再構築!NAB Show 2022
いよいよNAB show 2022(以下、NAB2022)も最終日です。今回は日曜日が初日という形式となりました。筆者が知る限り初めてのことです。
他にも初めてづくしのNAB2022はある意味パンデミック後の新しい方向性を示しました。リモートでは見られない溢れる人々の笑顔と活気が会場を盛り上げていました。
当初2020年のNABで、NFLのドラフト(一大イベント)のために日曜日始まりになるとアナウンスがありました。それが実施されたことになります。ちなみに来年2023年は4月16日から19日まで開催され、日曜日始まりとなります。
そんなNAB2022はどうだったのか、中の人、NAB事務局副社長Ann Marie女史に少しお聞きしました。
Ann Marie女史:参加者数は、約5万人でCES2022にも引けを取らない来場者でした。今回は、これまで扱ってきた内容を「CEREATE(制作)」「CONNECT(配信)」「CAPITALIZE(収益化)」という3つの大きなセグメントに集約しました。
さらに「INTELLIGENT CONTENT(インテリジェントなコンテンツ)」をWestホールに設けました。今後の放送業界を占う上で重要な場所だと思います。今回のセグメントで目的のブースにアプローチしやすく、大変うまく機能したのではないでしょうか?
一人の情熱とパワーワード「クラウド」
AWSを筆頭にWestホールで扱うIPやクラウドをベースに広がる部分は、奇特なことにこのパンデミックで放送業界や映像制作との距離が一気に縮まりました。
これまでも大手メーカ側でIPやクラウドを利用したワークフローが提案されてきました。しかし、インフラの問題や時代性のものがあるのか定番化しませんでした。
機が熟したようにお馴染みのメーカーBlackmagic DesignやAdobeがクラウド(各社定義が少しずつ違うが)を全面に出しているのはお伝えした通りです。
Frame.ioが繰り出す戦略Camera To Cloud(以下:C2C)が時代を変えていくかもしれません。そして各社と大きくC2Cパートナーシップを広げAdobeはNAB2022に参戦しました。
当初Adobeは不参加の予定でした。勝機と見たのでしょう。Frame.ioとAdobeのブースでC2Cのアナウンスを続けていました。プレゼンテーションを行うのは、Adobe Frame.ioのイノベーション担当SVP Michael Cioni氏。彼の経歴も面白いです。彼のキャリアは、ポストプロダクションから始まります。ハリウッド初のファイルベースのポストプロダクションを立ち上げ、その後Light Ironという企業を兄弟で起業し、ワークフローを生み出し、その後Panavisionに買収され、Frame.ioに移り、今回Adobeに合流しました。
各社でそれぞれ携わる業務は違いますが、クリエイティブをいかに有効にするか?クラウドベースのコラボレーションの未来の基礎を築くのをサポートすることに情熱を傾けています。そしてその先の的確な未来を見せてくれることです。
今回もFrame.ioが目指す10年先のロードマップも語ってくれました。いつか全てのクリエイティブを阻害するものから、我々の時間を解放してくれるだろうと彼は言います。Frame.ioによってスマートフォンアプリからハインドエイドカメラまで、幅広く対応することで撮影後はクラウド側につながり、様々な煩雑なことから解放されていくでしょう。
時代の潮目を感じたNAB2022
元気な企業が製品やサービスを抱えてこの地に舞い降りる、それがNABです。毎回取材を通じて、新しい出会いを経験してきました。この停滞した2年間を打ち崩してくれた4日間でした。編集部にとってはこれからが本番です。また来年エキサイティングな出逢いを願ってやみません。来年ぜひまたこの地で見届けたいと思います。