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Blackmagic Design
昨日の強風はおさまり、日差しの強いなか展示会の初日が始まった。今日は朝一でBlackmagic Designのプレス発表が開催された。毎年同社はNABを期に多くの新製品を発表するのが恒例となっており、期待が高まるなかさっそく会場に行ってみることにした。同社ではすべての製品の説明を社長のGrant Petty氏が行うのが恒例となっており、今年も社長自ら発表を行っていた。
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毎年新製品の発表を行うBlackmagic Design社長のGrant Petty氏
主な新製品はHD/SD対応の8入力スイッチャーATEM Television Studio Pro HDとThunderbolt 3対応UltraStudio HD Miniの2機種のほか、先般傘下に収めたFairlightのオーディオミキシングコンソール4モデル、DaVinci Resolve用のコントロールパネル2機種。また、先月発表したURSA Mini Pro 4.6KはBluetoothリモートカメラコントロールアップデートが今回の発表された。
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DaVinci Resolveは今回のアップデートによりFairlightのオーディオエンジンが統合され、カラーグレーディング、編集、オーディオ編集機能が統合された
そのほかにもDaVinci Resolve 14メジャーアップデートやBlackmagic Video Assistの日本語を含む10言語のメニュー表示対応やBlackmagic Duplicator 4KのH.264対応アップデートなどがある。なお、Fairlight同様昨年傘下に収めたUltimatteからはUltimatte 11の大幅プライスダウンが発表された。
RICOH
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最近のNABの傾向は、4K/8KからHDRやVRへ向かっているようだ。4K/8KクラスのレゾリューションとHDRが実現できれば、一般家庭のテレビから劇場用映画までカバーでき、それ以上を求めると、行き着くところはVRしかないのかもしれない。3Dもある種VRといえなくもないだろうが、最近の方向性としては360°映像がVRの主流となっている。すでに単体で撮影できるカメラや、複数のカメラを組み合わせて撮影するリグなどが各社から発売されており、新規参入も多いのがこの分野である。
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今年度発売予定のリコーRICOH THETAは360°の高画質4K30fps動画撮影に対応したほか、4chマイクを内蔵しており、360°動画にリンクした空間音声記録が可能
民生機の業界でいち早く目を付けたリコーは、360°撮影が手軽にできるRICOH THETAを発売しており、PRONEWS編集部でも初期のころから導入しており、今回のNABでも映像を公開していく。昨年初めて小さなブースでNABに出展していたRICOHは、4K対応の新機種が発売になるということもあり、今回のNABではかなり大きなブースで出展している。もちろんソニーやパナソニックといった放送機器を扱っているメーカーも、こうしたVR撮影に適したカメラや専用のカメラシステムを出展しているほか、昨年までは4K/8Kシアターを大きく設けていたキヤノンも、今年はドーム状のVRシアターをブース内に設置している。
ソニー
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Radiant Imagesのリグに新鋭品のソニーUMC-S3CAを10台搭載した撮影システム(ソニーブース)
パナソニック
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パナソニックの360°ライブカメラヘッドAW-360C10。フィッシュアイレンズを搭載した4台のカメラと専用コントローラーにより、リアルタイムで360°映像を展開してHD出力可能
キヤノン
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キヤノンEOS C300を7台使って撮影された360°映像をドーム型のスクリーンに投影
VR映像を撮影する場合複数のカメラを組み合わせる必要があるため、専用のリグを提供しているメーカーも多く、一時期デジタル一眼による動画撮影が流行った時のようだ。ただ、こうしたリグを利用する場合搭載するカメラと共に組み合わせるレンズの問題やカメラの台数、設置や撮影した映像のファイルの管理など結構面倒なことも多く、簡単に撮影できる専用カメラとして提供しているメーカーもある。
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Radiant ImagesのリグにEOS C300を搭載した撮影システム
360Rize
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GoProを使ったリグを主に扱う360Rize社
360 Designs
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360 Designs社のMini EYE 4。専用のレンズを搭載したBlackmagic Designのカメラを4台採用した360°カメラシステム
マンフロット
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マンフロットの360°カメラ用撮影システムMBOOMCFVR-S
視聴形態に関しては、すでにスマホを利用したHMDが各社から発売されているが、人の動きに追従した映像を見せたい場合は、センサーを搭載したHMDが必要となる。また、イベント会場などで使用する大きなドーム型のスクリーンもあり、近いうちに家庭レベルで使えるような小型ドームスクリーンが一般化するかもしれない。
NABは文字通り放送機器を中心としているが、デジタルシネマやネットを使った配信などが取り込まれ、ここにきてVRが新たなトレンドとして取り込まれてきたといえるだろう。今年、NAB会場ではM.E.T(Media&Entertainment Technology)を前面に打ち出しており、従来からのテレビやラジオ、ライブイベントに加えてフィルムやソーシャルメディア、ゲームなども含めていこうという姿勢のようだ。
すでに、Web上では数十万以上のフォロワーをもつ個人のブロガーなども増え、ワールドワイドでの情報発信を行っている現状を考えると既存の放送局の在り方やこうした個人の情報発信者との折り合いや差別化をどうつけていくのか、使っている機材の高い安いが、一般の人たちへの影響力とは無関係に時代なった以上、考えていく必要があるだろう。
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