アジア最大級の通信・情報・映像総合展CEATEC JAPAN 2013が開催された。生活に密着した家電製品を初め、最先端の電子部品・デバイスなどのほか、4K・8Kテレビやスマートフォン等のモバイルコミュニケーション、スマート化が進む通信や電力などのネットワーク技術などが一堂に会された。また、自動車も例外ではなく電気自動車のほか各種情報表示など様々な取り組みがなされている。こうした多様化するディスプレイのカタチを中心にレポートしよう。

既に映像はHDではなく4Kや8Kへシフトが進み、商品化への様々な取り組みが始まっている。これは、2014年に4K、2016年に8Kという総務省の意向や欧米では2015年度中に4K本放送実施が検討されているなか必然ともいえる。また、単にレゾリューションが4K・8Kになるだけでは国際的優位性は望めないため、現実的な対応の他にも技術的な付加価値が必要とされる。それは、色域の拡大や画質といった面だけでなく、ディスプレイを中心にどのようなインターフェースを考えるかということでもあるようだ。

様々なディスプレイが集う会場から

■NHK/JEITA
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2016年に試験放送が開始予定8K SUPER Hi-VISION。NHK/JEITAブースではシアター形式でのデモと家庭での視聴を想定した液晶ディスプレイで視聴できるデモを行った。すでに家庭での視聴を前提とした実用段階ともいえるアピールだ。

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SUPER Hi-VISIONには4Kと8Kがあり、4Kは当初予定の2016年から2年前倒しした2014年の夏に開始する方針が総務省から発表されている。NHK/JEITAブースでは8Kだけでなく来年に迫った4KのメリットもさかんにPRされていた。

■パナソニック
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DisplayPort1.2aやHDMI 2.0準拠の入力に対応したパナソニック65型4K対応液晶テレビTH-L65WT600。4K/60pの4:4:4入力対応で4K対応のPCゲームを楽しむことができるほか、フルHDやSD画像を高精細な4K映像にアップコンバートする4Kファインリマスター機能を搭載。様々なソースに対応することで、現在から将来にわたり使うことが可能。10月中旬発売予定

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4Kダイレクトクロマアップコンバートplus。ハイビジョン領域の色信号補間を経ずに、デコードしたハイビジョン信号からダイレクトに4K信号にアップコンバートすることにより、鮮度が高く、自然な質感と立体感にあふれた映像を実現

■NLTテクノロジー
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ディスプレイ画面は四角という常識を覆す、任意形状技術により様々な形状のディスプレイを実現。写真は円形だが三角や星形なども可能という。

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アイトラッキング3Dシステム。同社が開発した3D画像処理エンジンTR3i(Truly Realistic 3D Imaging)と裸眼3D表示技術HxDP(Horizontally x times Density Pixels)により、観察者の位置で画像が二重に見えることや、左右の目に入る画像が逆転する逆視像が発生してしまう問題を解決。自然でシームレスな裸眼3D表示を実現したもの。

■アスカネット
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アスカネット空中レシピ。被写体の実像をリアルタイムに空中に写し出すことができる特殊なプレートAIP(エアリアルイメージングプレート)により画像を空中に映し出すことができる。写真やコップなどの実物を空中結像することが可能でリアルな画像を裸眼で見ることができる。

■新日鉄住金ソリューションズ
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新日鉄住金ソリューションズVuzix Smart Glasses M100。Android搭載のAR拡張現実ソリューション。HMDとカメラが搭載されており、提供されるSDKを利用することで、今までになかった様々なアプリケーションを構築できる。Google Project Glassが発表されたこともあり、こうしたスタイルのウェアラブルコンピューターも今後一般的になってくることだろう。

■サンワサプライ
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モバイルプロジェクターPRJ-5。MHLアダプターを内蔵しており、対応スマートフォンなどと接続することで簡単に映像を投射できる。小型ながらDLP搭載で85ルーメンの明るさ。

■シャープ
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シャープ15.6V型ノートPC向けIGZO 4K2Kディスプレイ。ブース内のIGZO WorldゾーンにIGZOディスプレイを搭載したスマートフォンやノートPCなどを展示。テレビやPCなど今後4Kは共通した解像度となりそうだ。

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シャープ7V型IGZO MEMS(Micro Electro Mechanical System)ディスプレイ。MEMSはバックライトの光を直接シャッターで調節する構造のため、カラーフィルターや偏光板が必要なく効率が良い、したがって液晶などのディスプレイに比べ、省電力化や色再現性、視野角、応答性で優れているという。

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シャープフルHDパネルで4K相当の高精細表示を可能にするAQUOSクアトロンプロ。RGBにYのサブピクセルを備えたクアトロンパネルの駆動技術を改良し、高精細な表示を実現したもの。4つのサブピクセルは独立して駆動し水平解像度を2倍に向上。縦方向はMPD(マルチピクセルドライブ)で時分割駆動を行うことで高精細化を実現。

■ミツミ電機
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次世代レーザープロジェクターソリューション。自社開発のMEMS 2軸走査型ミラーと独自の画像制御回路を組合せた次世代レーザープロジェクターソリューション。レーザー走査方式ヘッドアップディスプレイを車に搭載し、各種情報などをフロントガラスに表示するというデモ。

■パイオニア
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次世代IVI(In-Vehicle Infotainment)。フロントガラスに案内の矢印やルートガイド情報などを表示することで、運転中に視線を動かさずに情報を認識できる。フロントガラスにAR(拡張現実)情報を映し出すHUD(ヘッドアップディスプレイ)、立体音響による直感的な聴覚情報アシスト「AUI(Auditory User Interface)」、触覚フィードバックを備えたステアリング操作デバイス「Feely-Pad」など近未来の車室内空間デモ。

■NTT ドコモ
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NTTドコモGALAXY Gear(スマートウォッチ)。Bluetooth経由でGALAXYと接続。電話やメールの着信通知のほか、撮影やボイスメモなども可能。本体に写真が保存できるほか、動画撮影も可能。

■インテル
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インテルはPC搭載のカメラを利用した3次元認識ゲームや大画面ジェスチャーコントロールのゲームなどユーザーインターフェースの新しい提案を行った。写真はSHIKUMI DESIGNが提供する3次元認識ソリューションによるゲームで、人間の動きを赤外線センサーで検知して画面のCGとカメラで撮影したプレーヤーの画面を合成してゲームを構成している。


Vol.01 [CEATEC JAPAN 2013] Vol.03