txt:小寺信良 構成:編集部
いい意味で期待を裏切られたBIRTV
4月のNAB、11月のInterBEEと、PRONEWSでは取材班を編成して大規模な報道活動を行っているが、昨年からはちょうどその間、8月下旬に中国・北京で開催される映像展示会「BIRTV」にも注目している。昨年は高い成長率を誇る中国の映像機器業界のパワーに圧倒されたが、2年目となる今年は多少の余裕と冷静な視点を持って取材活動を行っているところである。
本格的な取材開始となった会期2日目は、JVCブースにてCONNECTED PRO CAMことGY-HC900の実動モデルを見ることができた。今年4月のNABの時点ではCONNECTED CAMとして発表されていたが、BIRTVではブース内の展示およびカメラ本体にもCONNECTED PRO CAMとして紹介されていた。
JVC CONNECTED PRO CAM GY-HC900の全貌が明らかに
CONNECTED PRO CAMをメインで訴求するJVCブース
CONNECTED PRO CAMことGY-HC900
本体もCONNECTED PRO CAMの名称
カメラスペックはすでにNABの記事でも紹介されているが、このカメラのポイントは、映像の入出力双方向でワイヤレスIP伝送が可能な点である。出力に関しては、現場からLTE2系統を使ってクラウドに転送、エラー訂正等の処理をしたのち本放送用のスイッチャーに入力される。放送のリターンは、この逆ルートを辿ってカメラまで返ってくる。双方向のインカム音声も同様だ。
パソコン並みの端子類を備える
従来中継現場でここまで充実したシステムを構築しようとすれば、かなり大がかりなシステムおよび人員が必要となっていたが、CONNECTED PRO CAMの採用で大幅なコストダウンが見込める。
かつての中国では人件費が安かったため、省力化のための設備投資には関心が持たれなかったが、昨今では人件費高騰への対応が課題となっており、こうしたカメラにも関心が高まっている。また中継映像のクラウド化に関しても実用化に関しては中国が一歩先を進んでいることから、こうした本格的なカメラの登場でクオリティアップが見込めるだろう。
Roland | 中国向けに最適化。VR-4HDやV-1HD用の中国語パネルシート
映像機器のみの展示に絞ったRolandブース
同じ日本企業ということで、Rolandのブースにも立ち寄った。BIRTVにもオーディオメーカー向けのホールがあるが、年々規模が縮小しており、今年のRolandはオーディオの展示をやめて映像機器だけの展示に切り換えたという。
新製品はなかったが、中国のユーザー向けにVR-4HDやV-1HD用の中国語パネルシートを作成し、展示を行っていた。Rolandの映像製品は業務向けという事もあり、ユーザーが映像の専門教育を受けていない可能性がある。こうした中国語の表示にすることでユーザーにメリットが出るのか、様子を見ているところだという。これで成果が出れば、国別にパネルシートを添付するなどの展開もあるかもしれない。
ボタン類の表示を中国語にする専用シートを展示
V-1HDも中国語
日本で未発売のV-1HD専用ソフトケース
またV-1HDに関しては、アメリカで企画された専用ケースの展示も行われていた。これまで日本でも専用ケースがなく、ユーザーは持ち運びに苦慮していたところだ。ぜひ日本でも発売して欲しいところである。
txt:小寺信良 構成:編集部