REDと西華産業が合意
RED Digital Cinema(米カリフォルニア州レイクフォレスト、以下RED社)の販売スタイルは、ダイレクトセールス(直販)を基本にしており、メンテナンスなども直接行うという方法を採っていた。これは、リセラーが入ることでカメラ本体の価格が上がってしまうことを良しとしなかったということに尽きる。RED社のカメラ提供コンセプトには、ユーザーができるだけ安い価格で手に入れ、安いコストで高画質な作品を作って欲しいという願いもあった。
確かに、4K解像度のカメラ本体が、わずか17,500ドルで購入できるということは衝撃を与えたが、日本市場においてはコストメリットだけではなかなか浸透していかない。英語でのやりとりに対する不安はもちろん、メンテナンスや技術サポートがすぐに得られるかといった面を考えれば、日本代理店がないRED ONEは不利であるとも言えた。
こうした状況もあって、各種機器の総合商社である西華産業(東京都千代田区)は早くからRED社とコンタクトを取り、2006年春から国内販売代行とRED最新情報の提供を行ってきた。こうした地道な活動とともに、日本市場の特殊性を訴えてきた西華産業は、このほどRED社と正式にアジア地域のテクニカルサポートセンターとして契約を締結した。これまでと同様に、販売についても行っていく。2009年6月から西華産業から購入したユーザー向けに業務を開始しており、7月中旬からは一般のユーザーも含めてテクニカルサポートを行っていくという。サポートについては、Webサイトでの情報公開をはじめ、西華産業からの購入者を対象に情報交換会や教育サポートなども実施する。
サイトでの情報提供と教育プログラムを実施
西華産業でRED社製品を取り扱ってきた部署である東京営業第二本部 営業第三部第二課 デジタルイメージングチームの板倉正幸氏に、テクニカルサポート業務について聞いた。
──今回、テクニカルサポート業務を正式に行うようになった経緯は?
板倉氏:RED Digital Cinemaは直販をベースにしながらも、ワールドワイドで6,000台のRED ONEを出荷しています。日本では、100台以上が使われています。RED社はRED ONEを市場に出すという1stステージを終え、2ndステージとして、より利用する機会を増やしていくことを考えています。そのためにメンテナンス性を向上させていくことになりました。昨年11月のInter BEE以降、RED社と話し合いを続けてきましたが、今回正式にアジア地域のテクニカルサポートセンターとして活動することになりました。
──このアジア地域とは?
板倉氏:RED社のアジア戦略にも関わってくるのですが、日本のユーザー数はアジア地域でトップという状況であることです。そこで、日本で優先的にテクニカルサポートを設置し、アジア地域全体のサポートを行っていくことになります。日本以外ですと、まずは中国、香港、台湾、韓国のユーサーに対するテクニカルサポートとセールスとなりますが、それ以外の地域についてはRED社と協議中です。
──サポートは東京で行っていくのですか?
板倉氏:中国、香港、台湾、韓国には当社の支店があるので、将来的には各支店で行えるように計画していますが、まずは東京で行っていくことにしています。
──各社のノンリニア製品もRED ONEの対応を進めてきていますが、テクニカルサポートの範囲はどうするのですか?
板倉氏:当社で扱うテクニカルサポートは、RED社が提供しているハードウェアとソフトウェアに限ります。各社のノンリニア製品とのマッチングなどについては一切タッチしません。RED社製品と各社の連携に関する情報公開はしていかねばならないとは思っています。
──この情報公開の方法については?
板倉氏:RED OwnerサイトとRED Userサイトという、2つの取り組みを考えています。RED Ownerサイトは、当社から購入したオーナー向けの情報公開サイトとなります。これにはRED社の最新情報なども含まれます。このサイトの一部で、一般情報として公開できるものについてはRED Userサイトとして展開していくという考えです。
──サイト以外の取り組みはどうなりますか?
板倉氏:RED社製品をいかに使うかという部分は、教育の範囲だと思っています。そのため、オーナー向けの教育プログラムREDucarion(注:RED EDucationから来る造語)として、ソフトウェア面、ハードウェア面に分けて、運用方法を学んでいく機会を設けていきます。RED社も教育プログラムを検討している段階ですが、同様の内容で行っていく予定です。実は、オーナー向けには、最新情報をリリースするRED Dayというイベントをすでに実施しています。まだ1回目を行った段階ですが、60人以上のオーナーが集まって情報交換しました。これも年数回のペースにしていこうと思っています。第2回目は、今年RED社が発表したレンズセットRED PRO PRIME SETがそろそろ入荷する時期なので、このタイミングで行おうと考えています。