江夏由洋がチョイスする High Resolutionの世界を知るコースとは?

今年の4月に米国で行われたNAB Showでも大きな注目となった「デジタルシネマ」。2013年はいよいよこのワークフローが実現的になります。ちょうど一年前のInterBEEでは、SONYがPMW-F55を発表し、CanonがEOS C500を発売。更にはBlackmagic Design社がBlackmagic Cinema Cameraを発売にこぎ着けるなど、デジタルシネマカメラの百花繚乱ともいえる一年であったでしょう。

今年はあらゆるメーカーが「胸を張って」発売したデジタルシネマカメラが数多くの現場で使われた年でもありました。デジタルシネマを特徴づけるキーワードはズバリ「4K」と「色編集」です。いよいよ撮影素材は4Kや4Kを超える解像度に突入し、LOGやRAWといった新しい収録方法による「色編集」を軸としたワークフローが求められるようになりました。如何に膨大なデータ量となるデジタルシネマの素材を効率的に編集するかが、正にこれからの課題になります。今年のInterBEEで、こういったポストプロダクションの機材やソフトウエアにも注目すると、次世代の作業環境が見えてくるのではないでしょうか。

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レッドディジタルジャパン

(ブース#8403)



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いよいよ実機の登場か?RED DRAGONに期待大

最初に訪れてほしいブースがレッドディジタルジャパンです。いよいよお目見えになるかと思います!世界初の6Kデジタルシネマカメラ「RED DRAGON」の登場に期待しましょう。事前の仕様によれば、6KセンサーでベースISO2000という、その名にふさわしいモンスターな一台。おそらくこれから多くのハリウッド映画やCMなどのハイエンドな現場で使用されることになるカメラです。REDの更なる注目は、電子NDフィルターを内蔵したグローバルシャッター機能をもつMotion Mountや、4KプレーヤーのREDRAY、更には6K編集にオプティマイズされた超高速カードのRED ROCKET-Xなど数多くの周辺機器が展示になるかと思います。
2
アドビ システムズ

(ブース#8502)



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今年のNABの様子。毎年充実したデモを一日何回も行うAdobe。今年はCCリリースで盛り上がる

今年6月リリースになったAdobe Creative CloudのCCシリーズ。サブスクリプション方式による「アプリ」仕様で全世界100万本の導入を超え、Adobeの勢いは増すばかりです。動画編集のハイエンドツールも今年の10月に大幅バージョンアップをしました。大注目は2つ。まずはSONYの4K60pまで対応する10bit4:2:2イントラフレーム圧縮のXAVCのエンコードが可能になります。これにより従来大きな問題であった中間コーデックが、XAVCの登場で解決されるでしょう。Win、Macに限らず4Kまで網羅するXAVCは救世主かもしれません。ProResに頼らざるを得なかった人には朗報です。そしてもう一つがSpeedGradeとPremiere Proが遂にネイティブでつながるようになりました。ハイエンド32bitFloatの色編集とMercury Playback Engineの組み合わせがカラーグレーディングの常識を変えることになるでしょう!ブースでのデモンストレーションにも注目です。
3
ジャパンマテリアル/Matrox

(ブース#8404)



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今年のNABで発表になったMojitoの4K60p再生に注目。ストリーミングソリューションも充実

そしてAdobeブースとREDブースのすぐそばにあるのがMatroxです。いままでコンバーターやキャプチャシステムなどを小規模で展開していたMatroxですが、今年は大きな製品をブースで見ることができるでしょう。それが4K60p再生を可能にするモニタリングカード、Mojito 4Kです。いよいよ4K60pの再生環境を編集モニタリングで実現できます。おそらくテレビ放送の4K規格は60pになるでしょう。2020年に決定した東京オリンピックを見据えて、4K放送に向けた技術がスタートします。MatroxはこのほかにもMonarch HDなどWEBストリーミングとレコーディングのソリューションを展開するので、このあたりもチェックしたいですね。
4
GoPro NIPPON

(ブース#8511)



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小型ヘリコプターとの相性も抜群のGoPro HERO3+が発売に。最新のGoProが初お目見え

InterBEEの約1か月前に発表になったGoPro HERO3+を手に取りましょう!!一時期ではGoPro4の発売などが噂になっておりましたが、今回、GoPro HERO3+ Black Editionのバージョンアップはセンサー感度の向上と、Wi-Fi機能の改善、そしてバッテリー寿命が延び、オーディオが改善されるなど、絶対に「購入」の一台になっております。期待されていた4K30pの収録はできませんが、何といっても2.7K30p、そしてフルHD60Pの威力は抜群です。そしておそらく今回はヘリコプターとの組み合わせによる撮影も見られるかもしれません。小型のためより安価なスタビライズ装置「ジンバル」が多く発売になり、夢のような映像をハイエンドクオリティで手にすることができるようになりました。是非、GoProの可能性を探りに行きましょう!
5
キヤノン/キヤノンマーケティングジャパン

(ブース#8322)



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4Kソリューションも見どころ満載ですが、レンズにも注目したいCanon

CINEMA EOS SYSTEMで一気にデジタルシネマの世界へコマを進めたキヤノン。世界一のレンズとセンサー技術を持って、EOS C100、C300、そして4KのC500、1D Cのラインアップを昨年末に完成させました。今でもC300の人気は現場でも衰えず、更にはEFレンズという最強のレンズ群でその存在感はナンバーワンです。今回のブースでは「新機種」の発表までは至らないかもしれませんが、おそらく4Kというキーワードを軸に新しいコンセプトモデルなどのリリースがあるかもしれません。個人的には次々と発売になるEFシネマレンズや、4Kシアターのコンテンツなどに注目したいです。
6
ソニー/ソニービジネスソリューション

(ブース#7106)



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今年はハイスピード撮影がメインか?F55の更なる加速が気になるところ

そしてそのままHALL7突き当りまですすめば、ソニーのブースがあります。今年のソニーのテーマは「ハイスピード」です。まずはPMW-F55のファームウエアが新しくなり、2K240fpsの記録がRAWで無制限に行えるようになりました。おそらく会場ではHigh Frame Rateのデモ映像がみられることでしょう。またF65RSも進化を続けており、2系統のSDI出力から異なるLUTを充てて出力可能に。NEX-FS700もS-Log2を搭載し、4Kレコーダーとの組み合わせで4K120fpsを約3秒少し撮影できるまでになりました。あわせてF55、F65RS、FS700などのRAW現像ソフトウエアであるRAW Viewerも進化。新しいREC.709へのユーザーLUTを搭載しており、ProResへのエンコード(Macのみ)などにも対応。S-Log2という最強のLogガンマを武器に、デジタルシネマのど真ん中を突き進みます。
7
ブラックマジックデザイン

(ブース#7105)



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早く見たいBlackmagic Production Camera 4Kの映像。40万円の4Kカメラの実力は如何に

そして今回のInterBEEの最大の目玉が、ここブラックマジックデザインのブースで展示されます。それが「Blackmagic Production Camera 4K」です。今年のNABで発表になった40万円台で購入できる4Kのシネマカメラです。ここまでの展示会ではいわゆる未完成品のモックしか展示されていませんでしたが、おそらく今年のInterBEEでは実機とデモ映像が発表になるでしょう。正直このカメラは4Kデジタルシネマの常識を一気に覆す一台になると断言できます。なにせ、センサーはスーパー35mm、グローバルシャッター内蔵で、ダイナミクスレンジが12Stopというスペックです。すでに発売になっているBlackmagic Pocket Cinema Cameraもすごいですが、やはり4Kという見方では、このカメラへの期待は半端ないです!これこそ「買い」のカメラです。
8
クレッセント

(ブース#8117)



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4K60pの入出力カードはこれ!今年のNABで発表されました

そして4K60pの入出力ボードとなるのがBluefish444、4K Epoch|SuperNovaです。このカードを2枚挿すことで、4K60pの入力・再生を行うことができます。今回はAdobe CCとの安定した4K60p再生を見ることができるでしょう。Matrox同様、いよいよ編集環境で安定した4Kのソリューションが現実に。またクレッセントブースではターンキー型のカラーコレクションツール、MISTも展示。4K Epoch|SuperNovaとの組み合わせでリアルタイムの色補正をデジタルシネマ素材に行うことができます。ACESにも対応し、ハイエンドな4Kカラーコレクションの新しい世界をのぞいてみましょう。
9
平和精機工業&ケンコープロフェッショナルイメージング

(ブース#7202,6405)



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RS+は是非一度手に取って触って欲しい。その性能の高さはメイドインジャパンの誇り。Libec

4Kという言葉ではくくることができませんが、三脚やスライダー、クレーンといった特機ではこの2社は外せないでしょう。今やTeradek社まで買収したVitecグループの製品が三脚のメインストリームとなる中、メイドインジャパンの誇りで次世代の三脚を作り続ける会社こそが平和精機工業(Libec)。昨年のInterBEEで発表したRS+シリーズの人気は右上がりで、JIBの人気も世界的にかなり高いといえるでしょう。コストパフォーマンスも非常に高く、日本製のためサポート体制も万全というのが特徴です。そしてケンコープロフェッショナルイメージング(KPI)が販売するスライダー各種にも注目です。特にedelkroneの新しくなったスライダープラスなど、小型が進むデジタルシネマカメラにはうってつけの特機を見つけてみるのもいいかもですね。KPIはこのほかにもLED照明などに力を入れているため、見どころは満載!

※掲載しているブース写真は過去に開催されたイベントのものです。


Eコース [Inter BEE 2013の歩き方] Intro

WRITER PROFILE

江夏由洋

江夏由洋

デジタルシネマクリエーター。8K/4Kの映像制作を多く手掛け、最先端の技術を探求。兄弟でクリエイティブカンパニー・マリモレコーズを牽引する。