txt・構成:編集部
2018年のBIRTVは、放送、映画制作会社、運営代理店を中心に520の出展社、展示会場は5万平方メートル以上の規模で開催された。日本のInterBEEに比べると出展社数は約半分だが、展示会場の広さは同等といっていいだろう。今年も多くの出展社を集めて開催されたBIRTVの展示会場から、主要なカメラメーカーをピックアップしてレポートしよう。
Sony China
■8K Crystal LEDディスプレイシステム
海外メーカーを集めたホール8Bで最も広い面積を使って出展していのはソニーだ。そのソニーブースで注目を浴びていたのは長さ約10メートル、高さ約5.4メートルの440インチスクリーンを使った8K Crystal LEDディスプレイシステムの展示だ。中国市場では初展示で、臨場感あふれる紅白歌合戦やサカナクションなど、日本のアーティストの映像を上映し、近くを通った多くの人は足を止めて8Kの映像に見入っていた。
■CineAltaV
中国ではデジタルシネマカメラ「CineAltaV」という名称で取り扱われている
Cine Gearでジェームズ・キャメロン監督の「アバター」続編にソニーのシネマカメラが採用決定の発表が話題になったが、そのフルフレームイメージャ搭載のデジタルシネマカメラ「CineAltaV」の展示も注目を集めていた。6K解像度フルフレームセンサー、8つの内蔵NDフィルター、PL/Eマウント交換可能なデザイン、15Stopのダイナミックレンジ、4:3アナモフィックや6:5アナモフィック対応などを実現。
VENICEの名でお馴染みのシネマカメラだが、中国では商品名に地名を使うことができないとのことでCineAltaVの名称の変更が行われたとのことだ。
CineAltaVの紹介のパネル
■HXR-NX200
4K対応のNXCAMファミリー「HXR-NX200」も、BIRTVで初公開された注目の新製品だ。中国などでは4Kの需要が増加しているが、PXW-Z280やPXW-Z190では価格が高すぎる。そこで4Kに対応したNXCAMファミリーとして企画したカメラだ。
ベースはHXR-NX100でこのHD機を4Kバージョンにしたモデルで、1.0インチのExmor R CMOSイメージセンサーを搭載。有効画素数は1,420万画素、12倍光学ズーム、3連リングを搭載し、SDIは非搭載。NXCAMファミリーなので、記録フォーマットは4K XAVC Sフォーマットのレートで記録となる。残念ながら日本での発売予定はないとのことだ。
Panasonic
572平方メートルを使った広いブースに、オーディオビジュアル製品とソリューションを展示。その中の4Kビジュアルプロダクトエリアでは、シネマカメラのAU-EVA1やVARICAMシリーズ、ハンドヘルド型4KカメラAG-DVX200、AG-UX180、AG-UX90が展示されていた。
4Kビジュアルプロダクトエリア
特に注目したいのは、EVA1とATOMOSのレコーダー「SHOGUN INFERNO」を組み合わせた展示だ。EVA1は、5.7Kスーパー35mmイメージセンサーを搭載したパナソニックの5.7KのシネマカメラだがSHOGUN INFERNOと組み合わせることで、5.7K ProRes RAW記録に対応。ProRes RAWは妥当なファイルサイズで記録メディアを節約し、ストレスなく編集ができることで今、注目の組み合わせだ。
シネマカメラのEVA1とSHOGUN INFERNOを組み合わせ
VARICAMシリーズ「AU-V35C1RMC」
ARRI China
■ALEXA 65
ALEXA 65で撮影された映画のポスターとともにシステムを展示
カメラと照明機器が展示されていた。カメラは、ラージフォーマット対応のALEXA LFやシグネチャープライムレンズ、AMIRA、ALEXA 65、ALEXA Miniなどを展示。その中でも特に人を集めていたのはARRIレンタルを通じて利用可能なALEXA 65システムの展示だ。筐体のサイズはALEXAと同じに見えるが、それでいて65mmデジタルシネマカメラを実現しているのもポイントであろう。
65mmデジタルカメラのALEXA 65
■ARRIグッズの販売コーナー
帽子やぬいぐるみ、Tシャツなどが売られていたグッズコーナー
ブース内に購入することができるグッズコーナーはNABやCine Gearでは見られないコーナーだ。Tシャツの種類が豊富で、もっとも売れているTシャツは「ALEXA 65」だという。変わったものでは「SkyPanel」のTシャツなどもあって、幅広く取り揃えていた。ARRIのぬいぐるみがパンダのわけは、「パンダは中国のシンボルだから」とのこと。パンダが抱えるカメラはAMIRAだ。
最も売れているというALEXA 65のTシャツ
こちらはSkyPanelのTシャツ
Canon(China)
新製品は、フラッグシップのフルフレームシネマカメラ「EOS C700FF」とシネマレンズ「CN-E20mm T1.5 LF」だ。C700FFは、フルフレームで5.9Kの解像度を撮影することができる同社シネマカメラのフラグシップモデルだ。中国市場では初公開で、試写コーナーでは体験できるようになっていた。
放送用レンズのゾーンでは、キヤノンの旗艦レンズ「4K UHD-DIGISUPER 86」や携帯放送レンズ「CJ20ex7.8B IASE S」などを展示して注目を集めていた。
中国初公開のEOS C700FFとCN-E20mm T1.5 LFの組み合わせ
新しく「CN-E20mm」をラインナップしたシネマレンズの展示
RED DIGITAL CINEMA (CHINA)
■GEMINI 5K S35
REDのカメラは中国でも大人気で、DSMC2 MONSTRO 8K VV、HELIUM 8K S35、GEMINI 5K S35などのDSMC2のラインナップを展示していた。その中でもデュアルISOモード搭載で、スタンダードのベース感度はISO800、ローライトはISO3200を基準としているGEMINI 5K S35に注目が集まっていた。ISO6400でも画質は安定していると言われていて、暗いシーンでも対応しやすいのが特徴だ。ブース内に暗部での撮影が体験できるコーナーが設けられていて、このローライトモードの効果を試せるようになっていた。
Insta360
360°カメラで有名なArashi Visionは、8K3Dの動画を手軽に撮影できる「Insta360 Pro2」を展示。PRマネージャーの周丹氏にInsta360 Pro2のポイントを聞くことができた。
――8月21日に発表されましたInsta360 Pro2はBIRTVの会期に合わせて発表したのでしょうか?
Insta360 Pro2の発表はとくにBIRTVに合わせたというわけではありません。14ヶ月の商品開発の時間をかけて、やっと発表できるところまできて、8月21日に新商品を発表しました。それがちょうど偶然にもBIRTVの会期と重なるような形になりましたね。
――Arashi Visionが扱う360°カメラの出荷で、特に出荷台数の高い国などがあれば教えてください。
世界の180カ国に輸出しているのですけれども、具体的にどの国にどれぐらいのユーザー数、利用者がいるのか?また、具体的な数値まで把握していません。世界中の方たちに使っていただくために開発をした商品です。
――最後にInsta360のアピールをお願いします。
先日、Insta360 Pro2の製品を新しく発表しました。このシリーズは、撮影からポストプロダクションの編集、視聴まで全部まとめて使うことができます。ブレを抑えて安定した結果が得られる「FlowState」をPro2でも搭載しています。FarSight機能を使えば、標準で300m、間に遮るものがなければ3キロ離れた距離からでも高品位な映像をリアルタイムでモニターすることができます。
編集は、Premiere Proにインポートすれば、プロキシ素材ファイルも自動的に認識され、スティッチ後の画像を瞬時に確認でき、スティッチすることなくすぐに編集が開始できます。
また、最後の視聴のところなのですが、クリスタルビュー技術を用いれば、Pro 2で撮影したコンテンツを専用フォーマットに変換することで、主流のスマホやヘッドセットでも8Kのままに再生できるようになります。これまでは8Kで撮影をしていても、対応が6Kのみでいたら画像を圧縮させて視聴をしていました。撮影をした画質をそのままの画質で見られないのが普通だったのですけれども、Pro2は8Kで撮影をしてさまざまな視聴環境からそのまま8Kの画質で楽しむことができるのも一番の魅力です。
txt・構成:編集部