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Blackmagic Designの発表によると、Company 3のスティーブン・ナカムラ氏が、DaVinci Resolveを使用してディズニーのSF映画「トゥモローランド」をグレーディングしたという。同作は、Dolby Visionでリリースされる最初の作品で、ナカムラ氏はDaVinci Resolveを使用して新しくDolby Visionプロジェクト用のパスを作成した。

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「トゥモローランド」は、これまでに「Mr.インクレディブル」、「レミーのおいしいレストラン」の2作品でアカデミー賞を受賞したブラッド・バード氏が監督し、「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」でアカデミー賞を受賞したクラウディオ・ミランダ氏が撮影を担当している。同作品は運命を共有するという形で結びついている、かつての天才少年フランクと、科学に対してあふれんばかりの興味を抱く明るい少女ケイシーが「トゥモローランド」として共有された記憶のどこかに存在する地の秘密を掘り起こすというストーリー。

ナカムラ氏:「トゥモローランド」は現実世界よりも幾分か明るくサチュレーションが高いのですが、黒つぶれや白飛びはなく、極端なルックの世界ではありません。私はエフェクトをわずかに調整して滑らかにするためにDaVinci Resolveで多くのPower Windowを使いました。同作ではワイルドかつ精巧なビジュアルエフェクトが多用されており、全体を見たときに他のショットとの関連で常にグレーディングで向上させられる要素がありました。

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ある登場人物が初めて「トゥモローランド」に足を踏み入れるシーンでは、驚異的なVFXシーケンスが使用されているという。

ナカムラ氏:この約2分のシーンには、Industrial Light & Magic(ILM)が作成した膨大な数のエレメントが使用されています。彼らがエフェクトを作成している間に、私はILMのスタジオでカラーグレーディングを行いました。DaVinci Resolveのカラーマッチのソフトクリップ、ハイライトツール機能やクロマキーを使ってフレームの一部のサチュレーションを調整したのです。

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ナカムラ氏はまた、Dolby VisionパスでDaVinic Resolveのソフトクリップ/ハイライト機能を使用したという。

ナカムラ氏:従来のDシネマP3フォーマットをPQフォーマットに変換する際、フレーム内の明るい部分を2倍の明るさにでき、さらに非常にディープなブラックを得られます。ブラッド(バード監督)とクラウディオ(ミランダ撮影監督)はこのハイダイナミックレンジをさりげない方法で利用することに関心を持っていました。多くのDolby Visionグレーディングとは、まさに素材を再解釈することです。より幅広いダイナミックレンジに対応していても他のエレメントを圧倒することはありません。例えば、ランプなどのフレーム内の明るい部分が俳優の顔よりも強調されることはないのです。

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ナカムラ氏:Dolby Visionパスは、ハイライトの部分をこれまでのDシネマでは見たことのないほど明るくできる可能性を持っていますが、私はDaVinci Resolveのソフトクリップおよびハイライト機能を多用し、Dolby Vision 31.5 ft-L(フットランバート)を使って、標準の14 ft-Lバージョンが持つ雰囲気を維持するようにしました。