スペインのAl Kamel Systems(アル・カメル・システムズ)社(以下:Al Kamel社)は、モータースポーツにおけるタイムキーパー兼ライブグラフィックス制作会社である。同社は世界最高峰の24時間モーター耐久レースにおいて、Matroxの「Monarch EDGE」を使用し、高速被写体の同期映像転送とリモートプロダクションを実現している。
マルチカメラ映像の完全同期と低遅延伝送をローコストで実現
バルセロナを拠点とするAl Kamel社は、テレビやWeb放送向けの国際的に有名なモータースポーツ競技のタイムキーパーとグラフィックスの提供、および報道を専門としている。「Monarch EDGE」のエンコーダーとデコーダーの組み合わせにより、制作スタジオと1,000km以上離れたフランスのレースサーキットとの間で、マルチカメラ映像の低遅延伝送を簡単に、ローコストで実現した。
同社が「Monarch EDGE」を採用した決め手は、マルチカメラ映像を一組のエンコーダーとデコーダーにより、高品位に完全同期させ低遅延伝送できる点である。スペインのAV機器取扱会社であるBroadcast Multimedia社を経由して「Monarch EDGE」を評価した同社は、この点を確認し、24時間耐久レースに相応しいデバイスとして確信を持って採用した。
サーキットと本社制作センター間で遅延なく放送信号にグラフィックを合成
サーキットでは、「Monarch EDGE E4」(4:2:2 10ビット対応)エンコーディングデバイスに対して、複数のカメラやマルチビューデバイスから4つの1080i50 SDI信号が送られる。次に、エンコーダー「Monarch EDGE E4」は、独自のWAN経由で映像信号をバルセロナのAl Kamel制作センターに設置されたデコーダー「Monarch EDGE D4」に送信する。制作センターでは、フィードを使用してレースサーキットでのリアルタイムアクションを参照し、最終的に遅延なく放送信号にグラフィックの合成が可能となる。グラフィックは、同じくサーキットに設置され、バルセロナからリモートで操作されるグラフィックサーバーを使用して合成される。
映像信号の完全同期により様々なワークフローに統合可能
「Monarch EDGE」は完全に同期された信号を送信できるため、Al Kamel社はそれを他のスポーツイベントのワークフローにも統合できるという。他のケースでは、「Monarch EDGE」を使用して、バルセロナのAl Kamel制作センターからリモートサーキット制作センターにコンテンツを送信する。この場合、Vizrt Viz Engine 3.11レンダリングエンジンとデザインツールによって生成されたグラフィックは、1080i50の2つの同期信号(Fill + Key)を介してエンコーダー「Monarch EDGE E4」に供給される。その後、信号はサーキットにあるデコーダー「Monarch EDGE D4」に送られ、常に元の画像のインターレースが維持される。そこから、信号はビデオミキサーのDSK入力に接続され、バルセロナでリモート生成されたグラフィックを放送信号にリアルタイムで統合できる。
今後もモータースポーツのライブ映像制作に不可欠な「Monarch EDGE」
Al Kamel社のマネージングディレクターであるNacho Puig氏によると、「Monarch EDGE」は同社のリモートプロダクションワークフローの重要な追加要素となっているという。
Nacho Puig氏:「Matrox Monarch EDGE」により、Al Kamelは世界で最も視聴率の高いモータースポーツ競技の一部にほぼリアルタイムの映像制作とグラフィックスを提供することが可能になりました。
優れた品質の映像を維持しながら、わずか数フレームの"glass-to-glass(映像がカメラのレンズに入ってから表示装置のモニターに映し出されるまでにかかる時間)"の低遅延を実現できたことは特に印象的でした。
Al Kamel社は今後も注目度の高いモータースポーツ競技に欠かせない「Monarch EDGE」エンコーダーとデコーダーのペアを活用する予定であると述べている。