平均ラウドネス値整備で変化する音の世界
オーディオにおける大きな動きは、ラウドネスメーターによる平均ラウドネス値による運用が10月から開始されたことであろう。音声レベルの基準がVUだけでなくT032(民放連・ARIBはTR-B32)による基準で運用することが必須となり、対応するメーターなどの機器が各社から多数発売されている。
アナログ放送の時代は主に過大入力による過変調を防ぐためにレベルの上限か規定されていたので、VUメーターやピークレベルメーターによる運用だったが、デジタル放送になり、局間やプログラム(番組やCMなど)の違いによる聴感上の違いをなくそうというもの。人のもつ周波数特性やマスキング特性、時間特性などをモデル化し、ラウドネスレベルとして規定し、数値として表示するほか、波形表示や解析機能を持つものなど用途によって様々なラウドネスメーターが商品化されている。
レコーダーはすでにマルチチャンネルのものや小型レコーダーなどが様々なメーカーから発売されているが、HDの映像も記録できる小型レコーダーやビデオレコーダーを発売するメーカーなども出てきており、ビデオ/オーディオのボーダーレス化の傾向が見られる。もちろんオーディオメーカーとしての特徴的なエッセンスが残っており、オーディオ重視でビデオも収録という用途には良いかもしれない。
PRONEWS AWARD 2012 オーディオ部門ノミネート製品
- ティアック DR-V1HD
- アストロデザイン AM-3805/AM-3803/AM-3800-D
- Jünger Audio D*AP LMシリーズ(オタリテック)
- ローランド R-88
- ヤマキ電気 YLM-M2022
- AKG PERCEPTION 220
- Q Sniper Pro Kit
何が受賞するのか…?
PRONEWS AWARD 2012 オーディオ部門受賞製品発表
オーディオ部門 ゴールド賞 |
AM-3805/AM-3803/AM-3800-D アストロデザイン |
同社は編集・制作用、送出・解析用などラウドネス関係の製品を複数製品化している。写真はGrass Valleyの編集ソフトEDIUS用のプラグインソフトで、EDIUS上の音声シーケンスをラウドネス解析して表示することができる。音声は実際に再生しなくても解析可能で、1時間もので、約5分ほどで解析することができる。
オーディオ部門 シルバー賞 |
DR-V1HD ティアック |
24ビット/48kHzのステレオ音声とともにHDの映像を内蔵のカメラで撮影することができる。音声のみなら24ビット/96kHzまで対応可能。サイズは70×131×28mmで、カメラとステレオマイクが一体となって180度回転することで、モニターを見ながらの自分撮りなど自由なアングルで撮影できる。レンズは短焦点でズームはできないが、最短39cmからの近距離撮影が可能。
総括
ゴールド賞はアストロデザインAM-3805/AM-3803/AM-3800-D。放送ではすでにラウドネスメーターによる運用が始まっているが、編集や制作など様々な用途に対応した製品をラインアップしている。ラウドネスは海外でも規定があるが、日本固有の設定レベルもあり国内メーカーが様々な用途にきめ細かく対応してくれることが一番だ。シルバー賞のティアックDR-V1HDは、高品質なオーディオと映像を手軽に記録できることが大きいと思う。1枚のSDメモリーに音声も映像も記録するため、映像はMPEG-4シンプルプロファイルとなっているが、このサイズにカメラも内蔵し、価格が手頃なところは評価したい。