業界は革新を続けながら視聴者へコンテンツを提供する新しいプラットフォームを検討へ
山下香欧
NAB2013の開会式の基調講演は例年同様、広い会場にあふれんばかりの来場者に包まれた。NAB会長ゴードン・スミス氏が登壇し、業界は革新を続けながらも視聴者へコンテンツを提供する新しいプラットフォームを検討していくとしいう、外見的にはシンプルな、しかし非常に挑戦的なメッセージを放送業界に語った。スミス氏は、放送事業者は視聴者の習慣および志向の変化に適応できているとし、放送業界全体を楽観的に見据えていることに、その同意を放送事業者に求めた。
スミス氏は、始めに昨年における権利擁護戦略の成功を報告した。米放送局が一体となってキャピトルヒルの任務を先導して、連邦通信委員会においては視聴者(リスナーを含め)の有害となる法律を停止し、放送局の権利保護と利益を前進させる法律を形成したことを語った。
そして、先日発表した2局を含め、25局が新しくモバイルTVを開始するという。我々は新技術を受け入れることで団結する時がきた。我々の将来は、任意プラットフォームで貴重なコンテンツをさまざまな世代の視聴者へ届けるという、革新および活発にする技術に依存する。
モバイルデバイスへもラジオ放送を届けたハリケーン・サンディ災害では、ブロードバンド接続が不安定であった中、ラジオ放送だけは問題なく常につながったという例をあげながらも、今後は視聴者が求めるコンテンツを多様なプラットフォームを使って届けるべき革新をしていかなければならない、と語った。
スミス氏は、インタラクティブな機能拡張を提供し、スマートフォンへラジオ放送をオンライン放送と結合していくというハイブリッド放送の潜在性を語り、新しい収益の可能性を問いかけた。
NAB功労賞にボブ・シーファー氏
スタンディングオーベーションが続くなか、シーファー氏の受賞スピーチが始まった
今年のNAB功労賞にはCBSワシントンチーフ特派員のボブ・シーファー氏が選ばれた。シーファー氏は、56年、ジャーナリストとして世界中を飛び回り、重要なエポックをいち早く視聴者へ届けている。受賞スピーチでは、地方の情報を正確に伝える主管になれるかは、地方局次第だと語った。政府が語っているものに対して人々が独立して集まらない限り、放送事業者は民主主義性を持つべきではない。これからの放送局は、より正確な情報を提供できるかに委ねられるだろう、と述べた。
我々はコミュニケーション革命の真っただ中にある。疑問の余地はない。これはどこへ行くのかは誰も判らない。
と語り、ジャーナリズムの世界が逆になっていると語った。
しかし氏自身、世間に”どのように報道されているか”ということではなく、”どのたぐいの報道が”着目されてしまっているかということに懸念を抱いているという。
FOXとのパネルディスカッション
ゴードン氏とFoxの大御所、ニュースコープのチェース・キャリーCEOとの対談では、現在主要キー局が法廷でAereo社のサービスを提訴していることが挙げられた。
我々は自身のコンテンツを補償できるようにする必要がある。 視聴料と広告収入の二重収入を構築することが非常に重要になってきた。
とし、ニュースコープが番組コンテンツの権利を、Aereoのようなプラットフォームから保護できなければ、既存の放送提供スタイルを加入者有料サービスへ変えざるを得ない、と語った。これは我々の意を反しているが、これ以上我々の放送権利を奪われ続けるのであれば、強行するしかないと強調した。