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txt:小寺由子 編集部 / 構成:編集部
米国ラスベガスにおいて、恒例のCES2018が開催された。以前はその年の新製品や今後のコンセプトモデルなどが多数発表され、各社新製品の競演の場という印象だったが、近年では「モノ」より「コト」へソリューション提案がメインとなっているようだ。筆者はCESへの参加は今回が初めてだったが、出展社数は4,000社を超え、大手メーカーからベンチャー、産官学共同など大小入り混じった熱気を感じる。
中でも注目度の高いSonyのプレスカンファレンスでは有機ELのBRAVIAや、ヘッドホンを始めとしたコンシューマー製品が多数発表された中で、今回はデジタルスチルカメラ「DSC-RX0」用のカメラコントロールボックス「CCB-WD1」を取り上げたいと思う。
カメラコントロールボックス CCB-WD1で広がる映像の可能性
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CES2018のソニーブースの中でもカメラ展示コーナーで目を引くのがデモンストレーションステージだ。
ダンサーによるステージはダンサーの動きをα9の高速連射で捉えるためのステージだと思ったが、ステージをよく見ると昨年10月末に発売されたコンパクトカメラDSC-RX0がずらりと弧を描くように並べられている。これも全てRX0かと思いきや、2台一組のうち1台はよく見ると背面の仕様がRX0と異なる。
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システムの構成はカメラDSC-RX0と新しく発表されたカメラコントロールボックス「CCB-WD1」のセットが16セット並べられていた。DSC-RX0がリリースされた時に「より安定した有線接続のためのカメラ操作と高精度な同期を可能にするカメラコントロールボックスを開発中」としていたが、それが今回のCESで初お目見えとなった。
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元々RX0は専用アプリケーションを使った場合は5台まで、別売の専用コマンダーとレシーバーを使えば15台までの複数台による撮影が可能だったが、今回発表されたCCB-WD1を使うことで、イーサネット経由で最大100台まで可能となる(※近日公開予定のRX0のFWアップデートが必要)。
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実際にCESのデモステージでも周囲のWi-Fi対応機器のデモンストレーションも多く回線が不安定でせっかくのデモが成立せず、「ちょっと会場の回線が不安定で…でも実際の環境ではスムーズに作動します」という営業トークはCESに限らず、日本の展示会でもよく聞く言葉だろう。実際の撮影においても必ず周囲の電波状況に左右されない環境とは限らない。そうした場面で確実に動作が見込める有線接続のためのアクセサリーは心強いものとなるだろう。
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またこのコントロールボックスはカメラRX0と全く同じサイズになっている。RX0のデザインも光軸を合わせやすいようにカメラのレンズ位置をカメラ中央、上下/左右対称に設計されている。写真のとおり、RX0の別売カメラケージを装着することができるので、デモンストレーションのステージのような横一列のセッティングやカメラとコントロールボックスを上下に組んだ場合にもカメラとのセッティングもケージ同士のマウントにより容易にできる。
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コンパクトながらも最高約16コマの高速連写、最大960fpsのスーパースローモーション、外部レコーダーとの組み合わせで4K30p出力可能、S-Log2対応と多機能なRX0だったが、このコントロールボックスとの組み合わせで更に多視点撮影の可能性が拡がる。実際の撮影現場ではどのようなセッティングにアレンジされ、どのような映像ができるのか。現場の皆さんの創意工夫(DIY)も期待し、日本での正式な発表を待ちたい。
Sony | Cyber-shot | RX0 – Fly into Ørbit
txt:小寺由子 編集部 / 構成:編集部
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