを使い込んで、ひとつ確信したことがある。

高騰し、入手も難しくなっているコンパクトデジタルカメラを選ぶ理由は、本当にそこにあるのだろうか。ポケットに収まり、即座に撮れて、しかもその場で"作品として成立する"。この完成度を前にすると、コンデジの立ち位置が静かに、でも確実に揺らいでいるのを感じる。

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3世代を通じて見てきた側から言えば、Xiaomi 14 Ultraが先駆者としての役割を担い、Xiaomi 15 Ultraで哲学と機能が溶け合いはじめ、Xiaomi 17 Ultraでそれが"佇まい"にまで到達した。機能の積み上げではなく、スマートフォンがカメラになるとはどういうことか、その問いに対する答えがこのプロダクトには垣間見える。

スマートフォンの延長ではない。もう一つの選択肢としての、完成されたカメラ。それが、いまここに誕生したのではないだろうか。

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宮下直樹(TERMINAL81 FILM)|プロフィール
フリーランスのフォトグラファー・シネマトグラファー
写真・映像、ドキュメンタリーから空撮まで。
視覚表現の垣根を超えた小さな物語を縦横無尽に紡ぐ。
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