アカデミー賞への近道? 今年もSXSW2023「Film & TV」部門
アカデミー賞と同じタイミングの3月に行われるSXSWでは、その年に公開される映画がプレミア上映されるため、映画・テレビ業界にとっては翌年のオスカー候補作をいち早く占う場所としても注目されている。
12日には昨年のSXSW2022でプレミア上映された「Everything Everywhre All At One」が、アカデミーの作品賞や主演女優賞などで最多受賞を成し遂げ、SXSW開催中のオースティン現地でも盛り上がりを見せている。
今年もSXSWのFilm部門では、長編・短編・ドキュメンタリー・TVシリーズなどジャンル毎に多数の独創性のある作品がラインアップされており、これらの作品が10日間の会期中にオースティン近郊の大小さまざまな劇場で約200以上の作品が上映されている。全てはとても紹介しきれないが、本記事ではHeadlinerと呼ばれる大型作品の中から注目作を中心にピックアップして紹介する。もしかしたらこの中から、来年のアカデミー賞候補が生まれるかも?
近年のトレンドとして、映画作品に加えてテレビドラマシリーズの上映が増えてきており、SXSWでも今年からFilm FestivalからFilm & TV Festivalに名前を変えて開催している。また、今年は例年以上にホラー映画のプッシュが強く、昨今のアメリカの映像業界の流行としてより刺激的なコンテンツが好まれているようだ。
SXSW2023「Film & TV」部門の見どころ
Dungeons & Dragons: Honor Among Thieves
SXSW2023 Film部門の幕開けとなるOpening Night Filmは、ファンタジーRPGとして世界的に人気のあるボードゲームシリーズ「Dungeons & Dragons」の映画化作品。主演のChris PineやMichelle Rodriguez等のキャストは、Paramount Theaterの前に設置されたレッドカーペットにも登場した。今作は日本を含む世界各国で、3/31から公開予定。
Evil Dead Rise
SXSWはホラー作品の宝庫とも言える。今年の映画の注目作としては、「死霊のはらわた」シリーズの最新作がプレミア上映される。オリジナル版のSam Raimi監督が今作にはプロデューサーとして関わっており、制作陣によるパネルセッションにも登場予定。往年のホラー映画ファンにとっては必見のコンテンツと言えるだろう。SXSWにはMIDNIGHTERSというカテゴリーがあり、その他にも多くのホラー映画がラインナップされているので、ホラー好きの方はこちらからラインナップをチェックしてほしい。
Swarm
昨年のSXSWにも登場したDonald GloverとJanine Nabers監督による、Amazon Prime Videoの新作ドラマ「Swarm」。全米での配信開始に先駆けて、第1話がSXSW2023初日夜に上映された。Beyonceを彷彿とさせるR&Bスターが登場するサスペンス/ホラー作品ということで話題になっている。
オースティンの街中の至るところで、本作の広告が掲示され、中心地から少し離れたSouth Congressのモーテルでは、本作の世界観が再現されたアクティベーションに注目だ。
Yellowjackets
遭難した女子高生グループのサバイバルを描いたShowtime制作のドラマシリーズ「Yellowjackets」のシーズン2も、SXSW2023で大々的に取り上げられている。映像上映自体は無かったが(あえてそういう戦略らしい)、イベント会場を貸し切りで作品の世界観を再現するプレゼンテーションでアピールしていた。このように制作会社がこぞってホラー作品を大々的にPRしているのが今年の特長と言えそうだ。
Joy Ride
共同脚本家にCrazy Rich AsiansのAdele Lim、プロデューサーにSeth Rogenを迎えた話題のコメディ作品。ちょうど同時期に開催のアカデミー賞で作品賞を受賞した「Everything Everywhere All At Once」に続いて、今作にも俳優のStephanie Hsuが出演している点にも注目。
街が映画関係者で溢れ返る10日間
もちろん話題作以外にも、ドキュメンタリーやショートフィルム等、SXSWでは多くの作品が期間中に上映されている。映画・ドラマ好きであれば、SXSW2023の上映作品のラインナップをこちらでチェックしてみてほしい。
さらに映画の上映だけでなく出演者や制作陣によるセッションが開催される点もSXSWの大きな特徴と言える。世界中から集まる映像業界のプロフェッショナルによって、新たな映画の制作方法や、ストーリーテリングのアイデアが議論される事で、映像制作の未来が切り開かれていく場となっている。
今年は「Creating Film&TV」と、「Film&TV Industry」の2つのトラック(カテゴリー)が設定されているので、それぞれどの様なトピックの議論が行われているかにも注目してほしい。