txt:小寺信良 構成:編集部
LUMIX GH5実機がいよいよ登場
今年も米国ラスベガスにて、CES2017が開幕した。コンシューマ向けのショーではあるが、プロ映像業界ではもはやコンシューマ機の動向も見逃せないものとなっている。そのため毎年取材に来ているわけだが、今回はプロ機と言っても過言ではないカメラが発表された。パナソニックGH5がそれである。元々GHシリーズは、Gシリーズの上位モデルとしてスタートしたが、GH3以降は動画機能を強化し、プロからも注目されるシリーズとなった。
今回のGH5のポイントは、なんと言っても4K/60P記録だろう。ご存じのように4K放送では60Pが基準となっているわけだが、プロ用カムコーダを除けば、多くのDSLRはまだ4K/30P止まりである。唯一キヤノンのEOS-1D X Mark IIがMotionJPEGによる60P記録を可能にしているが、ミラーレスではGH5が初めての対応となる。
また4K/30P撮影でも、4:2:2/10bitでの撮影が可能だ。さらに今年夏のファームアップでは、400Mbpsにものぼるビットレートで、All-Intraによる撮影も可能になるという。GH5は今年3月頃の発売で、米国での価格は約2000ドル(ボディのみ)。まさにプロ待望のDSLRだと言えそうだ。ここではプロユーザーが気になるであろうポイントに絞って、報告しよう。
LUMIX GH5期待のスペックは?
2014年に発売されたGH4は、早いタイミングで4K撮影を可能にしたモデルだ。拡張ユニット「AG-YAGHG」を使えばHD-SDI×4で4K出力が可能だったが、GH5ではAG-YAGHGはサポートしない。その代わり本体のHDMI出力から4:2:2/10bit出力が可能なので、外部レコーダやモニターにはそれで出力する。現時点ではATOMOSのSHOGUN INFERNOが対応できるほぼ唯一の外部レコーダとなるだろう。なお4K/60P撮影では、Rec中は4:2:2/8bit出力になってしまうが、Recしなければ4:2:2/10bitの出力が可能だ。
ATOMOSのSHOGUN INFERNOと組み合わせたGH5
AG-YAGHGではXLRの音声入力にも対応したが、GH5の場合は別途XLRマイクロフォンアダプタ「DMW-XLR1」が発売される。ホットシューに取り付けるアダプタで、カメラから電源を取るため、別途電源は不要だ。
XLRアダプタのDMW-XLR1
ホットシューから電源を取って動作する
これに入力された音声は、DMW-XLR1内部でAD変換され、96kHz/24bitのハイレゾデータで本体のSDカードにMOVフォーマットとして映像とともに記録される。元々フラッシュを使うための高電圧ラインの中を、ノイズレスで音声データを通すのに苦労したという。なおDMW-XLR1はGH5専用というわけではなく、今後発売される同社製カメラでも使用できるようになる見込みだ。
AC駆動については、別途ACアダプタとDCカプラーが必要になる点は、GH4と変わっていない。ただ拡張バッテリーとして、バッテリーグリップ「DMW-BGGH5」も発売される。DMW-BGGH5を使えば、内蔵バッテリーのみに比べるてほぼ2倍の動作時間を確保できる。
Wi-FiとBluetoothも新しくなった。Wi-Fiは新たに5GHzに対応し、IEEE802.11acまでサポートする。Wi-Fiは遠隔からのライブビューに有効だが、展示会などでは2.4GHz帯では混雑していて繋がらないことも多い。5GHz帯へ逃げるのは必然である。
Bluetoothは新たに4.2に対応し、スマートフォンのコントロールアプリとは常時接続が標準となる。スマホで受信したGPSデータをカメラに取り込んだり、リモート撮影もいちいち再接続する必要がない。またリモート優先に設定しておけば、カメラ側の電源スイッチがOFFの状態でもカメラを起動して撮影できる。USBも新たにUSB-Cタイプのコネクタを採用し、3.1対応となった。USB 3.1は、2015年と2016年発売のMacBookでUSB3.1 Gen1、2016年末に発売されたMacBook ProでGen 2が採用されている。転送レートはUSB 3.1 Gen 1で5Gbps、USB 3.1 Gen 2で10Gbpsとなる。
そのほかフォト向けの機能ではあるが、6K/30Pの撮影も可能だ。6Kで撮影しておき、4Kに切り出しといった使い方も模索してみると面白いかもしれない。ただし6KはコーデックがHEVCなので、いったん編集向けコーデックに変換する必要がある。まだ現時点ではスペックが明らかになったに過ぎないが、実機でどれぐらいの画質なのか、プロカメラマンの評価を待ちたい。
txt:小寺信良 構成:編集部