Vol.06 YouTube用動画にCR-N500とコントローラRC-IP100導入。キヤノンリモートカメラ導入インタビュー[PTZ SCENES]

愛知県岡崎市にて、映像をはじめとしたメディア制作事業を展開している株式会社NEXT ARROWが、YouTube用動画制作の機材としてキヤノンのリモートカメラ「CR-N500」とリモートカメラコントローラ「RC-IP100」を導入した。YouTubeコンテンツ制作としてのリモートカメラの使い勝手やその印象について、株式会社NEXT ARROW 代表取締役 牧野智仁氏にお話を伺った。

――NEXT ARROWの業務内容について教えてください。

牧野氏:

映像、WEB、デザインといった様々なメディア制作をしています。映像に関しては、CMや企業のプロモーションビデオ、アーティストのミュージックビデオ、イベントのマルチカメラ系映像、そしてYouTube用の動画制作などを行なっていますが、コロナ後はライブ配信のニーズも増えまして、会社説明会や業績報告会なども数多くご依頼を頂いています。

株式会社NEXT ARROW 代表取締役 牧野智仁氏

――今回YouTube用の動画制作のための機材としてCR-N500とRC-IP100を導入した経緯を教えてください。

牧野氏

YouTubeコンテンツの企画の幅を広げるツールとして、スタジオに複数台の俯瞰カメラを設置したいという要望がありました。
また、テーブルを複数人で囲んでゲームをするという企画もあり、それを俯瞰で撮影したいという意見もありました。通常のビデオカメラをジブやブームスタンドに取り付けるという案もあったのですが、毎回の設置に手間がかかってしまいます。
導入するにあたって防犯カメラも検討しましたが、基本的にズームやアングル変更はできませんし、そもそも用途が異なるため、通常のカメラ映像素材と混ぜて使う場合に画質が満足のいくものではありませんでした。
リモートカメラについて色々と調べていくと、キヤノンは他社製よりもワイド端が広いということが判りました。複数人を俯瞰で撮るので広い画角は必須でした。

キヤノン屋内用リモートカメラ「CR-N500」「CR-N300」
4K PTZリモートカメラ「CR-N500」と、リモートカメラコントローラー「RC-IP100」

――今回CR-N500とRC-IP100はどのように設置されたのでしょうか

牧野氏:

今回CR-N500を5台導入しまして、すべて撮影現場の天井に設置をしています。PoE+給電に対応しているので、それを使って電源は常に入っている状態になっています。また、SDIとHDMI同時出力ができるので、撮影している映像を出演者が現場でも見られるように1台だけHDMIを現場のテレビに繋いでいます。

    テキスト
システム図※画像をクリックして拡大
天井にCR-N500を5台設置

――これまでにもリモートカメラを使用したことはあったのでしょうか?

牧野氏:

以前、YouTubeではない別の仕事で伺った現場に他社のリモートカメラがあり、少しだけ触った程度ですが、操作が大変そうだな、という印象でした。ズームやパンも自分の思い通りにはなかなか動かすことができませんでした。

――実際にCR-N500とRC-IP100を使ってみていかがだったでしょうか

牧野氏:

実は今回、納品前に機材の試用ができなかったので、以前のリモートカメラの印象もあって正直不安もありました。しかし実際に使ってみると非常に使いやすい作りになっています。

良い意味で"業務用ではない"コントローラRC-IP100

牧野氏:

タッチパネルがメインになっていることもあり、とてもとっつきやすいインターフェースになっていますし、コンパクトなので設置場所にも困りません。
カメラの切り替えや各種設定もビジュアルとして直感的に行えました。私が初めて触った時も数時間でマスターできましたし、現場の映像専門でない方も操作する可能性があったため一通りお話をさせていただきましたが、とても説明しやすく助かりました。
これがいわゆる業務用のインターフェースですと、覚えるのも使うのも抵抗があったのではと思います。

コントローラRC-IP100が設置された操作コーナー

なめらかにパン、ズームができる

牧野氏:

以前使った機材ではパン、ズームが難しかったのですが、CR-N500では非常に滑らかに動かすことができました。場合によっては手動でカメラを振るよりも綺麗な動きではないかと思うこともありました笑。そしてパン、ズーム、チルトの様々な動きをプリセット登録できるのでとても便利だと感じています。

様々な用途に耐える綺麗な画質

牧野氏:

CR-N500の画質は想像以上に綺麗です。収録が長時間になることもあるので、収録のデータレートをある程度低くすることもあると思います。その場合も元の画質が良いのでほとんど問題ないと感じています。
また、編集時に拡大して撮影素材の一部分だけを使うことも想定していますが、そのようなことにも耐えられる画質だと思います。そして暗い場面もテストしましたが、高感度でも想像よりノイズのない画質でした。通常のビデオカメラと混ぜて編集しても全く遜色のない画質です。
リモートカメラ本来の使い方としては、具体的なイベントの配信など、用途が決まっている状態で導入されることが多いと思うのですが、今回YouTubeコンテンツ制作用にリモートカメラを導入するにあたっては、テーブルでゲームをしているところを撮影する以外に、撮られていることを知らせずに収録するいわゆる隠し撮りなど、いくつかの具体案があります。それ以外にもまだまだ色々な使い方があると考えており、リモートカメラの多様性を感じています。

――YouTube動画以外で、CR-N500や他のキヤノンのリモートカメラが活用しそうなシチュエーションを教えて下さい

牧野氏:

ライブ配信で拠点が複数箇所ある場合、それぞれの会場に通常のカメラを設置すると、誰かがカメラに触れて動いてしまわないようにとか、急遽アングルなどを変えなければならないといった感じで結局そのカメラのケアをする人員が必要になります。リモートカメラが拠点の数だけあればカメラの制御はすべて1箇所でできますし、人が触れられない場所に設置もできるので効率化が図れると思います。
最近では、花火大会のライブ配信の制作をさせていただきましたが、キヤノンのCR-X300は屋外対応で防塵防水設計なので、人が近寄れないような場所に設置することで迫力のある花火の映像が配信できるのではと思います。