地デジへの完全移行になったのはほんの1、2年前のことだが、既に家庭用の4Kテレビやカメラなどが発表&発売され、CESやNAB、IBCといった展示会でも話題は4K更には8Kになってしまった。こうした製品を手がけるメーカーも池上やソニー、パナソニックだけでなく、キヤノンやアストロデザイン、ブラックマジックデザインといったメーカーも参入し各社特徴的なカメラを発表している。
一方HDはニュース取材やドラマなどの制作系だけでなく、スポーツ中継などでは欠かせないハイスピードカメラや、手のひらに収まるミニカメラが出現し、今まで特殊な撮影であった領域も身近なものになってきている。ハイスピードカメラはナックイメージテクノロジーが老舗であったが、朋栄やノビテックがその領域に加わり一般のカメラで撮影できるオーバークランクでは得られない映像を提供している。ミニカメラは、GoProの出現により大手メーカーが手を付けなかったトイカメラが制作にも充分な性能を有するものとなり、ソニーやJVCなどもこの分野の製品を発売し始めている。
今年のInterBEEはこうした多様化するカメラがどこまで進んできたのか、それによりどこまで制作領域を広げることができるのかが注目といえよう。
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- アストロデザイン
(ブース#5317)
制作にも使える小型な4Kカメラから8Kへと常にハイレゾリューションでは先鞭をつけてきた同社は、単に高解像度の追求だけでなくダイナミックレンジや色域など制作に要求される要件も満たして来ている。8KカメラヘッドとしてNHKとのコラボレーションにより開発されたAH-4800があるが、撮影に必要な周辺機器としてモニターやビューファインダー、レコーダーなどの4K8K製品も手がけており、カメラを中心とした制作システム全般が見どころといえよう。
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- パナソニック/パナソニック システムネットワークス
(ブース#5418)
NABでモックとして初披露された分離型の4Kカメラが注目されるが、CEATECでの情報では来年に向けて開発中とのことで、おそらくNABにならないと映像の出る状態では出展されないと思われる。ただし仕様に関してはもう少し進んだ情報が得られるかもしれない。既に撮影できる4Kのカメラとしてハンドヘルドのものが披露されているので、こちらはもう少し進んだ状態で出展されるかもしれない。同社は4K有機ELパネルや4KタブレットTOUGHPADなど総合的に4Kに取り組んでおり、来年には一気に製品の発表&発売が集中する予感。国内では年内最後の大きな展示会であるInterBEEでは同社の4Kへの取り組みの最終形が見られるだろう。
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- 朋栄
(ブース#6506)
フル4KバリアブルフレームレートカメラFT-ONEは、デジタルシネマカメラの発想とは少し異なり、ビデオ的な運用を考慮している。マルチカメラ運用やFT-ONEの映像調整をリアルタイムに遠隔地から行えるFT-ONEリモートコントロールユニットFT-1RCPおよびFT-ONEで撮影した4K映像から任意のエリアを切り出してHDコンテンツとして出力できる4K切り出しシステムなどが加わり、テレビ制作用としての運用性を高めているところが見どころといえよう。他にもHD超高感度カメラFZ-B1などもあり、スイッチャーなどのスタジオ機器メーカーから撮影へも守備範囲を広げている。ビデオ機器メーカーとしての実績がこうした撮影システムにも反映されており、スタンドアローンからシステムまでどのように展開していくか注目したい。
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- ブラックマジックデザイン
(ブース#7105)
常にビデオ業界に価格破壊をもたらしてきた同社は、近年カメラにも進出したことは周知の通り。Blackmagic Cinema Cameraは当初2.5Kだったがすぐに4Kもライナップ。カラーグレーディングソフトをバンドルして40万円台という驚異的な価格で業界を驚かせた。更にNABではポケットサイズのスーパー16デジタルカメラBlackmagic Pocket Cinema Cameraを披露。小型というだけでなく10万円台という価格も驚きだった。InterBEEではそれらカメラの性能的な実力を確認するとともにどのようなソリューションを展開していくのかも興味深い。また、カメラ周辺としてレコーダーやコンバーター、キャプチャーデバイスなどにも注目したい。
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- ソニー/ソニービジネスソリューション
(ブース#7106)
業務用、民生用ともにビデオのリーディングカンパニーともいえる同社は、カメラのグレードだけでなく記録フォーマットも含め最も多くの機種を商品化している。業務用としては10月発売のXDCAMメモリーカムコーダーPMW-300や、11月に発売でいよいよハンドヘルドサイズで4Kを実現するXDCAMメモリーカムコーダーPXW-Z100に注目だ。民生機でもミュージックビデオレコーダーHDR-MV1や4KビデオカメラレコーダーFDR-AX1、ウェアラブルアクションカムHDR-AS30Vといった新製品があり見どころ満載だ。もちろん、細分化されたこうしたカメラをどのように展開し住み分けしていくのか、更にはユーザーとしてどのようにチョイスし運用していくのかを見定めるうえで、要チェックといえる。
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- 池上通信機
(ブース#8136)
スタジオカメラやENG、制作用ポータブルカメラなど放送用カメラメーカーとして定評のある同社は、民生機器を扱っていないということもあり、毎年のように新製品のカメラを開発してはいない。業務用設備として長年安心して使用できるということを考えれば当然ではあるが、最近は映像業界の環境の変化も早くなり、今年はSuper 35mm Format Camera System HDK-97ARRIやNABで技術展示された超高感度カメラHDL-4500などが出展される。また、あまり目立たないかたちで試作品的な参考出展することもあり、見逃しの無いようにしたい。
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- キヤノン/キヤノンマーケティングジャパン
(ブース#8322)
CINEMA EOS SYSTEMはC100、C300、C500のほか一眼カメラタイプのEOS-1DCといったカメラのラインナップのほか、単焦点およびズームのEFシネマレンズのラインナップの充実などが図られ、システムとしてある意味完成の域に達したといえる。こうしたCINEMA EOS SYSTEMの中で注目したいのは12月に発売されるEFマウントレンズCN-E35mm T1.5 L Fとファームウェアのアップデートだ。NAB後ACES対応のための変換設定ファイルやEOS-1D C用ファームウェアVersion 1.2.0、Cinema RAW Development 1.1などが行われていたが、10月から順次大幅なアップデートが図られる。特にISO80000対応やEFレンズの周辺光量補正対応、拡大表示の位置移動などC300とC500におけるアップデート項目が多くあり、カメラがもつポテンシャルが最大限に引き出される。
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- ナックイメージテクノロジー/カールツァイス
(ブース#8321)
放送用フルHDウルトラスローモーションカメラHi-Motionシリーズも必見だが、IBC2013においてARRIから発表された新しいデジタルカメラAMIRAは出展されれば国内初公開となるのでぜひ見ておきたい。先に発売となっている既にラインナップも整ったALEXAはREDキラーともいえる挑戦的な価格だったが、AMIRAは$2万との情報があり、キヤノンのEOSキラーといえそうだ。ただ、機能的には絞られており、ALEXAと同一のSuper 35mmセンサーを搭載しているが2K撮影でALEXAのような拡張オプションやリモートコントロール機能は装備されないという。14ストップ以上のダイナミックレンジ、カスタム3D LUTの読み込みとグレーディング機能を本体で持っているほか、Log C収録をProRes LT、422、422(HQ)、444コーデックで行える。
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- ノビテック
(ブース#8215)
同社はVisionResearch社の代理店であり、ハイスピードカメラPhantomシリーズを扱っているが、NABで発表されたハイスピードカメラPhantom FLEX 4Kを新製品として出展する。Phantom FLEX 4KはSuper35mmフォーマットの最新センサーを搭載しており、4K(4096×2160)で最大1000fpsの撮影が可能だ。レンズは、PLマウント、キヤノンEFマウント、ニコンF/Gマウントに対応しており、64GBの本体内蔵メモリーに4Kで約5秒間の記録ができる。オプションのCineMagⅣを使用することで、長時間の記録が可能で、CineRAWでの記録にも対応している。4Kで1000コマの映像世界、その目で確認する価値ありといえるだろう。
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- GoPro NIPPON
(ブース#8511)
映像業界に新境地を切り開いたGoProは、昨年15fpsとは言え3万円台のカメラとして4K撮影が可能なGoPro HERO3 Black Editionを発売した。今年は手振れ補正と4K30fpsなどを搭載したGoPro4の発表が噂されていたが、10月にGoPro HERO3+の情報がリリースされた。バージョンアップ内容は、センサー感度の向上と、Wi-Fi機能の改善、バッテリー寿命が長くなり、オーディオが改善されたもので、いわゆるGoPro HERO4は、しばらくお預けとなった。実際4K30fpsとなると転送レートや容量と言った面から現行のメモリーでは難しいと思われる。折しも、10月からUHSスピードクラスUHS-II対応のメモリーが発売になることからタイミング的にはちょうど良いと言えるのだが。GoPro HERO3+とその周辺機器とあわせて見ると楽しみが増えるだろう。
※掲載しているブース写真は過去に開催されたイベントのものです。