目立つ飛び道具系の隆盛
周辺機器部門は守備範囲が広くある意味あらゆる製品が対象になってしまうが、新たな方向性としては、いわゆる飛び道具系が登場している。NABでも数社が出品していたがジャイロを搭載したマルチコプターである。ただ、一般的なヘリコプターと異なりプロペラが4つ以上ありそれでバランスを取るというものだ。従来型のヘリコプターでは得られない安定した撮影が可能となる。
もう一つの飛び道具はワイヤレスによる映像伝送だ。従来から超小型FPUなどが製品化されていたが、最近の電波法の改正によりGHz帯が一般に大きく開放され、それを受けた製品が登場している。
三脚ではVintenやSachtlerといった定番のメーカーのほか、最近では中国製の安価な製品も出てきている。そんな中で国内メーカーである平和精機から新たな製品が登場している。カメラの小型軽量化も一息つきシネスタイルでの撮影に対応した製品がある意味三脚の新たなトレンドともいえ、そうした需要に答えた製品といえよう。
レンズ交換可能なシネスタイルカメラの出現により、レンズを取り巻く状況も最近急速に変化している。ビデオではズームレンズが主流だったが、シネスタイルではPLマウントの単焦点レンズが一般的だ。非常に高価なPLマウントレンズも韓国製や国産でもキヤノンやフジノンといったビデオではお馴染みのレンズメーカー以外からも製品化が相次いでいる。カメラ自体が安価になり、そうしたカメラに見合うレンズということとズームレンズに比べて比較的簡単に製造できるということも背景にあるのだろう。
昨年あたりまでは編集コーデックで収録できるレコーダーがトレンドといえたが、今年はやはり4KやRAW記録、HDであればモニター搭載で小型軽量など特徴のある製品が登場。ビデオメーカーだけでなく、オーディオ機器メーカーやもちろんベンチャー企業からも製品化されている。すでにPCへキャプチャーするようなIOディバイスはなくなったかとおもいきや、Thunderboltインターフェースを搭載した製品がBlackmagic Designから登場している。価格も驚異的な12,100円。
ほかにもLCDモニターやVFなど周辺機器部門の対象製品は盛りだくさんあり、選択は非常に難しい。
PRONEWS AWARD 2012 周辺機器部門ノミネート製品
- 平和精機工業 Libec RSP-750/850
- CINEROID EVF4RVW
- フォノン PLレンズ
- Zunow MF11-16mm F2.8
- sky shot マルチコプター
- Blackmagic Design UltraStudio Mini Recorder and Mini Monitor
- ローランド VC-1-DL
- マンフロット SYMPLA
何が受賞するのか…?
PRONEWS AWARD 2012 周辺機器部門受賞製品発表
周辺機器部門 ゴールド賞 |
Libec RSP-750/850 平和精機工業 |
独自のバランススタビライザー機構による無段階のカウンターバランスのほか、特殊シリコングリスによるスムースなパン/ティルトを実現。昨年までは小型ビデオカメラ用の製品ラインナップを揃えていたが、今年はワンランク上のENG/EFPおよびシネスタイルの撮影に適した製品を発表(発売は来年3月予定)。このクラスの三脚はVintenやSachtlerの得意とするゾーンだが、国内メーカーとしてその牙城に挑戦。実際PRONEWSライター陣からも賞賛の声が上がっている。
周辺機器部門 シルバー賞 |
MF11-16mm F2.8 Zunow |
Blackmagic Cinema CameraまたはソニーNEX-FS100などに装着可能なスーパーワイドバリアングルレンズ。APS-Cやマイクロフォーサーズに適合したワイドズームは機種も少ないが、Zunow MF11-16mm F2.8はシネスタイルの撮影に適した形状とともにワイド系レンズにありがちなディストーションを抑え、優れた画質を特徴としている。この手のワイドズームは高価になりがちだが、価格は30万ほどでカメラ本体の価格に見合った価格設定だ。特にBlackmagic Cinema Cameraの場合イメージサイズが15.81mm×8.88mmと小さめなので、一般的なデジタル一眼レンズでは望遠になってしまう。
総括
ゴールド賞の平和精機工業 Libec RSP-750/850は、パン/ティルトのフィーリングなど非常にスムースかつトルク感など数値にできない微妙な部分の作り込みもよくできている。三脚は海外製品で評価の高い製品が多い中、独自のバランススタビライザー機構による無段階のカウンターバランスや特殊シリコングリスによる-40~+60℃の動作範囲、7段階のトルク調節のほか、3年の長期保証など耐久性にも安心感がある。
シルバー賞のZunow MF11-16mm F2.8。デジタルシネマでは単焦点レンズの種類は多いがズームの品種は少ない。特にワイドズームという難しいゾーンの製品を安価に提供したことの功績は大きいと思う。