まず1番最初に気が付いた点としてはワイドなレンズ。普段DVX系をよく使用し、PD系も使用するので気付きにくかったのですが、「あれっ?結構画が広く撮れてる・・・」で資料をみたらなんと29.5mm(35mm換算)!!市場に出回っているカメラ(民生、業務用含め)の中で1番?広いのでは無いでしょうか?狭い室内でも無理なく撮影が出来る感じです。

広いレンズを採用した事により、ワイドコンバージョンレンズを使用しなくていいのでカメラのバランスも手持ちでも問題無く、そもそものカメラの重さも軽く(HVR-Z1Jとかに比べると)長時間の撮影でも問題は無いでしょう。

操作性

次に挙げられるのもレンズ周りなのですが、絞りの明るさ。SONYのHDVのカメラは意外と開放でも暗かった印象が強いのですが、HDR-FX1000は暗いと感じませんでした。実際に番組の収録で使用してみたのですが、DSR-500やDSR-300などのSD系ENGカメラとモニター上であまり差を感じ無い位の明るさと解像度の良さでした。意外とHDで撮影出来る機種はSDで収録をするといい結果が得られない事があったのですが、そんな問題も無く快適でした。

このサイズのカメラには珍しいのはIRISリングでしょうか。業務用・放送用のENGカメラを普段使用している人でも使い易い感じに、フォーカス・ズーム・IRISとリングが並んでいるのでIRIS調整が即座に行えます。マニュアル操作でもいいのですが、オートIRISにした時の反応の良さにもびっくりしました。意外とマニュアルで操作するより、早くて適切なF値を出してくれるかもしれません(笑) このオートIRISは高速・中速・低速から選んで使用する事が出来るので好みのスピードで使用が可能になっています。

ズームリングの性能アップも見逃せません。電動式によるリングを回してからのタイムラグがだいぶあるのが今迄のカメラの特徴でした。HDR-FX1000は機械式に近い感じのリングに対する反応があります。ここまで反応が良くなればもう問題は無いでしょう。電動式なので切り替えスイッチを触る事なくカメラにある3つのズームレバーで操作が可能です。

この系統のワイドレンズには無かった20倍ズームはとても便利でしょう。デジタルエクステンダーも併用すると、30倍まで使用可能になり至近距離から望遠まで本当に広い範囲をカバーしています。

小さな点かもしれませんが、NDフィルターが3段階に増えていて、1/4・1/16・1/64となっていて意外と使い易いのが1/4の設定だと思います。通常だと1/8が最初なのですが、その半分の1/4だと微調整が楽になるのでは?と思いました。そんな明るさ関連の機能のひとつとしてびっくりしたのが、オートゲインの機能です。通常、業務で使われる人はオートゲインは使わないでしょう。僕もその一人なのですが、番組収録の際に何の気無しにオートゲインのスイッチを入れたら(照明のセッティングも終わった後)IRIS、シャッター値は変わる事無く、少し暗くなったのです。もちろんマニュアルで設定した時はゲインは0dbでした。という事は、バリカムやHDW-F900Rなどで映画撮影をする際は-3dbでやることが多いのですが、そのマイナスゲインがオートゲインでは自動的に行う事が可能みたいです。これにはビックリしました。

外観だと、大型バッテリーがすっぽり全部納まる取り付け部も嬉しいです。大型バッテリーを使用するとどのカメラも出っ張りが気になり重量バランスも悪く成りがちでした。そこを行くとHDR-FX1000は大型バッテリーの使用を前提に設計されたかの様な感じです。

あとはやっぱりプログレッシブ収録でしょうか。24P、30P収録が可能(実際には60iに変換されて収録)になっている点です。これは民生レベルでは使い余る機能かもしれませんが逆に言えば業務でも使用できるレベルの綺麗さになっています。もちろんそれに合わせたシネマトーンガンマも準備されていていつでも自主制作の映画や音楽PVの撮影に活躍するのではないでしょうか?

総評

今までの民生レベルのカメラでは無い事は確かです。ほぼ「業務用」です。「やりたい事」と「やれる事」がこのカメラ1台で実現可能になっています。新しくHDが撮影出来るカメラを探して悩んでる人は多いと思います。このカメラ(HDR-FX1000)で満足出来るはずです。実際僕は欲しくなりました(笑)

筆者プロフィール

船迫 誠(ふなさこ まこと) 有限会社ファンタビット 代表
地上波番組制作、音楽PV、企業展示映像を中心に映像制作業務を行っている。最近は映画の撮影・VE・編集にも携わっている。個人的にDJ稼業にも精を出してVJからDJへの転身を図っている。

このコーナーは、今業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にPRONEWSからお願いをして実機レポートをしていただくコーナーです。

「ここは予想以上に素晴らしかった!」「ここは期待した程ではなかった・・・」等々、メーカーカタログには記載されない、実際に使ってみてどう感じたのか、リアルな声が聞けるかもしれません。

同じ機材でも、レポーターさんの使用目的等によって着目点やその感じ方が違うことも非常に有益な情報になることでしょう。

これからも順次掲載予定ですのでどうぞご期待ください。

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業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。