txt:江口靖二 構成:編集部
思えば薄くなったものだ…
軽くて、薄くて、高精細。ディスプレイは様々な方向に進化している。今後ますますいろいろなシーンで使われていくであろうディスプレイ利用がCESにはたくさん提案されている。会場では一対何枚(かつては何台?)のモニターが使用されているのだろうか?展示会が始まり今年は、昨年より確実に来場者は激増。どこに行っても薄型モニターの前には黒山の人だかり。そんなにテレビが好きなのか?というくらいの反映ぶりである。そんな山積みモニターの切り口でいくつか紹介していこう。
4K2Kは大画面とは限らない パナソニックの20インチ4K IPSα液晶ディスプレイ
CES2012でのディスプレイ関連のトレンドのひとつに4Kや8KといったフルHDディスプレイの4枚分、あるいは16枚分に相当する解像度の展示がある。こう書くと4倍や16倍の大画面をイメージしがちであるが、解像度と画面サイズはイコールではない。
パナソニックのIPSα液晶ディスプレイは4K2Kの解像度で画面サイズは20インチである。通常のディスプレイの4枚のサイズは一般家庭では設置が難しいため、20インチといったむしろ小型のサイズで高解像度を実現させることによって、見た目の印象も含めてより高精細で、設置もしやすく大きなセールスにも結びつけようというものだ。実際にデモ映像をみると人間の目のほうが追いつかかいといった印象がするほどディテールまでも再現される。やがてはベッドサイドのテレビも4Kという日がじきにやってくるのだろう。
メガネがないのはやっぱりいいね、東芝のグラスレス3Dディスプレイがさらに進化
東芝のグラスレス3Dディスプレイは何度目の展示会登場だろうか。昨年のベルリンでのIFAや、日本のCEATECからまた一歩リアルさを増して、4Kのモデルが展示されていた。昨年のCESではまさに各社とも3D一色であったが、メガネを掛けさせられるという非日常的な行為だけが原因ではないだろうが、国内の実際の3Dは期待ほど盛り上がっているとは言えないのは周知の通り。
東芝のグラスレス3Dはレンチキュラーレンズを可変させるという高度な技術であるが、その自然さは眼鏡なし部分もあわせてなかなかリアルだ。映像を見ていると我々が求めているのは決して立体視ではなく臨場感であることがよくわかる。他にも数社からグラスレス3Dディスプレイが展示されているが東芝がアタマ2つ以上先を行っている。
GoogleTVのリモコンはやっぱりキーボード付き
ソニーのGoogleTVリモコン
初代のGoogleTVのリモコンは、テプラかと思うくらいのキーボードがどう見ても操作する気分を失わせるものだった。販売も絶不調で、ロジテックは撤退。代わりにサムスン、LG、Marvellなどが新規に参入した。これまでの不振の理由は、テレビ局側のメリットを見いだせないためにコンテンツが出て来ないことも大きな原因だ。12日に行われたYouTubeの基調講演でもGoogleTVに関する発表もなく、先行きは見えない。
初代のバージョンよりは確かに操作性は上がったのだが、テキストベースの検索から話が始まるという点は変わりがないようだ。そうである限り、事前にテレビ局からの放送メタデータを入手してサービス化することが不可欠なのだが、テレビ局と協調できる絵が未だに見えない。
LGのGoogleTVリモコン
いつでもどこでもフリースタイルAQUOS
日本ではすでに発売済みのフリースタイル シャープアクオスが米国デビューした。サイズは40、32、20インチの3モデル。20インチタイプは内蔵バッテリーで2時間の視聴が可能だ。
デモンストレーションはファッションショーを模していて自由な視聴スタイルをアピールしていた。iPadなどのタブレットと被る部分もあるが、リビングから寝室、キッチンへというニーズは確かにあるように思う。またデモでは40と32インチはバッグの中にバッテリーを入れているようで、見た目にはワイヤレスでステージを自在に歩きまわっていた。商業施設やイベント、またデジタルサイネージなサンドイッチマンのニーズは冗談ではなくあるように思う。