Hollylandは、ワイヤレス伝送システムやワイヤレスマイクなど、ビデオソリューションにおけるトップメーカーとして確固たる地位を築いている。特にここ数年は、インターカムシステム「Solidcom」シリーズが映像業界で圧倒的な存在感を示しており、ブランドイメージが同シリーズへと塗り替えられつつあることも否定できない。

その一方で、本来の強みであるビデオ伝送分野においては、国内の電波規制等の影響により最新モデルがタイムリーに投入されない状況も見受けられていた。主力カテゴリーにおけるこうした足踏みは、新製品を待ち望むファンにとってもどかしい時期であったといえる。しかし、今回のCP+2026で目の当たりにした「Pyro Ultra」は、そんな停滞感を一気に吹き飛ばす、まさに真打ちの登場といえる出来栄えであった。

このPyro Ultraのポテンシャルには驚かされた。公称の伝送距離が1.5kmと聞いた際、正直「見通しの良い理想環境での話だろう」と考えていた。ところが、パシフィコ横浜の展示会場という、あらゆる無線が飛び交う過酷な電波環境下で行われたデモは、予想を遥かに超えるものだった。スタッフがカメラを担いでブースを離れ、会場の端にあるキヤノンブースやハクバブース付近まで到達しても、手元のモニターに映し出される4K60Pの映像は一切乱れることがなかった。通常のワイヤレス機材であれば、隣のブースへ移動しただけでブロックノイズが発生してもおかしくない状況である。それが会場を縦断するほどの距離でも、極めて安定した伝送を維持していたのだ。

機能面でも抜かりがない。2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンド同時伝送技術により、接続の安定性は驚異的だ。また、遅延を最小限に抑える「フォーカスモード」は、フォーカスプラーがワイヤレスでピント合わせを行う現場でも十分に通用するレスポンスを備えている。個人的に感じたのは、低遅延モードを選択しても画質の劣化がほとんど気にならないレベルであったことだ。クライアント向けのモニター出しから、シビアなオペレーションまで、これ一台で完結できる汎用性がある。

価格は10万円台前半となる見通しだ。性能を考慮すれば、この価格設定は極めて合理的であり、コストパフォーマンスは非常に高い。プロ仕様のワイヤレス伝送をより身近にする、実用性の高い製品といえる。

映像の途絶が許されない現場においても、本機は十分な信頼性を備えている。今回の取材を通じ、Pyro UltraはHollylandのビデオ伝送システムを再評価させるに足る、重要な存在になるといえる。