4Kについて考える2012夏

201207_0_panasonic.JPG

NAB2012でも各社から4K対応の製品が多数出品された。パナソニックは、4Kカメラのプロトタイプを出品

2012年の映像トレンドは、これまで数回取り上げてきた「High Resolution(高解像度)」である。High Resolutionとは、4Kといった空間的な映像表現の広がりとハイスピード撮影が持つ時間的な映像表現の可能性を併せて指すものだ。次の主戦場となるその舞台こそが正に高解像度の世界であるといえる。規格だけの話が先行しているが、実際に2012年夏の現状はどうだろうか?

090120a_1.gif

映画、通信会社により4K伝送実証試験が数年前から行われている(Via 4K PURE CINEMA)

4Kはデジタルシネマの領域で一般のビデオ制作では関係無さそうだが、NABを始めとしたビデオ関係の展示会などでは、ソニーやパナソニックといったビデオカメラメーカーだけでなく、キヤノンやアストロデザイン、朋栄といったメーカーからも4K対応のカメラの他、対応する関連製品としてレコーダーやモニター、編集ソフト、コーデック等も各社から出展されている。

一方、民生機のTVモニターも4K対応の製品が幾つかのメーカーから発売されているほか、民生用のカメラもCESなどでは試作品がやはり各社から出展されている。国内のこうした電機メーカーはテレビ事業における巻き返しを4Kにより図ろうとしている。

もちろん地デジによりやっと昨年ハイビジョン放送に移行したばかりの今、すぐに放送で4Kということにはスポンサー等営業的な側面からもありえないことだが、国内ではスカパーに代表されるCSや既に基幹となる伝送路のほとんどが光になったCATV、インターネットの通信網など4Kを家庭に送り届ける手段はいくつかある。ビジネスモデルとして営業的に成立すれば、技術的にはすぐにでも対応できる状況といえるだろう。

映像制作に携わる者として、もはや4Kは他山の石として傍観している場合ではない時期にきているといえよう。とはいえ、現状の4K制作環境はまだ完璧とは言えず、規格的にも定まっていない部分も多々あるのが現実だ。4Kはなんでもアリの無法地帯ともいえるが、製作者が意図したシステムを組める可能性も秘めている。

計測技術研究所は、すでに8Kも視野に…

カメラを始めとした制作機器も既に様々なものが発表または発売され、すでに4Kでの制作も始まりつつある。5月6月と続けてきた次世代の映像表現であるHigh Resolutionのテーマの中でも、やはり空間的な映像表現の広がりである4Kを今一度、取り上げる。各社の取り組みや制作サイドから見た4Kについての現状や問題点、今後などについてまとめてみよう。

txt:稲田出 構成:編集部


[4K High Resolution!] Vol.01