PRONEWS Loungeに参加した!
筆者は現場の有志達と「HDカメラ座談会」と銘打ちUstream配信を今年の4月から月1で始めている。視聴者数も初回SONY&Ikegamiのガチバトル?の時は昼間の就業時間にも係わらず200オーバーと言う初めての配信にしては良い数字がでた。この配信が後に色々な方から「見たよ!無茶するねぇ~(笑)」等と言われたのも事実。業界探検倶楽部等で有名な小寺氏にはPanaの50シリーズを丸々一式もってメーカー技術者も呼びつけると言う荒技を発揮して頂き良くも悪くも「HDカメラ座談会」と言うチャンネル活動を行っている。。そんな中InterBEE2010前にPRONEWSのプロデューサーから「今年、PRONEWS配信一緒にやらない?」と言うありがたい言葉。しかしここは強気に「ウチのメンバー高いよ。」「機材は全部出してね」等々の無理難題を言ったところ取り敢えずMTGしましょうと一蹴。そこで提示された機材を見て「ああ何だPRONEWS本線とは違って2軍扱いなのね…」とここでメンバーからの「こんな機材じゃできねぇ」の一言から話が一気に大きくなって行った。
プロジェクトX…なのか?(BGMは勿論”地上の星”)
ある意味今回のチームは、それぞれのプロが集まったゴールデンチーム。構成作家、演出、フロアディレクター、カメラマン、配信などなど。
今回スイッチャーは最初から決まっていた。初日はSDながらLIVE配信に特化したローランドVR-5と、少々高価だがLIVE配信スイッチャーとしては最高のパフォーマンスを持つTriCaster TCXD300だ。提示された機材を却下した手前まずカメラは何を仕込むか?最初に案が出たのは最新の機材展の場所に敢えてオールドカメラを投入すると言う事。見た目も大事なのでSONY-P70isとIkegami-HL55なら手持ちですぐ揃うので候補に上がったが2日目のTriCasterが折角のHD-SDI入力対応なので素直にHD-SDI出力の在るカメラを揃えることに。
羅列するとSONY PMW-350・EX1R・HVR-S270J・Z5J・JVC GY-HM700の4台。それにピンマイク(UWP-V1×3波)バウンダリーマイク(オーディオテクニカAT871RとAMCRON PCC-160×2)、ポータブルミキサー(Protech FS-305)等々。後は割り振りをどうするかだがPMW-350はFUJINONのショートズーム(HA13×4.5BERM)が入っている事から外回り(会場内ねり歩き)様。さらに予備はZ5J、他のカメラでラウンジ撮影という形を取った。三脚は現場で見た方なら解ると思おうがリーベックと協力を仰いだPRONEWS特機となっている。別にスタジオ用にもRS-450をお借りした。最終的には、練り歩きにPMW-350=RS-450、HVR-Z5J=RS-250の組み合わせで対応した。
配信スタート
今回の配信は基本的に視聴者側の負担を減らすためにSD配信と言うのが絶対条件。折角の業界発信なのだからHD解像度で行きたいところだが全ての方が見られないなら、HD配信は全く意味がない。UST配信でも時々高画質を謳ってHD配信をしているチャンネルが在るがどれを見ても高画質かも知れないが何かチョット違う物が多いと感じないだろうか?それは結局映像の入口の違いだろう。それが証拠に今回の配信は全てSD配信だがそのクォリティはSDとは思えない程の高画質。TLでもHD配信?との質問も在った位。
そしてその映像を受け止めるエンコーダーのパラメーターもUstream界隈ではおなじみのヒマナイヌが細心のチューニングをした物で所謂本気仕様、小寺氏の言葉を借りれば「メジャーリーガーが小学生相手にフルスイング」と言わしめた位。
日頃色々なUSTを映像側から見ていると思うのはIT側のUstreamerはカメラの事を全く解ってないし、逆に映像側のUstreamerはパラメーターを解っていない。今回はその二つが完璧に融合しての配信したのだから、まさに完璧。さらに入口がまともなカメラだとSDでもあそこまで出来るという良い例だと思う。
構成
今回のコンセプトはUSTにあるまじき本気&TVライクな配信。どちらかと言うとだだ漏れ配信的な要素が強いUSTを何処まで”まとも”な配信に引き上げるかがポイント。構成されているし、各スタッフのチームワークは抜群だ。USTでもマルチカメラは見るが基本動いてないFIXのカメラをただスイッチで切り換えているだけ。勿論少人数ならそれもしょうがないがそれよりもカメラを動かせないと言う方が大きいはず。
今回のメンバーは全員がカメラマンなのでカメラは動くのが基本、後はどのカメラがどう動くのかをディレクター、フロアーで指示をするがその前に動いているので微調整程度。ディレクターももちろんキー局でキューを振っていた人間を招聘。読者の方は、映像関係者ばかりなので「何当たり前の事言ってんだ?」って話になってしまうが、現状は、そうなのである。
総評
今回の配信は在る意味USTの最終形かも知れない。もちろんキー局でのUSTも最近は増えてきているが彼らの場合”放送”と言う部分が染みこんでいる為にやはりNET-LIVEでのノウハウが少ない。今回のPRONEWSでの配信は映像のプロと、配信エンジニアのプロと、演出のプロがもの凄く良い形で融合したとても質が高い物だと自負できる。
しかし一番言える事は光りの入口部分にどれだけ”まとも”な物を持って来るかによってUSTの質が上下すると言う良い証明が出来たと言う事であり、これが現実的な予算内でビジネスモデルとして確立出来るだろう。
余談
今回練り歩きリポーターのそらのちゃん。この時誰が彼女と一緒に廻ってカメラを振るかで一悶着あったが…(笑)。
取り敢えず女性カメラマンを付ける事でPRONEWS女子部と言う括りで無事終息。しかし重鎮のコラムニスト達が色々な趣向と取材の結果で練り歩いた数字よりも彼女が行った素人目線の配信の方が数字が遙かに上だった事を考えると、来年からは自分も含めた”おっさん”連中は必要ないかもしれない、なんだかなぁ…。(編集部註:ターゲットが違うんだから!競争しない!)