各カメラメーカーからの新製品発売が減少傾向にあるカムコーダーだが、それでもイベントの撮影などに必要不可欠の存在であることに変わりはない。そこで本企画では、カムコーダーを活用している活躍中のカメラマンに「なぜカムコーダーを選ぶのか?」「現在使用中の機種に至った理由」を聞いてみた。
■ソニー PXW-Z150 北野佳宏(毎日映画社)
なぜカムコーダーを選ぶのか?
撮影の現場では、ENGから小型な物まで、複数のカメラで撮影することが増えています。そこで求められるのは、扱いやすくて、機動力があり、なおかつ小型で持ち運びやすいこと。時間や予算に余裕があれば選択肢も増えるのですが。その中で活用される幅が広がっているのが「カムコーダー」。今後、さらに改良された機種が販売されることを期待します。
使用中のカムコーダーと選んだ理由
ほかの同じタイプの機種と比べて、この機種の魅力は、「軽量なボディとリーズナブルな価格」。フォーカス・ズーム・アイリスのリングが独立して装備されていて操作性が高く、手持ち撮影にも対応できる軽量なボディ。ただ、メニュー設定の変更をする場合は、やや不便さを感じます。また、記録フォーマットが「4K30P」なのは残念ですが、今のところ映像素材としては十分だと感じています。
■パナソニック HC-X2 前田進
なぜカムコーダーを選ぶのか?
私の場合はイベントの記録撮影などが多いのですが、そうした場所ですぐに撮影設定の変更を⾏なったり、寄り/引きのカメラワークをするときには業務⽤カムコーダーの⽅が確実に映像を抑えられます。レンズ交換式の⼀眼等のカメラを扱うこともありますが、瞬発的な撮影で撮り漏れが許されない現場の場合はカムコーダーになります。編集で魅せてゆくような作品は⼀眼レフなど。記録撮影など、収録されていることに意味を持つ映像の場合にはカムコーダーをセレクトします。
使用中のカムコーダーと選んだ理由
パナソニックHC-X2を使⽤しています。舞台収録の際にDC-GH4を4K引きカメラで使⽤していたのですが、⾊合わせをするときに同じメーカーの⽅が扱いやすいと考えたのがきっかけです。そのときにはAG-UX180を購⼊しましたが、その後はV-Log撮影対応可能なX2に乗り換え、作品に合わせた⾊作りを⾏うようにしています。⾊という点では本機はカラーマトリックスの調整が豊富で扱いやすいです。また、ライブ配信の現場でHDMI出⼒もSDI出⼒も同時に使う場⾯があったりするときにHC-X2は⼤変重宝します。
■キヤノン XF605 宏哉
なぜカムコーダーを選ぶのか?
レンズ交換無しで広角から望遠をカバー。滑らかなズームワークやフォーカス操作が可能。音声収録のための端子や機能がしっかり備わっている。ENGカメラの機能を小型化したスタイルで、最も思い通りに素早く映像を撮影できる。リハーサルも無く、やり直しの利かない一発勝負の世界ではENGかデジしかない。
使用中のカムコーダーと選んだ理由
キヤノンXF605。レンズのレスポンスが良く、比較的コンパクトで軽量。ボタンやスイッチの配列もシンプルで合理的。レンズ周りの設計が良く、素早いズームから超スローズームまでしっかり行える。光学15倍ズームだが、アドバンスト30x併用でHD撮影では問題なし。
バッテリーの保ちも良く、長時間の撮影や機材を減らしたい海外ロケなどにも最適。画の雰囲気も好ましい。
■ソニー PXW-Z200 松盛俊道
なぜカムコーダーを選ぶのか?
ミラーレスカメラであっても、オートフォーカスとカメラのズーム機能である程度のズームワークは可能だがひと手間かかることがある。カムコーダーはスムーズなズームワークに加え、レンズ交換なしに広角から望遠までの撮影を効率よく行える。
使用中のカムコーダーと選んだ理由
マニュアルフォーカス設定時にタッチパネル式の液晶モニターの任意の位置に触れるとオートでピントが合ってくれる。全ての状況で意図した通りフォーカスが合うわけでもないかもしれないが、マニュアルフォーカス設定なので、フォーカスリングを操作すると意図した部分に瞬時にフォーカスを合わせることができる。また、純正リモートコントロールユニット「RM-30BP」で行っていたことが、モバイルアプリ「Monitor & Control」にて自分のスマホ等でより手軽に行えるのも理由だ。
■ソニー PXW-Z200 mermasa Records
なぜカムコーダーを選ぶのか?
高い機動性、高倍率ズームを使用する必要があり、カムコーダーを使用しています。普段1000席以上のコンサートホールで収録することが多い弊社では、ソリストのタイトショット、セクションのグループショット、そして全体を俯瞰的に映すといった様々な画角が必要です。PXW-Z200は、広角換算24mm~480mm、さらに超解像ズームも使用可能で、弊社のニーズを満たしてくれます。
使用中のカムコーダーと選んだ理由
ソニーPXW-Z200は、「確かなAF」「フォーカスオーバーライド」「4K収録中でも外部出力可能」「スローズーム」といったカムコーダーとしての魅力的な仕様に加え、新製品にふさわしくネットワークを活用した「Monitor & Control App」によるコントロールが可能なところも決め手になりました。このアプリを使うことで、マルチカメラ収録や、手元にない固定カメラの操作が格段に容易になりました。
ソニー PXW-Z150 玉田亮
なぜカムコーダーを選ぶのか?
答えは、カムコーダーというジャンルが確立されているからだ。HDCAMカメラのような大型機種でもなくα7のような写真撮影カメラでもないハンドヘルドなカムコーダーが、ニーズにマッチしているからである。
今や、テレビ局の取材でも街中のビデオ屋さんでも同じ機種を使う。それだけ、カムコーダーの性能も安定して使いやすく、制作費も無尽蔵にあったころとは違い予算感にあった、スタッフ数で稼働するロケに最適なサイズ感と、性能、機能を備えている。
使用中のカムコーダーと選んだ理由
私は、4K撮影の入門機種として発売開始と同時にPXW-Z150を購入。自身で4K編集もするので、ワークフローの確立を早々に行いたくZ150を選選んだ。1型センサーとあって、被写体深度の浅い映像制作もし易いのでこのカメラ一択だった。
当時、EOS 5Dでも動画撮影をしていたが、カムコーダーは、音声入力も標準でXLR端子が内臓、短時間かつ、入力端子への変換に必要なケーブルも必要とせず、複雑に考えることなくXLR入力が使えるのもカムコーダーの魅力と感じる。
ソニー PXW-Z150 宮原廣一郎
なぜカムコーダーを選ぶのか?
私のメインの仕事は、音楽ライブ・コンサートや演劇など、ステージでの本番公演の収録や配信になります。 その場合、一番大切なのは客席後方からでも舞台上の演者のウエストアップを狙えるくらいの望遠性能と、画角を変える時のズーミングが滑らかであることです。どんな状況でも常に合格点を出せるという意味でも、私の仕事はカムコーダーが必須だと言えます。
使用中のカムコーダーと選んだ理由
私の愛機はソニーPXW-Z150です。舞台の収録は照明がかなり暗い時もあり、ある程度ゲインを上げて運用することが想定されます。1インチセンサーのZ150はゲイン耐性も高いので愛用しております。また、全画素超解像ズームやデジタルエクステンダーでの望遠性能もありがたく、4Kに対応しているところも痒い所に手が届く仕様となっています。
パナソニック HC-X2 あきあかね
なぜカムコーダーを選ぶのか?
カメラバックからカメラを取り出して、SDIなど必要なラインを本体にそのまま挿せる。ミラーレス一眼のようにレンズやNDフィルターなどを装着する必要もない。そのフットワークの軽さがカムコーダー最大の利点だと考えます。
使用中のカムコーダーと選んだ理由
私が使用している機種はパナソニックのHC-X2です。この機種は業務機ではないものの、機能やスペックは他社最新のカムコーダーと同じレベルで有しています。この機種を選定した理由としては、高性能な手ブレ補正や4K60Pが撮れるなど機能面での優位性もありますが、現在使用しているLUMIXミラーレス一眼との色合わせのしやすさを優先しています。結果としてパナソニックらしい自然な色見で撮影できているので、個人的に満足しています。
ソニーPXW-Z190 こんちゃん
なぜカムコーダーを選ぶのか?
スムーズなズームワーク・カメラワークをしたい、というのが1番の理由です。私は舞台・コンサートものやライブ配信などズームワークを使いたい現場でカムコーダーを使用することが多く、見てくださっている方々が作品に集中できるようリング操作が滑らかにでき、かつ臨機応変に対応できるカムコーダーを選んでいます。
使用中のカムコーダーと選んだ理由
私が今愛用しているのはソニーさんのPXW-Z190で、「SDIとHDMI両方同時出力が可能」な点や、広い会場でもしっかり寄れる「光学25倍ズーム」、「可変NDが使える」点などから選びました。加えて自分が同じくソニーさんのILME-FX6Vを所有していて同じバッテリーが使用できる点も、Z190を選んだ理由の1つです。
ソニー PXW-Z280 泉悠斗
なぜカムコーダーを選ぶのか?
私がカムコーダーを選ぶ理由は、映像制作の現場で外部出力を行いながらバックアップで長時間の内蔵録画を回しても熱で落ちることもない。そして予想外の動きに対しての素早い動きに即座に対応できる点である。
使用中のカムコーダーと選んだ理由
私が現場で愛用しているのが、ソニーPXW-Z280である。特に、高解像度のフジノン製レンズを搭載している点や、フルマニュアルの3連リングに加え、フォーカスリングを前後にスライドするだけで、オートフォーカスと、フルマニュアルフォーカスを簡単に切り替えることができ機動力が高いのが気に入っている。