最終日、事前予想に反して、かなりの盛況だったように見えたInterBEE2010。過去最多の出展者824社(うち海外:478社)、1,345小間を出展し、登録来場者数31,567人とほぼ例年通り。屋台村系出展社増で、市場も新たな展開を見せそうだ。最終日ということでWonder7もなぜか大盛りの3日目のまとめ。やはり収穫はでかいようだ。最後に140文字をはるかに超える熱い思いをまとめとして本年は、手仕舞い。また来年!

小寺信良
@Nob_Kodera

最終日の今日は、KDDIのブースでTwitterのユーザープロファイルを分析するツールを取材した。過去の発言から、性別、年齢、住んでいる地域、趣味、職種などが解析できるとしている。また特定のクラスタの統計や、個人の発言を番組の中で利用することもできる。そうしたものをテレビの中で見かける日も近いだろう。これに対して、放送局にプライバシーが筒抜けになるのではないかという批判もあるだろう。しかしそれは、お互い様と言える状況になりそうだ。

この動きよりも先に、まずユーザーの家庭の中で、テレビ放送とTwitterが合体する。SCEがプレイステーション3用のテレビチューナー、トルネのアップデートとして、Twitterのタイムラインをテレビ画面に合成する機能を提供するという。

これまでテレビ放送は、一方的に情報を投下するマスメディアの王様として君臨してきた。ソーシャルメディアはそこに市民の目として存在してきたわけだが、それが一つの画面内に同居することになる。当然番組は、厳しい看視と批判に晒されることになるだろう。各個人が批判することは放送業界にとって何ということもないが、それが社会の中で素早く共有されることになる。

そんな中で映像業界側の課題は、多くの人がIT技術やソーシャルメディアに疎いという事である。InterBEE会場でTwitterを駆使して、情報交換しながら会場を回っていた人は、まだほんの一握りだ。筆者と同年代の人間はみな、ポスプロで技術部長になったり、起業して社長になったりしている。だが、そういう決定権を持った人間が、Twitterも知らないしUstreamあーUstreamね、うん聞いたことある、 というレベルなのだ。

ソーシャルメディアの価値や可能性、こればかりは自分で体験しながら掴むしかない。映像ビジネスの種は沢山転がっているのに、それに気づいている映像業界側の人間が本当に少ないということが残念だ。今後は映像業界とIT業界がどんどん混じって行き、境界線がなくなっていく事が予想される中で、そこに乗り切れない人たちとのデバイドが顕著化していくかもしれない。

手塚一佳
@tezukakaz

最終日は、見そびれていた大型ブースや国際展示場のスイート展示を中心に回った。単純に各社のカメラを触り比べた結果、今回の手塚的NO1カメラは、パナソニックの「AG-AF105」。一眼レフや同等他社製品に比べて価格帯が若干高いが、偽色防止のHD用センサーフィルタを実装、PLレンズの利用を初めから考慮するなど、一眼レフの箱を組み直しただけのものではなくゼロから映像カメラ用に再設計したことが伺える、真面目なカメラだ。

開発者の方に「フルHDの60Pって本当に要りますかねえ?」と聞かれたので、素直に「当面要りません。作り手は30Pでも大変です」と答えておいた。とはいえ、実はAG-AF105はセンサー出力60Pが可能。AVCHDの収録都合で、それを24Pのスローモーション扱いに落として収録する形になるので、あとでソフトウェアでタイムリマップすればいい、という話。その他には、KenkoさんのバリアブルNDXが魅力的。これはなんと、PLフィルタのように先端部分を回転させるだけで色合いがND2.5~450間で無段階に変化するフィルタ。参考出品のものを実際に触ってみたが、こうした動的変化の可能なフィルタは光の変化のある場面での一眼レフ動画には必須になるフィルタでは無かろうか?さすがKenko。世界の一流メーカーだ。このように、2年前、DSLRから始まった大判素子&レンズ交換式の流れは、ここに来て、いよいよ準備万端ブレイク直前という雰囲気になった。恐らく来年のInterBEEまでの一年、この奔流が映像業界に溢れかえるのだろう!

石川幸宏
@seabirdsYI

DSLR周辺機器の代表メーカー米redrockmicro社の製品を扱うライトアップからのオリジナル新製品『BP-V3』は、バッテリー用三脚プラットフォームに、Canon EOS 5D markⅡ/7D用の8Vカプラーと、14Vのモニター用スルーアウト、さらに12Vコンバーター用ミニピン(専用ケーブル付)を備えている優れもの。定価57,000円(税別)。

駒村商会からはティルト&シフトレンズコントロールシステム「TS-pro」DSLRやAG-AF105、RED ONEなどに装着し、蛇腹式のアオリレンズアクションでピントをコントロール。PLマウントレンズも注目製品が続々登場。Scheider KreuznachのCine-Xener Lensesシリーズは、25mm/T2.2 〜 95mm/T2.0までの5本のシネプライムレンズが、全て同じ大きさの鏡筒サイズに設計したことで1本698,000円という低価格を実現。

岡英史
@VIDEO_NETWORK

今日が最終日。若干自分自身が疲れて居る事を自覚しつつ取りあえず場内にて簡単なインタビュー。まずは多種多様なフィールドミキサーで有名なPROTECHを覗いて見ると、なにやら今時のAV満載の車の様に映像が溢れてる。

新製品であるマルチモニターの展示だが中々面白い。モニター自身もVFモードを始め色々な機能を持っていて単にモニターと言う括りではない。次にホール移動をしてもう一度SONYブースへ。昨日みた低価格LCDモニターを確認しつつ、次に音響系のブースで一際白色が目立ったオーディオテクニカへ。最近USTでの音声収録で流行りつつ在るのがバウンダリーマイクを確認するとタリー付きの物が中々新鮮。ボディ自体を白色にするオプションも在ると教えて貰いつつ帰路につくと、ドリー専門?のブースが。特にフロートカムがモービル系のスタビライザーとしてはかなり振動吸収が良く是非一度使用してみたく交渉しようと思ったら何と自分の知り合いであった。業界の狭さを感じつつ2010INTERBEEを終了した。他にも色々面白い物や興味深い技術も沢山あったので何れか早い内に何処かで紹介したいと思う。

猪蔵
@inozo

最終日もPRONEWS Loungeの演出で気づくと撤収中…。とほほ。「結局も一歩も回れてないし!」とうなだれる自分。でも大丈夫。この3日間ラウンジで、番組を見ることによって出演者たちの濃厚なレポートですっかり学習は完了!自分的に面白いのは、映像業界の人間と、IT側の人間の邂逅が始まったこと。両方を行き来する自分のミッションはこの両側のギャップを埋める通訳になることなのだなと確信!結局会場に行けなかった僕は、一つまた大人になったのである。

高野光太郎
@takanok

ボクの周りから聞こえてくるのは、ProRes422レコーダーの「Ninja」。ProResレコーダーの火付け役AJAからはKiPro miniが登場。外部レコーダー戦国時代に突入している感じを今年は受けました。

価格だけでそれぞれを比較しては本当の機能を見落としてしまいます。HDMIのイン・アウトやHD-SDI端子の有無、コンバート機能など細かく実機を自分の目で確かめなければ、確かな情報にはありつけません。これは会場に来て、質問し、見比べるのが一番!やはり今年のInterBEEは、立体視の機材展示が多く見かけました。立体視の撮影は、2倍大変だと言われますが、編集は二乗以上大変。そこで、立体視のキャリブレーションに強力なツール「NUKE」のセミナーをする「インディゾーン」ブースもUst で取材しました。開発本社からスタッフを招いての同時通訳セミナー。これもInterBEEの会場に来ないと得られない知識やTipsが盛りだくさん。

最後に、今年は本業の映像作業が立て込んでいたでPRONEWSの取材が無ければ、InteBEE2010には行かなかったかもしれません。しかしPRONEWS Ust生中継のお陰で、今年も自分の足で情報を探すというコトが出来ました。お陰さまで様々な出会いと情報を得られました。来場できなかった方々も来年は何とか一日でも会場を歩いてみてはいかがでしょうか。