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この1週間ほど、DJI RS 3 Proをお貸しいただき、使わせてもらった。筆者自身のジンバル歴は「Nebula 4000 lite」から始まり、10本くらいジンバルを買い続けている。ジンバルを買い続ける理由はカメラの大型化に伴い、持っているジンバルが使えなくなったことや、持ち運びしやすいなどの使い勝手が購入動機になっている。既にRS 3 Proは購入して現在絶賛使用中だ。

DJIRS3Pro_Vol.05_説明写真
■DJI RS 3 Proの仕様
  • 積載量(試験値):4.5kg
  • 最大制御回転速度:パン:360°/s チルト:360°/s ロール:360°/s
  • 重量:ジンバル:約1143g グリップ:約265g
  • 延長用グリップ/三脚(金属製):約226g 上部および下部クイックリリースプレート:約107g
  • ジンバルサイズ 展開状態:415×218×195mm(長さ×幅×高さ。高さには、グリップを含み、延長用グリップ/三脚は除く)
  • バッテリー最大動作時間:12時間
  • 充電時間:約1.5時間

RS 2とRS 3 Proの比較

DJI RS 2にキヤノンEOS R5、RS 3 ProにニコンZ 9を載せて比較してみた。まずアームが大きくなったことに目が止まる。RS 2では載せるのが厳しかったシネマカメラなどが載る。

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左がRS 2、右がRS 3 Pro。RS 3 Proは奥行きにゆとりがある
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左がRS 2、右がRS 3 Pro

次に自動ロックが導入されたことにより、ロック、解除のボタン位置が一部変更されている。また背面液晶モニターも大きく見やすくなった。モニター横のMボタンと録画ボタンが反対になった。

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自動軸ロックの折り畳み状態の様子

RS 2ではMボタンを押すことにより、モードを切り替えていたが、RS 3 Proでは電源ボタン上部にある物理ボタンでモードを切り替える。

自動ロックやアームの大きさに感激

最初に感動したのは自動ロック。電源をオフにすると自動でジンバルが折り畳まれ、各アームがロックされる。電源をオンにするとロックが自動で解除され使用可能になる。持ち運びが便利になるだけではなく、使用時にロックを解除し忘れることがないのもありがたい。

自動軸ロック機能の様子

次にアームが大きくなったことが大きい。RS 2ではRED Heliumを運用するのが厳しくて、シネマカメラに公式対応するZHIYUN CRANE 3Sを使用していた。RS 3 Proでは公式サイトに対応掲載はないがRED HeliumにニコンAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDのレンズを付けた状態で問題なく使用できた(アプリのモーターパラメーター→「剛性」を強化で対応。あくまでも自己責任で)。

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RED Heliumがバッテリー付きで使える
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※画像をクリックして拡大

ワンカット動きのある映像を入れたい時などは、今までZHIYUN CRANE 3Sを使用していたが、ワンマンで撮影する際など小型で軽量なRS 3 Proが使えるのは大きい(下部クイックリリースプレート(延長用)を使用)。スライダーショット的な撮り方でも積極的に使用したいと感じた。

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下部クイックリリースプレート(延長用)を使用

ニコンZ 9ではSmallRigのケージ下部がアルカスイス互換となっているため、これまた同社のアルカ互換プレート(SmallRig RS 3/RS 3 Pro/RS 2/DJI RSC 2/Ronin-S用マンフロット規格クイックリリースプレート(アルカスイス互換)3061)を使用することにより、直接カメラを付けられる。ネジ一点でプレートに止めるのとは違い、緩むことがほぼないので大変重宝している。

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Z 9にSmallRig社製リグとアルカスイス互換プレートを使用
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Z 9にSmallRig社製リグとアルカスイス互換のプレートを使用した様子

次に感動したのは、ジンバル使用時にジンバルをロックできるようになったことだ。直線に進む映像を撮りたい場合は今までジンバル前方にあるボタンを人差し指で押しっぱなしにする必要があった(Ronin-S、RS 2)。

RS 3 Proでは、ジンバル前方にあるボタンを人差し指で押しっぱなしにした後、背面の液晶モニターをタッチすることで、ジンバルをロックした状態で使用できるようになった。ハイパーラプスなど、長い距離を移動する撮影では、ボタンを人差し指で押しっぱなしにする必要がなくなったのが大きい。また、人差し指に意識を取られることなく、撮影に集中できるようになった。

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ここからは、アートアクアリウム美術館(東京銀座三越)でZ 9をRS 3 Proに載せて撮影したので紹介しよう。カーボンファイバー製軸アームのRS 3 Proは軽くて持ち運びもしやすく、このような三脚が禁止されている場所でFIX映像を撮る場合にも効果を発揮した。

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銀座三越に2022年5月に誕生したアートアクアリウム美術館GINZA

次に、FX3をRS 3 Proに載せてオープンカーで高速道路を時速80km走行した。風や路面の影響で、かなり揺れた映像になるのではないかと懸念したが、第三世代に進化した安定化アルゴリズムによって、とても安定した映像が撮影できた。これならばカーマウントやジブに載せて撮影する際も問題なく使用できるはずだ。

まとめ

DJI RS 3 Proは、次世代の進化した安定化アルゴリズムによって、あらゆるシーンで安定した映像が撮れる。自動軸ロック、解除を搭載したことで、素早くセットアップできるだけではなく、ロック解除し忘れての誤作動も防いでくれる。ジンバルのアーム同士がぶつかり、傷だらけにならないのも嬉しい。また、アームが一回り大きくなった事により、今回RED Heliumも問題なく使用できた(公式サイトでは対応表記をしていないので、あくまで自己責任で)。

繰り返しになるが、ジンバルをロックした状態で使用できるようになったり、直線に進むカットや簡易スライダー的使い方などがとてもしやすくなったし、外見上の大幅なモデルチェンジではないので、Ronin-S、RS 2で使用していたパーツなどが流用できるのも嬉しい。外部モニターを付ける際など、パーツを流用できるのはコスト面でも大きい。RED Heliumのジンバル運用でVマウントバッテリーを使用したいので、TILTAのアドバンスリンググリップはぜひとも欲しい商品だ。

リンググリップは、DJI Ronin-M、MX、Crane3Sなどでも重宝しており、地面に気軽にカメラを下ろせる点と、両手グリップによる安定感の向上が期待できる。既に筆者はRS 3 Proを実践投入しており、大変満足している。

羽仁正樹 (Saha Entertainment)
東京を拠点にグローバルに活躍する映像クリエーター、写真家。自身が撮影し制作を手がけた映像・写真の作品は、TV 番組や映画、世界各国で開催される展示会、ディスプレイ、TVCM やポスターなどの広告に多用された実績を持つ。