低遅延と高い汎用性で多くの放送局に導入されている4Kリモートプロダクション・ WEB配信用 エンコーダー・デコーダー「Monarch EDGE」シリーズ。

今回、実際にこのデバイスをリモートプロダクションや中継に使用している中京テレビ放送株式会社(以下、中京テレビ)と沖縄テレビ放送株式会社(以下、沖縄テレビ)に、その導入背景や使用感についてお話を伺った。

4Kリモートプロダクション・WEB配信用エンコーダー「Matrox Monarch EDGE」
4Kリモートプロダクション・WEB配信用エンコーダー「Matrox Monarch EDGE」
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中京テレビ×「Monarch EDGE E4」・「Monarch EDGE D4」

中京テレビ放送株式会社 技術推進局メディアテクノロジーグループは、東海エリアで放送された「日曜日は、女子ゴルフな日」の映像・音声伝送にMatrox社製のSRT対応リモートプロダクションデバイス「Monarch EDGE」を採用した。

多くの映像・音声デバイスが存在する中、なぜ「Monarch EDGE」の導入を決定したのか、その背景について同社の番組制作技術のご担当者である岩崎淳氏にお伺いした。

中京テレビは番組制作の映像・音声伝送用に「Monarch EDGE」を採用

導入の背景

Matrox社製のSRT対応デバイス「Monarch EDGE E4」と「Monarch EDGE D4」を採用しました。標準の1Gbpsイーサネット環境で、12G-SDI映像×1、または3G-SDI×4の映像処理が可能なエンコーダーとデコーダーです。

「Monarch EDGE」の導入により、標準の1Gbpsイーサネット環境下で高品質な映像・音声伝送が可能になりました。特に低遅延での伝送が求められる放送業界において、このデバイスはそのニーズを十分に満たしてくれます。

また、複数のSRT対応デバイスと比較した結果、「Monarch EDGE」 が最も低遅延であり、200msでの運用が可能であったことが導入の決定打となりました。

「Monarch EDGE」は放送局のニーズに応える性能を持つ

具体的にどのように使用されましたか?

東海エリアで放送された「日曜日は、女子ゴルフな日」の映像伝送に使用しました。

弊社東京支社の会議室から名古屋本社のサブまで、「Monarch EDGE E4」と「Monarch EDGE D4」を使用して、SONY製ENGカメラ3台分の映像と音声を伝送しました。

人員削減と中継車を使用せずに低価格で安定的に伝送することが課題でしたが、この組み合わせにより解決することができました。

音声はカメラへ入力してエンベデッド音声として、現場技術はカメラ3名、音声1名、TDVE1名でした。機器が到着してから、イベントの準備にはカメラのセッティングなど含めて1時間半程度でした。

東京-名古屋間を「Monarch EDGE E4」と「Monarch EDGE D4」でENGカメラ3台分の映像・音声を伝送

今後の使用について、計画があれば教えてください。

「日曜日は、女子ゴルフな日」以外の番組にも、安定した回線が準備できるという条件で複数カメラを出すような中継にて使用したいと思います。

中京テレビ放送株式会社


放送事業、放送番組の制作・販売、出版物・グッズの販売、文化・スポーツ事業、その他放送に関する一切の事業を行う。サービスエリアは愛知県、岐阜県、三重県の3県で、日本テレビネットワークに所属。

沖縄テレビ×「Monarch EDGE S1」

沖縄テレビ放送株式会社は双方向同時エンコード・デコードに対応するオールインワン・モデル「Matrox Monarch EDGE S1」を中継にて採用。その使用状況やメリットなどを同社 制作技術部のご担当者、幸喜氏に伺った。

どのように使用されましたか?

4台の「Monarch EDGE S1」を使用しました。うち2台を本社に設置し、残り2台は中継拠点2ヵ所(競技場のマラソンスタート・ゴール地点、およびコース内の中継場所)にそれぞれ1台ずつ設置しました。

本社と競技場の信号の送受信で使用し、さらにカメラのSDI信号を中継拠点から本社へ伝送・本社から中継拠点へ送り返し伝送するために使用しました。あわせてインカム用のAUDIO系統を使用して、本社~中継拠点間の連絡線を構築しました。

中継拠点から本社への映像伝送はバックアップとして使用しますが、本社から中継拠点への映像送り返しと連絡線に関しては主に本線として使用しています。

「Monarch EDGE S1」4台で、本社-中継拠点2ヵ所を映像・音声伝送

「Monarch EDGE S1」を選んだ理由は何ですか?

双方向同時エンコード・デコード、タリ―信号の出力、音声の送受信が1台でできる点を評価して選びました。また、製品の信頼性の高さも重要でした。

「Monarch EDGE S1」を使用することで、どのような問題が解決されましたか?

これまでは本社と中継現場との信号の送受信で、エンコーダーとデコーダーの2台必要でしたが、(オールインワンモデルの)「Monarch EDGE S1」だと1台で済むので機材がコンパクトになりました。

また、本社と現場間の連絡線として4Wを申請していましたが、「Monarch EDGE S1」のAUDIO端子で連絡線が構築できるため、その申請も必要なくなりました。

「Monarch EDGE S1」だけで映像の送受信や連絡線の構築ができることで、作業が効率化できました。

マラソン中継以外でもお使いでしたらご用途を、また今後のご予定もあれば教えてください。

主に生放送の中継などで使用しており、中継現場から本社への映像伝送、本社から中継現場への映像の送り返し、連絡線の構築などを目的に使用しています。今後はリモートプロダクションに向けても考えていければと思います。

「Monarch EDGE S1」は1台でエンコーダー/デコーダーの同時処理機能を持っているので、少ないネットワーク回線でSDI信号の送受ができるのは大変助かります。

また、これまで別回線で行っていた連絡線の構築も、インカム用のAUDIO系統を利用して対応できるため、制作コストの削減にもつながり、非常に有用でした。

現在は、本社への送り映像は、主に予備系統として使用しています。今後、ネットワーク回線環境がより安定することで、中継本線としての運用も検討していきたいと考えています。

将来的には「Monarch EDGE S1」を中継本線での利用を考えているという

沖縄テレビ放送株式会社


沖縄県を放送対象地域とした特定地上基幹放送事業者。テレビジョン放送事業、放送番組の制作・販売、出版物・グッズの販売、文化・スポーツ事業など、放送に関連する多岐にわたる事業を展開