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DJI RS 3シリーズと同じタイミングで、関連機器として「DJI LiDARレンジファインダー(RS)」と「DJI Transmission」が発表となった。

DJI LiDARレンジファインダー(RS)はマニュアルフォーカスレンズをオートフォーカスレンズのように扱えるようになる製品、DJI Transmissionは撮影・入力映像に関してモニタリング、記録、配信、機器設定などが可能となる製品だ。

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DJI LiDARレンジファインダー(RS)とDJI Transmission

特にDJI Transmissionは様々な機会や運用シーンに対応するが、今回はDJI RS 3 Proの周辺装置として2つの製品を紹介する。

  • DJI LiDARレンジファインダー(RS):税込68,200円
  • DJI Transmission:税込286,000円

DJI LiDARレンジファインダー(RS)

DJI LiDARレンジファインダー(RS)(以下:DJI LiDAR)は、一言で言うと、マニュアルフォーカスのレンズにオートフォーカス機能を追加する装置だ。DJI RS 3 Pro(以下:RS 3)の先代にあたるDJI RS 2の周辺装置として登場した、DJI RS 3Dフォーカスシステムのアップデート版と言えるだろう。

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外観

本体にはLiDARセンサー、光学カメラ、Fnボタン、AF/MFボタン、C1~C3のLED、USB-Cポート、RSSカメラ制御ポート(USB-C)が装備されている。

Fnボタン

短く押すことで、本体電源のオン、押すごとにC1~C3のチャンネル切り替えのために機能する。C1~C3のチャンネルポジションは、DJI LiDARのLED点灯とRS 3の液晶画面表示に対応する。長押しすると電源オフだ。

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Fnボタン

AF/MFボタン

押すごとにオートフォーカス、マニュアルフォーカスの切り替えとなる。その状態は背面のLEDの色で確認できる。緑色がオートフォーカス、赤色がマニュアルフォーカスだ。

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AF/MFボタン
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LED

RS 3、カメラに搭載

RS 3およびカメラへは、本体付属のクイックシューによりカメラ上部に搭載するのが標準となる。

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RS 3およびカメラにマウントした状態

レンズのフォーカス操作はDJI RSフォーカスモーター(2022)(以下:フォーカスモーター)が担当する。DJI LiDARからフォーカスモーターへ、フォーカスモーターからRS 3へUSB-Cケーブルで接続する。

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DJI LiDARとフォーカスモーター

フォーカスモーターのギアはレンズのフォーカスギアと噛み合うことになる。DJI LiDAR使用中にギア同士のテンションでカメラがツイストするなどしないように、付属のレンズサポート(ストラップ固定式)でロッドに締め付ける。

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表裏ベルクロ地のレンズサポート

ただ、レンズサポート(ストラップ固定式)の締め付け位置はレンズ鏡胴の伸び縮みする箇所では不適切なので、一考が必要となる。

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取り付けたレンズサポート

設定

RS 3の液晶画面が拡大したためモニタリング、設定に際して画面は見やすい。

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LiDAR標準画面
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LiDAR詳細画面

設定中は画面下にガイドが流れるので、迷いにくい。

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画面下に流れる設定ガイド

最初に行う必要があるのは、使用するレンズについての設定だ。焦点距離別にプロファイルを作成する。プロファイルは3つまで保存でき、切り替え状態は先述のFnボタンによるC1~C3のLED表示で確認できる。

まず設定先プロファイルを一つ選択する。

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レンズプロファイル選択画面

次に焦点距離を入力し、フォーカスモーターのキャリブレーションを行う。

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レンズ焦点距離設定画面
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フォーカスモーターキャリブレーション完了画面

最後に対象物まで1メートル、4メートルの際のフォーカスリング位置を記憶させる。設定中にDJI LiDARから対象物までの距離が画面端に表示される。

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フォーカスリング位置のキャリブレーション(1メートル)

なお、設定中全般にわたり、DJI LiDAR本体に搭載された光学カメラによる映像が表示されるので、なにかと感覚的に理解しやすい。DJI RS 3Dフォーカスシステムでは、文字、数字と簡易なグラフィックで表示され、少々理解に戸惑うようなものであった。

実用

先にまとめ的に述べる。同等の製品、DJI RS 3Dフォーカスシステムとの比較でみれば、まず先述のように実写映像がリアルタイムオーバーレイされる画面が圧倒的に使いよい部分だ。あらたに画面全域を検出、追従領域とするActiveTrack Proの動作も良好で、Ronin映像トランスミッター(旧RavenEye映像伝送システム)とRS3本体によるActiveTrack 3.0より精度、確実性が大きい印象だ。

標準では、ワイドモード。RS 3液晶画面中央に表示された枠を重点とし対象物を検知、フォーカスされる。

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ワイドモードの画面

画面左下のアイコンをタップすることでフレキシブルスポットモードとなり、画面全体の任意部分をドラッグし作成した矩形枠が対象物検出範囲となる。画面中央のみをフォーカス対象としたDJI RS 3Dフォーカスシステムとの大きな違いだ。

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フレキシブルスポットモードの画面

ActiveTrack Pro

対象物を検出すると枠が追従するので、RS 3のトリガーボタンでロックする(枠が白色から緑色になる)ことで、対象物を自動で追いかける。

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対象物体検出中(枠は白色)
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RS 3のトリガーボタン
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対象物設定、追従中(枠は緑色)

DJI LiDAR自体に光学カメラを搭載し映像を直接読み込んで動作するので、正確かつ応答性が大きいとされている。今般も引き続き周辺装置となっているRonin映像トランスミッターも、ここでは必要でないので、システム全体が煩雑にならなくて良い。

筆者は今回、焦点距離50mm(SIRUI 50mm F1.8 Anamorphicレンズ)を使用したのだが、RS 3の液晶画面に表示されるDJI LiDARの光学カメラ(焦点距離30mm、70°FOV)との画角差が大きい。

最終的に撮影されるのはカメラレンズ側の画ではあるのだが、設定の流れでついついRS 3液晶画面を参照してしまうこともあるし、これにより動作感にも慣れにくい。ユーザー個々の使用感把握のため、導入当初はDJI LiDAR光学カメラと同等の画角のカメラレンズを使用してみるのが良いかもしれない。

物理ボタンによるオートフォーカス、マニュアルフォーカスの切り替えも良好だ。レンズプロファイル保存数について、3つという数が十分かどうかはロケーション規模によるところだろう。単純な話、多ければスムーズに撮影を進められる。

他のシステムに比べ、原理的なところによるものか、低照度環境下の動作が得意とのこと。これはいずれ機会があれば試してみたいと思う。

単体での使用が可能

このシステムは、RS 3から取り外して単体で使用することもできる(レンズのキャリブレーションの際にはRS 3が必要)。DJI RS 3Dフォーカスシステムの登場以来、筆者的に期待していたことなので、これはうれしい仕様だ。

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DJI製品ページより。LiDAR単体使用のイメージ

▶参考:DJI RS 3 Pro

さらに、DJI LiDARと連携してキャリブレーションが不要のレンズも登場するとのことだ。

  • DZOFILM Vespid Cyber 35 mm
  • DZOFILM Vespid Cyber 50 mm
  • DZOFILM Vespid Cyber 75 mm
DZOFILM Vespid Cyber
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DJI Transmission

DJI Transmissionは幅広くDJIのプロアクセサリーカテゴリーに属する製品で、DJI Ronin 4D映像トランスミッター(以下:トランスミッター)とDJI高輝度遠隔モニター(以下:モニター)からなるセットだ。

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内容物

製品一式は専用の保護ケースに収められている。

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保護ケースを開いたところ

トランスミッターとモニターのほか、バッテリーや充電器、モニターフードなどが同梱される。

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バッテリーとバッテリー充電器
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モニターフード

その他、マウントアダプターやバッテリーアダプター(WB37バッテリー、NP-Fバッテリー、Vマウントによる各種給電に対応)、ネジが同梱されている。

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各種アダプター、ネジ

DJI Ronin 4D映像トランスミッター

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外部からの映像を入力、無線伝送する製品。操作設定部インターフェースは電源ボタン、液晶画面、押し込み対応のダイヤル、BACKボタンとシンプルだ。

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電源ボタン、液晶画面、BACKボタン側

電源ボタンは短く押して電源オン、長押しで電源オフ。ダイヤルを押し込むとメニューが表示され、ダイヤルを回して選択、押し込みで決定となる。設定時、前の画面に戻るにはBACKボタンを押す。

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液晶画面の表示

操作設定部の反対側はSDIの入出力、HDMI入力、USB-C、DC-INの各ポートが備えられている。

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各種ポート装備側

RS 3へは同梱の三角型のプレートをトランスミッターに装着の上、取り付ける。

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三角形プレート装着
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RS 3へ装着した状態

なお、トランスミッターは比較的重量があるので、ジンバルのチルト軸バランスの取りようによってはカメラの上に装着したり、そもそもジンバル軸に関係しないところへ配置することもアリだ。

カメラからの映像は、SDIもしくはHDMIポートにて映像入力となる。HDMIのポートはRonin映像トランスミッター(旧DJI Ronin RavenEye映像伝送システム)がminiHDMIであるのに対し、フルサイズのHDMIポートとなっている。

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フルサイズのHDMIポート

RS 3との連動が必要な場合は、DC-INポートとRS 3のUSB-Cポートを同梱のUSB-C-LEMO電源ケーブルで接続する。なお、この接続形態ではRS 3からトランスミッターへ給電が可能となっているが、その分RS 3のバッテリー消費が大きくなるので注意が必要だ。

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DC-INポートとUSB-C-LEMO電源ケーブル

DJI高輝度遠隔モニター

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トランスミッターに入力、伝送される映像を表示、モニタリングする端末。

モニター部

画面は1920×1200解像度、1500ニトでとてもキレイで明るい。表示映像や各設定項目はストレスなく視認できる。出荷時の状態で1/4ネジ穴など各種マウント対応の強固なケージにはめ込まれている。

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標準画面
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設定項目画面
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接続モード選択画面

ウェーブフォーム、フォルスカラー、フォーカスピーキングなど、一般的な撮影モニタリングに必要な各種項目、ツールは揃っている。

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モニタリングツール画面

背面はWB37インテリジェントバッテリーポートとDJI遠隔モニター拡張プレート(SDI/HDMI/DC-IN)の取り付けに対応する。

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モニター背面

DJI遠隔モニター拡張プレート(SDI/HDMI/DC-IN)を装着にすると、SDIとHDMIの出力に対応する。

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DJI遠隔モニター拡張プレート(SDI/HDMI/DC-IN)
  • DJI遠隔モニター拡張プレート(SDI/HDMI/DC-IN):税込46,200円

両側面は電源ボタン、USB-Cポート、HDMI入力ポート、microSDスロット、ヘッドフォンジャックが備えられている。

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モニター左側
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モニター右側

microSDスロットに挿入したmicroSDカードには、1080p/60fps H.264フォーマットで画面記録が可能となっている。また、両側面の専用スロット・端子にはDJI Ronin 4Dハンドグリップを取り付けられ、トランスミッターを経由してカメラレンズのフォーカスなどが行える。

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DJI Ronin 4Dハンドグリップ

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モニターにDJI Ronin 4Dハンドグリップを取り付けた状態
  • DJI Ronin 4Dハンドグリップ コンボ:税込77,000円

DJI Ronin 4Dハンドグリップ装着により、RS 3の遠隔操作も可能となる。Gyroscopeを使用して、モニターの傾きどおりにRS 3を操作できるものだ。

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Gyroscopeの設定画面
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Gyroscope動作中

その他、対トランスミッターではなく、複数の受信端末に映像をシェアするブロードキャストモードも実装している。伝送仕様は対トランスミッター時と異なるが、大きなプロダクション、大人数のモニタリングに重宝する。

導入について

トランスミッターとモニターを合わせて多機能かつ高品位で、プロダクションの要望や既存製品の仕様をよく研究して作り上げられている印象だ。

大プロダクション、大規模ロケーションなどでは大いに活躍することはもちろん、小規模プロダクションやワンマンオペレーションにおける単機能を意図した採用もアリだ。

ちなみに初期コストが大きいと感じられるなら、各製品は単体キットとしても用意されているので、必要を感じるものからひとつひとつ導入してみるのはいかがだろうか。

  • DJI映像トランスミッター:税込129,800円
  • DJI高輝度遠隔モニター:税込162,800円
  • DJI遠隔モニター拡張プレート(SDI/HDMI/DC-IN):税込46,200円
  • DJI Ronin 4Dハンドグリップ コンボ:税込77,000円
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モデル:SASSAN

協力:STUDIO EX(舞鶴)

伊丹迅

綺麗め女子、ネコ、風景を写真・映像で素敵に表現する作家、ドローンパイロット。「Panasonic S5/S1/S1R/S1H User’s Information Board」「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K & 6K info」「DJI RS2/RSC2、RONIN、RONIN 4D使用者懇談会」「DJI MAVIC・SPARKオーナーズ」などのFacebookグループを管理運営する。徳島ドローン協会 設立者/事務局長。正体は悪魔音楽集団「ギロチン伯爵」主宰/ヴォーカリストの悪魔、デーモン獄長。