北陸放送機器展2026のV-06、エヌ・イー・ピー株式会社のブースには、バッテリー、充電器、LEDライト、レインカバーなど、撮影現場を支えるアクセサリーが並んでいた。

その中で説明を聞き始めて、思わず立ち止まったのが99WhのスーパーミニVマウントバッテリー「BL-MIN-BP99」だった。

バッテリーの容量や残量表示そのものは珍しくない。しかし、実際の撮影現場で知りたいのは「残り何%か」だけではない。「この機材をつないだ状態で、あと何時間使えるのか」である。

BL-MIN-BP99は、現在の消費電力から残り使用時間を計算し、本体の情報表示スクリーンに表示する。説明を聞いているうちに、単なる電源というより、撮影や配信をあとどれだけ続けられるかを判断するための道具に見えてきた。

「残り何%」ではなく「あと何時間使えるか」

BL-MIN-BP99は14.5V、6.8Ah、99WhのVマウントバッテリーだ。USB Type-CやUSB Type-A、D-Tapなど複数の出力を備え、カメラだけでなく、LEDライトや周辺機器、PCなどへの電源供給にも対応する。

99WhのスーパーミニVマウントバッテリー「BL-MIN-BP99」。本体上部に情報表示スクリーンを備える
BL-MIN-BP99の端子部。12V OUT、8V OUT、USB Type-C、USB Type-Aを搭載する
BL-MIN-BP99側面のD-Tap端子。未使用時にはカバーで端子部を保護できる

中でも気になったのが、本体の情報表示スクリーンだ。出力を開始すると現在の消費電力をもとに、その状態であと何時間何分使用できるかを表示する。充電時には、満充電までの残り時間も確認できる。

取材時には実際に負荷を変えながら表示の変化を確認した。接続する機器が増えて消費電力が変われば、その合計値をもとに残り使用時間も計算し直される。

BL-MIN-BP99の情報表示スクリーン。撮影時は55Wの出力に対して、残り使用時間の目安として「2h25m」と表示されていた

ここで頭に浮かんだのが、ライブ配信やLEDライトを使った撮影だった。「配信終了まであと30分。このまま持つのか」「もう1台機材を追加しても大丈夫か」といった判断を、経験だけに頼らず残り時間を見ながら行える。

残量を%で確認するのと、現在の負荷なら「あと1時間○分」と確認できるのとでは、現場で得られる情報の意味が違う。複数のスタッフで機材を扱う場合にも、残り時間を具体的な数字で共有しやすい。

Vマウントなのに、カメラだけの電源ではない

もう一つ印象に残ったのが、Vマウントバッテリーでありながら、用途をカメラに限定していないことだった。

USB Type-CはPower Delivery最大100Wの入出力に対応する。取材時にはMacBook Airを接続し、実際の消費電力が情報表示スクリーンに表示される様子も確認した。

BL-MIN-BP99からMacBook AirへUSB Type-Cで給電するデモ。PCへの電源供給時も消費電力を情報表示スクリーンで確認できる

本体には1/4インチと3/8インチのネジ穴も設けられており、アームなどを利用して撮影機材やライトスタンド周辺へ固定する使い方も考えられる。

さらに本体には電源ボタンを備える。電源を切ることで各ポートからの出力を停止でき、保管や持ち運びにも配慮した構造だ。

BL-MIN-BP99本体に設けられた電源ボタン。各ポートからの出力を停止できる

Vマウントバッテリーというとカメラ背面に装着する姿を思い浮かべるが、USB-C機器が増えた現在では、PCやLEDライトなどを含めた撮影システムへ電源を供給する役割も担える。

VマウントからAC100Vへ。「PIB-99」というもう一つの選択肢

その隣で展示されていたのが、ポータブルインバーター「PIB-99」だ。

99Whのポータブルインバーター「PIB-99」。ACコンセント、USB Type-C、USB Type-A、ディスプレイを一体化した本体

容量は99Wh。展示では「モバイルバッテリーでは容量が足りないが、大型のポータブル電源を持ち歩くほどではない」という用途を狙った製品として紹介されていた。

会場の製品表示によると、正弦波AC出力は定格130W、最大150W。USB-Cは100W入力対応のポートと、最大45Wの入出力に対応するポートを備える。USB-Aも用意されている。

PIB-99のAC出力部。ACコンセントの上部にはUSB Type-CとUSB Type-Aを各2ポート搭載する
PIB-99の操作部とUSB端子。AC、電源、LEDの各ボタンを備える

実物を見ると、この製品の立ち位置は分かりやすい。大型のポータブル電源ほど大掛かりではなく、一般的なモバイルバッテリーよりも利用できる電源の種類が多い。AC100Vを必要とする小型機器にも給電できるため、撮影現場でコンセントを確保しにくい場面でも使い道がありそうだ。

取材時には50W前後の負荷をかけ、ディスプレイに現在の消費電力とバッテリー残量が表示される様子を確認した。また、本体にはライトを搭載し、点灯・点滅に加えてSOS信号の点滅にも対応する。撮影機材用だけでなく、防災やキャンプなども想定した製品だ。

PIB-99のディスプレイ。撮影時はバッテリー残量100%、出力52Wと表示され、現在の消費電力を確認できた
PIB-99背面の仕様ラベル。バッテリー容量99Wh、総出力160W、AC110V出力最大150Wなどの仕様が記載されている

小型機材向けにはソニーLシリーズ用も

ブースを見ていくと、VマウントバッテリーやAC出力を備えたPIB-99だけでなく、小型機材向けのバッテリーも展示されていた。

その一つが、ソニーLシリーズ用のDVバッテリー「Li-D970P-UD」だ。

ソニーLシリーズ用のDVバッテリー「Li-D970P-UD」。本体上部には残量インジケーターを備え、USB Type-CとD-Tap端子も搭載する

展示機では、本体上部にバッテリー残量を確認できるインジケーターを備え、USB Type-CとD-Tap端子も確認できた。

Vマウントで撮影システムを構成するBL-MIN-BP99、AC出力を利用できるPIB-99、そしてソニーLシリーズ対応機器向けのLi-D970P-UD。同じ「電源」でも、接続する機材や現場の規模によって形が変わることが、ブースを一通り見ていくと分かる。

最後に気になったのは「容量」より「残り時間」

今回の展示で印象に残ったのは、99Whという容量そのものではなかった。

撮影現場ではバッテリー容量を知ることはもちろん重要だ。しかし実際に運用している最中に知りたいのは、「この状態であと何分撮れるのか」「このライトをあとどれだけ点灯できるのか」「配信終了まで電源が持つのか」といった、より具体的な情報である。

エヌ・イー・ピーのブースでは、VマウントからAC出力、ソニーLシリーズ用まで、用途の異なる電源を見ることができた。その中でもBL-MIN-BP99の残り使用時間表示は、電源を「何Whあるか」だけではなく、「今の使い方ならあと何時間持つか」という視点で考えられる機能だった。

バッテリー残量を%ではなく、現場で使える残り時間として見る。今回の展示で最も気になったのは、そんな電源との付き合い方だった。