2022年6月15日に発表されたRSシリーズの新作「DJI RS 3 Pro」のレビューをしよう。筆者は制作現場でかなりの頻度で「DJI RS 2」を使用していて、今回のRS 3 Proの発表を心から楽しみにしていた。RS 2と比較しながら、皆さんにお伝えできたらと思う。
今回発表されるのは「RS 3 Pro」「RS 3」の2種類。それぞれのパッケージには、単体版とCombo版が用意されている。
- RS 3単体版:税込66,000円
- RS Pro Combo版:税込79,200円
- RS 3 Pro単体版:税込99,000円
- RS 3 Pro Combo版:税込123,200円
若干大型化したキャリングケース
今回は「RS 3 Pro」のCombo版を紹介する。早速箱を開けて開封していこう。
箱から本体のキャリングケースを取り出してみた。早速DJIの刺繍されたロゴがスタイリッシュだ。やはり「Pro」という文字を見ると心なしか安心する。
自身はRS 2 Pro Combo版を保有しており、若干キャリングケースのデザインが改良されていた。RS 2が発売されて手元に届いたときに、「このキャリングケースにジンバルが入っているのか!?」と思ったあの時の衝撃は今でも覚えている。
RS 2とRS 3 Proのキャリングケースを比較してみた。サイズは若干RS 3の方が大きくなっているのが分かる。
ただRS 2のバックは収納できるチャックの部分が3つほどあったが、RS 3のバックは収納できるチャックの部分が1つになった。RS 2よりサイズは少し大きくなってはいるが、収納が凄くシンプルになって分かりやすい作りになっている。
持ち運びの際の重量感とバランスは、少し大きくなって良くなった気がした。RS 2のキャリングケースは少し小さすぎてあまりバランスが良くなかった印象だ。
Combo版は豊富なアクセサリーを同梱
では早速キャリングケースの中身をみていこう。収納物はRS 2と比較していろいろと増えている。アクセサリー類などを収納してある部分はロッドクランプなどが追加して、かなりプロ向けに用意されている印象だ。
ケーブル類も豊富に用意されており、RS 2同様にRavenEyeなどに接続する用にHDMIケーブルやカメラとRS 3をコネクトする様のType-Cのケーブルなど豊富に収納されている。
次にキャリングケースの右側をみていこう。
RS 2 Proと比較して標準ラインナップがかなり増えている。サードパーティーなどで販売されていたローアングルなどを撮影する際に必須だったクランプなども用意されている。このクランプが装備されているのは、本当に嬉しい。
筆者がRS 2を購入した際にこのクランプが欲しくていろいろと探したが、サードパーティー製や純正も全て完売していて、辛い思いをした経験がある。しかし、RS 3標準で搭載しているので、その心配はもう無さそうだ。
そしてRS 2などで使用していたアクセサリなどは互換性が多くあるようだ。なので、皆さんが既に持っているアクセサリなどはそのまま使用できるだろう。
後はRavenEyeもあり、フォーカスモーターなども装備されている。正直この量の装備はビデオグラファーや制作をワンマンでされている方はRS 3 Pro Combo版を購入したらかなり満足できるのではないだろうか。もちろんそれぞれの制作スタイルに左右されるが、RS 3 Proであらゆる現場で活躍しそうだ。
自動軸ロック機能は便利
では実際にRS 3 Proを組んでみよう。
今回はLUMIX GH6とRS 3 Proで簡易的に組んでみた。まずRS 3 Proを組んだ状態で持ってみたところ、なかなかの重量感がある。RS 2と違いRS 3 Proは単体でも少し片手では重たい感じがした。
型番 | RS 3 Pro | RS 2 | RS 3 | RSC 2 |
積載量(試験地) | 4.5Kg | 4.5Kg | 3.0Kg | 3.0Kg |
ジンバル重量 | 約1.5Kg | 約1.5Kg | 約1.3Kg | 約1.2Kg |
軸ロック | 自動軸ロック | あり | 自動軸ロック | あり |
内蔵モニター | 1.8インチフルカラーOLEDタッチ画面 | 1.4インチフルカラーLCDタッチ画面 | 1.8インチフルカラーOLEDタッチ画面 | 1インチ白黒画面 |
主要素材 | カーボンファイバー+アルミニウム合金 | カーボンファイバー+アルミニウム合金 | アルミニウム合金 | アルミニウム合金 |
Wi-Fi画像転送 | あり | あり | あり | あり |
ToFフォーカス調整 | LiDARフォーカス調整 | ToFシングルポイント範囲測定 | ToFシングルポイント範囲測定 | − |
カメラ制御 | 無線Bluetoothシャッター | シャッターケーブルが必要 | 無線Bluetoothシャッター | シャッターケーブルが必要 |
そしてRSC 2で使用されていたRoninをロックするデザインが採用された。突起している部分が大きいため、手で直感的に操作してロックできるように変更された。RS 2に採用されていたロックのデザインは視認してロックする様なデザインであったが、このデザインの変更は素晴らしいと思った。
そしてRS 2ユーザーはかなり驚くであろう(筆者もビックリした)のは、自動軸ロックという機能の搭載だ。これはスタビライザーの電源がオン/オフまたはスリープ状態に移行/解除になると、軸ロックが自動的にロックまたはロック解除される。
この機能は本当に撮影する方を想定して設計されたのではないかと思った。写真では伝わりづらいが、電源ボタンを押すと自動的にロックは解除される。もちろん手動でロックおよびロック解除することも可能。逆に電源がついている状態から電源をオフにすると自動的にロック状態までもっていってくれる。
ただしカメラを載せた状態だと、写真のような中途半端な状態で自動的にロックされるので、一瞬ドキッとする。落ちるようなことはいままでなかったが、「心配だな」という方はカメラを外してからのロックをお勧めする。
それにしてもやはり制作現場で必ず行わなければならないフローが1つ減るのはすごく助かる。この機体で制作現場に行くのが楽しみになる。
ジンバルモードスイッチでより直感的にジンバルを操作可能
そして今回なによりも注目したのが、1.8インチOLEDタッチ画面だ。RS 2のモニターサイズは1.4インチだったが、RS 3 Proは1.8インチと少し多化型を実現している。
さらに驚いた機能が、タッチ画面でジンバルの各モードを選択していたが、OLEDタッチ画面の右側面にジンバルモードスイッチが搭載された。上から順に「PTF(パン・チルト・フォロー)」「PF(パン・フォロー)」「FPV(パン・チルト・ロール・フォロー)」を切り替えることができる。
またFPVスイッチに切り替えてタッチ画面上で他のモード(3Dロール 360、ポートレート、カスタム)にもカスタマイズすることも可能だ。
RS 3にジンバルモードスイッチが搭載されたことによって、より直感的にジンバルを操作できるようになった気がする。スイッチの場所を覚えておくだけで制作現場で撮影を中断することなくスムーズに撮影できるので嬉しい。
また今回Bluetoothシャッターボタンという機能が追加しており、Bluetooth接続により、シャッターレリーズケーブルが不要という画期的な機能が搭載された。ケーブルレスになったこともあり、かなり制作現場では負担は減りそうだ。
まとめ
今回はRS 3 Proの開封レビューを行った。実際RS 2と比較してかなりグレードアップしている印象だ。そしてなにより制作現場での使用を想定して設計されているように感じられた。制作現場で直感的に操作できて、負担を軽減する設計だと思った。
筆者だけでなく皆さんもRS 3 Proを制作現場で使用して、素晴らしい作品が生まれることが楽しみだ。
Ren Takeuchi|プロフィール
映像ディレクター。主にカラーグレーディングを得意とし、DaVinci Resolve公認トレーナーを務める。企画・ディレクション・撮影・編集をワンストップで行う。TVCM、WebCM、PV、ライブ配信、MVなど様々な制作を手掛ける。