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txt・構成:編集部
レンズ部門の中からプロダクション向けシネマレンズのノミネート
カメラ部門は未だ審議中のため今年は、「レンズ部門」から先に発表する。レンズ部門は、老舗レンズメーカーの製品をピックアップする「プロダクション向けシネマレンズカテゴリー」と、100万円以下の中国シネマレンズメーカーの製品をピックアップする「ミドルクラスシネマレンズカテゴリー」に分けた。本カテゴリー対象製品のシグマ「FF Classic Prime Line」は2019年12月25日発売、富士フイルム「Premista19-45mm T2.9」は2021年発売予定のため、今年のノミネート対象外となった。
■40mm T1.5の登場で8本セットを実現したTokina VISTA T1.5 CINEMA PRIMEシリーズ
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40mm T1.5の受注開始日:2020年11月18日
40mm T1.5の価格:税別1,080,000円
ケンコープロフェショナルイメージングはTokinaシネマ「VISTA」シリーズの40mm T1.5を発売。11月18日より受注を開始した。Tokina VISTAシリーズは、46.7mmの大きなイメージサークルとT1.5の明るい開放値を特長とする。シネマレンズは写真用レンズを転用する場合もあるが、Tokinaは新たに設計、製造を行ってこのスペックを実現している。ラインナップは18mm、25mm、35mm、40mm、50mm、85mm、105mm、135mmの合計8本セット。
■40mmの登場で14本セットを実現したZEISS Supreme Primeシリーズ
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40mmのドイツ本社工場出荷開始:2020年9月、価格:税別2,025,000円
18mmのドイツ本社工場出荷開始:2020年9月、価格:税別2,835,000円
200mmのドイツ本社工場出荷開始:2020年8月、価格:税別3,375,000円
15mmから200mmをカバーする全13本のレンズシリーズとして2018年に発表されたSupreme Primeに、14本目のレンズ「Supreme Prime 40mm T1.5」が加わった。40mm T1.5は、シリーズ発表後に「35mmと50mmの間を埋めたい」という要望に応えるべく、新たに開発されたもの。また、発売が待たれていた2本の焦点距離18mm、200mmも出荷開始した。これでSupreme Primeシリーズは、2021年出荷予定の15mm T1.8を残すだけとなった。
■ZEISS Supreme Prime Radianceシリーズ
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出荷開始:2020年4月
21mm、25mm、29mm、35mm、50mm、85mm、100mmの7本セット価格:税別17,415,000円
Supreme Prime Radianceは、映画・TVドラマおよびコマーシャルなどで使われている35mmフルサイズ対応のSupreme Primeの光学設計をベースに、より個性的な描写をする限定版シリーズ。レンズに新開発のT*blueコーティングが施されており、高い画質を維持しながら、一貫性のある制御されたフレアを特長としている。
■Angénieux Optimo Primeシリーズ Silverセット
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出荷開始:2020年夏
AngénieuxといえばOptimo Ultra 12xなどのシネマズームレンズが有名だが、昨年フルフレームの46.5mmイメージサークルをカバーするプライムレンズシリーズを発表。18mmから200mmの12本のリリース予定で、21mm、28mm、40mm、50mm、75mm、135mmを揃えたシルバーセットの出荷が今年夏に始まった。T値は18mmと200mm以外はT1.8で統一されており、交換可能なアイリスブレードユニットやボケをユーザーで設定可能なところはユニークだ。
レンズ部門の中からミドルクラスシネマレンズのノミネート
シネマレンズ業界に、Spirit Lab、Laowa、DZOFilm、SIRUI、VAZEN、Meikeなどの中華レンズブランドが増えている。今年は、新規参入企業が多いイメージだ。シネマレンズというニッチな市場にこれほどのたくさんの企業が参入し、新製品を続々と発売するとは誰も予想できなかったはずだ。シネマレンズ業界でも、老舗は残りつつも中国メーカーへのシフトが起きている。来年も楽しみである。
■Spirit Lab Cine Zoom 20-50mm T3.2/70-300mm T3.2
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発売日:2020年11月1日
中国のレンズメーカーSpirit Labは、フルフレームファミリーの新製品20-50mmとシネズーム70-300mmを発売。レンズの名称は中国語で強風を意味する「飒」。どちらもT値は全域で3.2。同社は、フルフレームのPure First Anamorphic Zoom 40-100mm T3.5も開発中だ。
■Venus Optics Laowa OOOM 25-100mm T2.9
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発売日:2020年10月13日 価格:オープン(市場想定価格は税込64万円前後)
手頃な価格でレンズを提供するLaowaから、本格的なシネマズーム25-100mm T2.9が登場。スーパー35mmをカバーし、PLマウント、EFマウント、Eマウントに対応。フォーカスリングもしっかりと300°の回転角があり、64万円という価格は驚きだ。ツァイスのスーパー35mmセンサーをカバーする「Lightweight Zoom LWZ.3」やAngénieuxの「EZ-1」との違いが気になるところだ。
■DZOFILM Pictor 20-55/50-125 T2.8
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発売日:2020年8月
価格:税込550,000円(ブラックモデル2本セットの価格)
深圳のシネマレンズ専門ブランドDZOFILMは、PictorZoomシリーズの20-55mm T2.8と50-125mm T2.8を発売。スーパー35mmをカバーし、EFやPLマウントに対応。1.6kgの小型軽量で、ズーム全域でT2.8を特長とする。色は黒と白の2種類で、白はKOMODOのストームトルーパーモデルとの組み合わせに最適だ。価格はブラックモデルの20-55mmが税込289,300円、50-125mmが税込314,600円。
■Tokina CINEMA ATX 50-135mm Mark II T2.9
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発売日:2020年1月
価格:税込498,000円
Tokinaは、スーパー35mmのセンサーをカバーするCINEMA ATX 50-135mm Mark II T2.9を発売。50-135mm T3望遠ズームレンズのアップデートであり、業界標準の0.8MODシネマギアや300°の回転角、新型金属製のメカニカルハウジングを特長とする。人気のTokina CINEMA ATX 11-20mmT2.9の機械的、光学的特性に一致するように設計されているのもポイントだ。
■SIRUI Anamorphic F1.8 1.33Xシリーズ
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発売日:2020年4月
価格:50mm f/1.8 1.33x Anamorphic Lensの価格:税別88,000円
カメラアクセサリーブランドSIRUIから、アナモフィックレンズシリーズが登場。強い光源に対して強烈な横方向のフレア発生を特長とする。これまで手の届かなかったアナモフィックレンズを手頃な価格で購入できるのが話題だ。APS-Cイメージセンサーを搭載したカメラボディに対応。レンズマウントはソニーEマウント、富士フイルムXマウント、マイクロフォーサーズマウントをラインナップする。
■VAZEN ANAMORPHIC T2マイクロフォーサーズシリーズ
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問い合わせ先:Vazen
Vazenは手頃な価格のアナモフィックレンズを発売する中国のレンズメーカー。2019年にマイクロフォーサーズ用の28mmを発売して、2020年には40mmや65mmを発売。コストパフォーマンスに優れており、BMPCC 4KやGH5と組み合わせて使うと面白そうだ。
■Meike Cinema Primes T2.2シリーズ
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価格:税込43,560円(LANDSCAPEの価格)
ミラーレスカメラ専用に設計されたマイクロフォーサーズやAPS-Cに対応したT2.2のシネマプライムレンズシリーズ。焦点距離12mm、16mm、25mm、35mm、50mm、85mmをラインナップし、マイクロフォーサーズ、ソニーEマウント、富士フイルムXマウントに対応。すべての焦点距離が税込43,560円と、お買い得価格も特長だ。
■Irix Cine Lensesシリーズ
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問い合わせ先:ケンコープロフェショナルイメージング
スイス、ポーランド、韓国の3カ国に拠点を置くレンズメーカーのIrixブランドより「Irix Cine」が登場。11mm T4.3、15mm T2.6、45mm T1.5、150mm T3.0マクロの4モデルをラインナップ。キヤノンRF、ライカL、ニコンZ、キヤノンEF、マイクロフォーサーズ、PL、ソニーEの7マウントに対応。この中でもRF、L、Zなどの最新ミラーレスマウントに対応しているところに注目だ。
■Sony FE C 16-35mm T3.1 G
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発売日:2020年12月11日
価格:税別700,000円
フルサイズ対応で、ズーム全域の開放絞りT3.1(F2.8相当)を実現。Eマウント採用でオートフォーカスに対応しているが、3連リング(フォーカス・ズーム・絞り)を備え、スムーズなマニュアル操作も可能にしている。
何が受賞するのか…?いよいよ発表!!!!!
PRONEWS AWARD 2020 レンズ部門受賞製品発表
- レンズ部門
ゴールド賞
- FE C 16-35mm T3.1 G
ソニー
ゴールド賞
ソニー
ゴールド賞はソニーの大口径広角ズームレンズ「FE C 16-35mm T3.1 G」とした。「カメラメーカーのシネマレンズ」「フルサイズ」「Eマウント」「オートフォーカス」など、今後のシネマレンズの概念を覆しそうなキーワードを多数秘めていることからゴールド賞とした。
16-35mmはまだ発売されたばかりで、性能は未知数ではある。しかし、3連リングなどのシネマレンズの良さを残しつつ、高精度なオートフォーカスやサーボズームにより滑らかなズーム表現が可能。ハイブリッドレンズが撮影現場に、どのような効果をもたらすのか?来年以降、楽しみだ。
- レンズ部門
シルバー賞 - Supreme Primeシリーズ
ツァイス
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シルバー賞は「ZEISS Supreme Prime」シリーズとした。18mm、40mm、200mmの登場で、13本のSupreme Primeレンズファミリーが完成。18mmから200mmの焦点距離をフルフレームかつ同一ファミリーでカバーできるようになったのは大きい。
また、ZEISS eXtended Dataメタデータテクノロジー搭載も大きい。Cookeの/iテクノロジーの標準メタデータに加えて、レンズのケラレと歪みに関するフレームごとのデータを提供することによって、VFXと仮想制作のワークフローが合理化されるところも受賞理由となった。
レンズメタデータテクノロジーは、2017年にCP.3 XDレンズで初対応し、後続のSupreme PrimeやSupreme Prime Radianceでもサポート。FUJINON Premistaシリーズでも対応開始とアナウンスされ、益々ワークフローの効率化が向上するだろう。
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