世界で活躍エンターテイメント集団 SIRO-A
“SIRO-A”というパフォーマンス集団をご存知だろうか?文字で説明する前にまず下の映像を見て頂きたい。
SIRO-A LONDON LIVE 2014 digest
白塗りの出演者達が織りなす、テクノサウンドと映像とパフォーマンスが融合した表現が世界中から注目を集めている。2011年にはスコットランドにて行われた世界最大の演劇祭「エジンバラ・フェスティバル・フリンジ」にて1か月の公演を行い、名誉ある「Spirit of the Fringe 2011」を見事受賞。2012年7月よりヨーロッパツアー、そして現在イギリスLeicester Square Theatreにて、3回目のロングラン公演中である。
今回、世界が注目するSIRO-A(白A)の裏側をチームのキーパーソンである映像作家の佐藤良介氏に話を聞く事ができた。
白A 映像作家 佐藤良介氏
「人を楽しませたい」から始まった
チーム編成は、パフォーマー9人(うち1人練習生)・サウンドプログラマー1人・DJ1人・映像作家2人・演出家1人の計14人。
2002年に仙台で結成した白A。元々はコント集団からはじまった。今では映像制作の中心となってハイクオリティな映像を制作している佐藤氏だが、最初はパソコンもほとんど扱えない状態から映像制作に入ったそうだ。
佐藤氏:結成当時は映像を使っていなくて、音楽に合わせて踊るとかコントするとか全然違った集団だったんです。面白いことなら何でもやるという。漫画を書いたりもしました。色々な手法でパフォーマンスをやっていた中で、たまたま映像使ったパフォーマンスやりたい!でも映像制作もやる人がいない…。「じゃあ僕がやる」みたいな軽いノリでした。インターネットで検索して、「ああ、パソコンでこういう映像が出来るんだ」という事を知りPCを購入したという感じでした。最初はAdobe After EffectsではなくAdobe Premiere Proで全部グラフィック的な部分も無理矢理作ったり…。
2008年ごろになってプロジェクションマッピングの要素も取り入れるようになった。
佐藤氏:丸形のスクリーンを頭にかぶって、そこに映像を投影して、顔がどんどん変わっていくっていうパフォーマンスをやりたくて、どうやったら丸形だけ狙えるのかなとか試行錯誤していました。今みたいにマッピングソフトも無かったし、パソコンから映像を出すという方法も知らなかったので、1回1回DVDに焼くんですよ。それを実際に投影してみて微調整をしての繰り返しです。一発でいかないと時間かかるんですよね。あの繰り返しは本当に辛かったですねー(笑)。
SIRO-A EU TOUR 2012 digest
パフォーマンスに安心感をもたらす機材たち
今ではVJアプリケーションなどを巧みに使いこなし、効率的に映像を出せるようにしている。しかし機材セットはいたってシンプルだ。
「TOKYO DESIGNERS WEEK 2014」天才万博のステージでのパフォーマンス
佐藤氏:多い時でRoland V-40HD、V-4EX、P-10が2台、VJアプリが入ったMacBook Proが2台。あとはVJアプリ操作用のMIDIパッドが少しという感じです。映像の出すタイミングは音楽の方からMIDI信号をもらって、それを映像を出すトリガーにしたりしてシンクロさせています。パフォーマーと映像のシンクロは完全にパフォーマーが合わせて動いているという感じです。素材撮影とパフォーマンスの間が空くと、撮影した時よりもパフォーマーの動きが上達してくるのでまた微調整が必要になります(笑)。
ツアーに出ることが多いので荷物は出来るだけ最小限にしています。また他の出演者が多いイベントなどはすぐに準備・撤収ができるようにしておきたいので。最少ですとV-40HDとMac2台だけだったりします。
V-40HDを選んだ理由は、ハードとしての堅牢性と小さいサイズなのに入力数がMAX12個あり、出力が別々のものを2つ出せたりと入出力が豊富なところです。特に出力がHDMI・RGB・SDを選べるのがとてもいいですね。イベントに呼ばれて行ってプロジェクターを借りることも結構あるので、代替対応出来たりと、やっぱり安心感はありますよね。
ブース機材。RolandのV-40HDを中心に組まれている
V-40HDはスケーラー機能も付いていて、画面の一部をズームアップしたり縦横比の調整もできる。その機能に救われたことがあるそうだ。
佐藤氏:とあるイベントでの事件だったんですが、パフォーマーが白い板で映像をキャッチしていくパフォーマンスの時に、プロジェクターの投影がズレていて、誰もキャッチしてなかったんです(笑)。パフォーマーから「(映像が)小さい…」という声が聞こえたので、慌ててスケーラーで修正して合わせました。原因は他の出演者もプロジェクターを使っていて、リハーサル時とのズームの値が変わっていたんですね。ハードウェアは本当に大事ですよ~。
SIRO-A / Movie catcher
仙台から世界のパフォーマーへ
2004年ごろから国内外のコンペティションに参加し、徐々に頭角を現し始めた白A。転機となったのは2010年に出演した「上海万博」だったそうだ。佐藤氏:その頃のパフォーマンスのコンセプトは、コントは結構削っていて、ノンバーバル・非言語がメインになっていました。それを海外の方に見てもらったところ、反応がすごく良かったので「あ、これ世界でいけるな」と確信を持つ事ができました。
その後、冒頭に書いたエジンバラ・フェスティバル・フリンジでブレイクし、世界中からオファーが殺到するようになった。アートを表現する集団として海外でやっていけるという「確信」は他にもあったという。
佐藤氏:海外はアートのライブを見に来るというハードルが低いですね。海外で生活して、色々な人の家に行って「違うな」って思ったのが、絶対に海外って生活にアートが取り入れられているんですよ。そこにお金をかける文化が根付いていて、生活の中にアートがあるんですよ。給料の中の、使うパーセンテージの何割かを割くらしくて。それぐらい生活に根付いているんだなって感じましたね。
また、日本文化を受け入れてくれる土壌が思っていたよりもあることに気付いたそうだ。
佐藤氏:日本文化って、ヨーロッパとかで受け入れてもらっているような気がすごくします。独自で、ジャパン祭とかイベントがあったりするので。とても「ようこそ日本人」っていう感じがします。海外に行くなら今じゃないかなって思うんですけどね。
GoPro Black Light Dance SIRO-A / PHANTOMIME
活きるアイデアは1000個から1個
次々と新しいパフォーマンスを生み出す白A。アイデアはどのように生まれてくるのだろうか?
佐藤氏:基本的にはアイデアとかは全メンバーで出し合って、それを演出家がまとめます。そこから実際にやってみて、誰か一人でも違うなと思ったらやめます。アイデアなんて1000個出て1個残ればいいですからね。
ちょっと今、昔に戻りつつある空気があります。ここにきて、昔のような泥臭いというか、人間のぬくもりがあるような…。ただ、テクノロジーも大事にしています。コンセプトが人間と音楽と映像のテクノロジーの融合なので…。あとは自由ですね。
テクノロジーがあるから何かやろうという発想はない。「人を楽しませたい」「とにかくやってみたい」という気持ちを叶えるために必要なテクノロジーを使い・見つけ・考える。そんな彼らの純粋な思いが新しいパフォーマンスを生んでいる気がした。
SIRO-A LIVE 2015「R to G to B」
開催日時:2015年1月11日(日) 17:00 OPEN 18:00 START
会場:恵比寿 The Garden Hall
券種・料金:全席指定 ¥4,500(税込)
※3歳以上有料
※チケットぴあ、ローソンチケットイープラスにてチケット発売中
お問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION
TEL:03-5720-9999