まずは照明部門の振り返りから紹介しよう。
LEDライトは、撮影機材の中でもすさまじいスピードで進化を遂げているジャンルだ。2018年頃に300WクラスのLEDライトが発売されると、2021年には600W、2022年には1200wが登場。そして2023年、Aputureは2,600Wの「Electro Storm XT26」、NANLUXは2400Wの「Evoke 2400B」を発表。筐体サイズは多少大きくなるものの、毎年2倍ペースの光量アップは驚きの急成長ぶりである。
照明業界のニュースで思い出されるのは、AputureのProlychtの買収劇だ。Aputureはカラーサイエンスとソフトウェアアルゴリズムで評価の高いProlychtの技術的才能を引き継ぎ、両社は新たに協力していくという。
そしてもう1つ、業界全体で広く使用されているSkyPanelシリーズの新製品ARRI「SkyPanel X」発表も大きな出来事だった。8年ぶりの更新で、調光のコントロール、カラーサイエンス、出力品質などを強化してきた。モジュラーシステム採用で、様々なサイズに構成可能。広い範囲を均一に照らすフラットライトだけでなく、集光光学系の交換によって強力なスポットライトとしても使用可能。1台2役で運用ができるのはユニークだ。
照明部門のファイナリストを発表しよう。
Rotolight AEOS 2
発売日:2023年3月9日
希望小売価格:税込282,590円(Base Kitの場合)/税込363,000円(Explorerキットの場合)
定常光とフラッシュ撮影を行えるLEDライトだ。1670万色ものカラーバリエーションと2500種類のデジタルフィルターにより、よりクリエイティブな撮影ができる。フラッシュ発光時でもリサイクルタイムがなく、1本のバッテリーで最大10万回のフルパワーフラッシュ撮影が可能。内蔵されたElinchrom Skyportレシーバーにより、Skyportトランスミッター(オプション)を使ったワイヤレス・トリガーも可能なため、オフカメラ・フラッシュ撮影が簡単かつ快適に行えるという。Inter BEE 2023で展示のあったRotolightの新製品「Anova Pro 3」は、2024年3月発売のため本ノミネートの対象外とした。
Phottix G-Capsule Softboxシリーズ
発売日:2023年3月9日
希望小売価格:税込29,920円(G-Capsule Deep Softbox 40cmの場合)
多様なライティングを可能にするソフトボックスだ。一般的なソフトボックスで可能なグリッドやビューティーデッシュの効果に加え、全方向へライティングが可能なランタンモードまで、1つの製品で実現できるオールインワンパッケージとなっている。8種類のサイズとスタイルをラインナップし、さらにマグネット式ジェルフィルターホルダーが付属しており、4色のジェルフィルターを装着可能。ワンプッシュリリースロック解除システムを採用し、簡単に折りたためるようになっている。トランスルーセントアンブレラをベルクロで固定することで、ランタン仕様で使用も可能としている。
ZHIYUN MOLUS G200
発売日:2023年7月
ジンバルで有名なZHIYUNは、照明製品にも新規参入。手のひらサイズのパワフルな200W COB(チップオンボード)光源で、ライブストリーミング、インタビュー、ポートレート撮影、コマーシャル広告撮影に最適としている。コンパクトなサイズ(127mm×67.5mm×225mm)、2.209kgの製品重量で、ユーザーはどこへでも持ち運べる。ワンプッシュのMAX Extremeモードで300Wにパワーアップする。2つのインタラクティブ・ボタン、便利なロープ、ディスプレイ・スクリーンを備えたコントローラーが付属しており、様々なライティング機能とエフェクトを簡単かつ迅速に実現可能。プリセットの調光レベルは5段階としている。
NANLITE FC-500B
発売日:2023年11月15日
希望小売価格:税込115,500円
スタイリッシュなデザインの灯体に、520Wの新開発の発光素子を備えたLEDバイカラースポットライト。コンパクトかつ高コストパフォーマンスを特徴としている。CCTは2700K-6500Kの範囲で調整できる。CRIは平均96、TLCIは平均98と優れた演色性を発揮する。片側のヨークで簡単に調節できるため、撮影時でも素早く光の角度を変更でき、現場での対応性がよりアップしているほか、ディスプレイサイズがFSシリーズより改善されたという。オプションのアダプターでDMXコントロールに対応。また、ケーブルにはロック機能が付いており天吊りでの使用の際にも安心としている。
Aputure Electro Storm XT26
発表日:2023年11月21日
希望小売価格:税込1,265,000円
ダイナミックホワイトCCTとティントコントロールを備えた2600Wの高出力LED。XT26もプロフェッショナル向けに設計され、デュアルアクセサリーマウント、G/Mティントコントロール、高度な液体冷却技術、IP65の防塵・防水構造などに対応。既存のボーエンズマウントモディファイア、新型Aマウントリフレクター、新型F14フレネルのいずれと組み合わせても、より高い安定性、耐久性、頑丈なモディファイアに最適化されるという。
NANLUX Evoke 2400B
発売日:2023年12月8日
希望小売価格:税込1,210,000円(Carton KITの価格)
2400Wの高出力を実現したバイカラーLEDスポットライト。付属のリフレクター(45°)装着時の輝度は4K HMIに匹敵し、今までのLEDでは難しかった大規模な映画撮影の現場でキーライトとして使用可能としている。2700K-6500Kの色温度調整に加えて±80のGM調整にも対応し、カラーマッチを容易にしている。また、本体、電源ユニットともにIP55防塵/防滴を備えており、天候に左右されず過酷な現場での撮影にも活躍。エジソンコネクター付きACケーブルも付属しているため、日本の100V家庭用壁コンセントでも使用できる(出力75%)のもポイントとしている。
GODOX MG1200Bi
発売日:2023年10月5日
希望小売価格:税込682,000円(標準キットの価格)
最大出力1400Wのパワー、高い演色性、IP54の防塵防滴性能、高精度な複数の制御システム、高度な放熱システム加え、新しいGマウントにより、安全や省エネに配慮した撮影環境を実現する大光量バイカラーLEDライト(色温度:2800-6500K)。Gマウントは、従来マウントと比較してより大きなインターフェイスを持っており、耐荷重性を向上。また熱放散性・断熱性が高く、布製などのアクセサリーへの引火を予防する。また光学系のオン/オフを検出するための電子接点を備えた設計で、安全で省エネな撮影プロセスを実現する。今後は、色温度補正機能(現在開発中)も加わる予定で、クリエイティブの可能性がさらに広がるとしている。
ARRI SkyPanel X
ARRIは、SkyPanelシリーズの最新作として、全天候型LED照明器具「SkyPanel X」を発表した。発売日は近日だが、特別にPRONEWS AWARD 2023ノミネート対象製品とした。モジュラーシステムとして開発され、様々なサイズに構成可能。先進的なLEDテクノロジーと柔軟性を併せ持ち、多様な用途と既存のすべてのワークフローの可能性を拡大させ、スタジオ、レンタルハウス、企業クライアントの幅広いニーズに対応するという。撮影監督、照明技師、コンソールオペレーター、照明デザイナー、放送技術者の要件と組織やチームの働き方に合わせて設計されているのも特徴としている。
以下がカメラ部門のノミネート製品となる。
■PRONEWS AWARD 2023 アクセサリー部門 ファイナリスト
- Rotolight AEOS 2
- Phottix G-Capsule Softboxシリーズ
- ZHIYUN MOLUS G200
- NANLITE FC-500B
- Aputure Electro Storm XT26
- NANLUX Evoke 2400B
- GODOX MG1200Bi
- ARRI SkyPanel X
はたして何が受賞するのか…?いよいよ発表!
PRONEWS AWARD 2023 照明部門 ゴールド賞
NANLITE FC-500B
500Wクラスのバイカラーライトで小型・最小設置面積を実現。軽くて小さく明るい。このスペックを115,500円で実現してきた点を評価して、ゴールド賞とした。
300Wクラス台だと光量に不安があるが、800Wクラスだと運搬面に不安がある。FC-500Bはその中間に位置するバランスの良さも特徴だ。電源アダプターは小型ではないものの金属製でできており、側面と背面には大型ヒートシンクの搭載に好感が持てる。気になるVマウントバッテリーについては、今後発売のアクセサリーにて対応予定としている点もポイントとした。
PRONEWS AWARD 2023 照明部門 シルバー賞
Aputure Electro Storm XT26
Aputure Electro Storm XT26は2600Wの強力な出力を特徴としている。HMIに匹敵する最も強力な点光源LEDの登場を評価してシルバー賞とした。業界標準の12,000Wタングステンフレネルや4,000W HMIに近づき、大量の熱を発生させずに大規模なセットの照明として使用できるという。
デュアルアクセサリマウントシステムの採用も特徴としており、ユニバーサルボーエンズマウントに加えて、まったく新しいAマウントを採用。電子接点を通じてアクセサリーの電子コントロールを可能にしている。灯体とバラストはIP65仕様に対応してきた点も大きなポイントとした。