txt:石川 幸宏 / 編集部

KOBA SHOW 2013が盛り上がる理由とは?

毎年5月に韓国ソウルの江南地区にある綜合施設、COEX(コエックス)で行われている韓国の放送映像音響機材展、KOBAショー。今年は5月13日〜16日の日程で開催された。会場はCOEX3階にある2つのホール(映像放送機器関連を展示)と1階にある音響と照明機器関連の計3つのホールに別けて展示会が開催された。出展者も昨年の25%増となっており活況を呈している。

今年は1月のInternational CES、そして4月のNAB SHOWの流れを受けて、ここ韓国でも4K/ULTRA HDへの関心が高く、4K関連の展示も目立つ。また3Dも昨年までほどではないが、NABのように全く展示自体が影を潜めた訳ではなく、3D中継車の展示など、3D隆盛の立役者だった韓国勢が出展していた。

4Kは、特に韓国では昨年からすでにULTRA HDの実験放送局が許認可され、ちょうど第二回目の実験放送がこの5月10日から10月15日という日程で行われており、公共放送であるKBSのブースでその4K/60pによるULTRA HD実験放送の映像を見ることが出来た。韓国では2014年に4K放送開始、2018年には8K放送開始を予定している。その他でも4K映像制作、ULTRA HD放送へ向けた様々な取り組みなどを見ることが出来た。

昨年までの流れと少し変わって来たのは、ここ数年間は中国企業がかなり勢いを見せていたが、今年はNABも通じてひと時の勢いはなく、出展者も少なかったこと。また韓国本国の企業では、これまでも活況だったリグメーカー、照明メーカーなどに加えて安価で高機能なミニコンバーターなどを揃えるデバイスメーカーも新たに出て来たことが印象的だった。

5月開催ということで4月NAB SHOW直後の展示会として、NABで発表された最新の製品や機材を、とてもコンパクトにまとまった会場で一気に見ることができるのはKOBA SHOWの大きな特徴でもある。敷地面積は昨年から増えておりトータルでは日本のInter BEEより少し狭いくらいの広さだが、来場者数はInter BEE(2012年:31,857人)の約1.3倍に当たる、42,459名(昨年比2%増)の登録入場者を数えている。学生への誘致も大きな要因だが、会場に入るとプロ映像・音響分野への人々の熱気が、どこか日本とは違って非常に熱いものを感じる。実は、韓国地上波は3局しかないが、CATVやWebTV局は数多存在する。加えて国策とされる映画制作も隆盛を誇る。成田-ソウル間は飛行機で2時間と距離も近く、「コンパクトNAB」といった様相で活気溢れる展示会は、諸般の事情でNABへ行けないという方にもぜひおススメだ。それでは混沌とする会場から際立つブースを紹介して行こう。

様々な展示に賑わう会場から

KBS
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ULTRA HD実験放送

韓国の公共放送局 KBSではULTRA HD(4K)の実験放送が行われており、会場ブースでもその画像を見ることができた。KBSは、昨年の2月に地上波における4K実験放送局免許を申請し、10月より実験放送を開始している。

Panasonic
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Panasonic AVC-ULTRA Handheld Camera

パナソニックは、AVC-ULTRAを搭載しmicroP2カードで記録する次世代ハンドヘルドタイプカメラのモックアップを展示。

Tilta Technology
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Tilta Technology BMCC専用サポートリグ

2008年から創業した、中国深圳市に本拠地を持つカメラサポート機器ブランド「Tilta Technology」。BMCC専用のサポートリグ “ES-T07” 119万ウォン(約11万円弱)と安価な割に、操作性の良さそうなハンドル部のデザイン等、かなりしっかりした造作で注目の的に。

JD SOUND
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PDJ本体

ポータブルサイズの新感覚DJマシン、「PDJ」が登場!2つのLCDパネルがターンテーブルになっていて、プレーヤーと同感覚にスクラッチ可能。2GBの内蔵メモリーに加えて、32GB対応のSDカードスロット搭載、Line in/out、USB2.0、Mic、Phonesの入出力、オートマチックDJ機能も搭載。昨年末に発売開始で価格はUS$600。

SONY
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CA-4000

ソニーは、PMW-F55の後部に直接接続して、4Kライブ放送などで使用できる光ファイバー伝送用カメラアダプター「CA-4000」も展示。HDCシリーズの放送用カメラと同じく、リモートコントロールパネルとマスターセットアップユニットを同範囲で稼働。

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オプチカルディスクアーカイブシステム

NABでも話題となったソニーのXDCAMのテクノロジーを応用した光ディスクアーカイブシステム。この春に出荷されたODS-D55Uに加え、2倍に高速読み書きが可能になる、ODS-D77Uも参考展示。外見は一切変わらない。

GINIRIGS
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GINIRIGS

韓国製のDSLR用カメラリグメーカー、「GINIRIGS」。Zacutoタイプのパーツバリエーションを豊富に揃え、安価で拡張性の高いリグシステムを提供。

ATOMOS
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3D/ATOMOS SAMURAI

韓国ではまだまだ3Dに関しても、3D中継車などを含む展示も多く見られた。ATOMOSの販社ではSAMURAI×2台を使用した3D収録システムなどを展示。

東放学園
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日本からの出展東放学園

日本の映像専門学校の草分け的存在である東放学園も、今回KOBAショーに初出展。実はすでに20年前から韓国からの留学生は多く、現在10%近くが留学生だという。今回は卒業生が韓国の某メーカーの代表に就任したことから、KOBA出展への誘いを受けての初参加だという。日本への映像学校留学生の招へいは関心度も高そうだった。

UHDシアター
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会場の隅に設置されたUHD(4K)シアター。ソニーのSXRDプロジェクターによる4K映像上映が常時行われていた。

AURORA
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AURORA LITE BANK

日本にも東京・新宿に支店がある巨大&高光量のLEDパネルが特徴の、韓国の照明メーカー「AURORA Lite Bank」。主にスチルカメラスタジオ用の照明機材を提供しているが、ここに来て、動画向けの大光量スタジオスポットライト等にも力を入れている。

PELICAN
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PELICAN HARDBACK CASE

小物の代理店が軒を連ねる場所は、どの展示会に行っても新たな製品の発掘があり、楽しい体験だ。PELICANのケースで、iPadとキーボードを同梱でき、かつラップトップ型スタンドして使用出来るHARDBACKケースが130,000ウォン(約12,000円)。

TV Logic
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4K DCIモニター

やはり本国開催の出展社として威勢の良いTV Logic。ここでも4K対応のDCIディスプレイが展示の中心となっていた。30インチの「LUM-300W」は4096×2160のフル4K対応な10bit、Rec.709とDCI表示が可能な4Kモニター。

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。