txt:茂出木謙太郎 構成:編集部
東京ゲームショウ2015開催!
2015年9月17日から20日の間、幕張メッセで「東京ゲームショウ2015」が開催された。268,446人もの来場者を集め、特に19・20日の一般公開日は、大行列の様子やゲーム体験用の整理券が一時間足らずでなくなってしまうなどの盛況ぶりなどもツイートされた。
VRクラスタが多いこともあって、Oculus RiftやPlayStation VRの体験レポートを始め、VR関係のゲームに関する情報が初日から私のタイムラインを賑やかせていた。残念ながらビジネスデイに訪れることのできなかった私は、一般公開日の最終日に参加した。
結果、これまでにタイムラインを見て感じていた「VRきてる!」という思いに対して、ある大きな問題に気がついた。
■エレクトロニック・アーツ
例えば上記の写真は、エレクトロニック・アーツ「Star Wars バトルフロント」の展示の様子。入口に向けてまるでスタジアムのように体験ユーザーがゲームを体験できる。ハッシュタグ付きでこの様子をツイートするとオリジナルステッカーがもらえた。私もツイートした!
■コーエーテクモゲームス
コーエーテクモのイベントステージでは、「アルスラーン戦記×無双」や「ゼルダ無双ハイラルオールスターズ」の発表イベントが行われた。事前に登録しないと近くで見ることができないほどの大人気!1/1の巨人の頭が大迫力だ。
■WARGAMING JAPAN
WARGAMING JAPANでは「World of Tanks」の試遊。カジノを思わせる照明と配置。向かって左手にはタンクの模型が。コスプレのコンパニオンの撮影会も行われていた。
■プロダクション・アイジー
プロダクション・アイジー「攻殻機動隊 新劇場版 -Virtual Reality Diver-」では、VRコンテンツを体験することができるとあって整理券は即配布終了。キャンセル待ちに並ぶ人も。体験はこの黒い壁の中で行われている。
■Oculus
OculusのブースではGear VRと新製品のOculus Riftの体験ができた。Gear VRは写真中央の黒い看板の下で行われていた。
Oculus Riftの体験に並ぶ人。整理券は午前中早々に配布終了し、キャンセル待ちの列もあった。体験はこの黒い壁の内側で行われており、外からは様子を見ることはできない。
■ソニー・コンピュータエンタテインメント
SONY PlayStation VRの体験ブース。左手の階段を登ったところと、その下の2階建てになっている。一般とは仕切られており、遊んでいる様子は観ることができない。話によると、整理券は開場5分で配布終了だったとのこと。右手の壁の奥に順番待ちとキャンセル待ちの行列があった。
キャンセル待ちの行列。最後の人は遊べたのだろうか?
ケースに飾られているPlayStation VR。向こう側が例の個室。楽しさはこれで伝わる?と疑問に感じざるを得ない
ブースを見て感じたこと
さてさて、これらブースの様子を見て気がついていただけただろうか。 そう、VR機器を体験している様子が外から全く見えないのである。これに対して某代理店の方にお話を聞くことができたのだが、あまり明確な理由を聞くことができなかった。
- VRを体験している様子は本人がどのように見られているかわからないため、プライバシーを守るために個室にしている
- VRを体験している間は荷物などを見張っていることができないため、置き引きなどに注意するために個室にしている
- 揃えられる機器の台数に限りがあるため、制限して個室にしている
というような話だったが、どれも説得力にかける。
(1)は体験している様子が見える場所にあることを事前に了承させればいいだけだし、メインステージでYouTuberや声優などがニコ生を行っているのだから、そこに紹介を持っていかない理由が特にないように思える。
(2)は個別にインストラクターがつくし、ひな壇にいるユーザーだって状況はさほど変わらないのではないかと思う。
(3)は個室との関わりがあまり良くわからない。他の理由もあるのだろうが、残念ながらブースの設計者に聞くことがかなわなかったためにわからない。もし記事を読まれたらぜひお教えいただきたい。
もっとも理由はあまり重要ではなく、私としては「これじゃVRコンテンツを楽しんでいる人の純粋な驚きや楽しそうな様子が、周りに全く伝わらないじゃないか!」という焦りにも似た思いをどうにかしたい。という一点につきてしまう。
反面、小さいブースでは頑張ってプレゼンテーションしていると思う。これでいいのだろうか。
全国1413人の20~60代男女に「『Oculus Rift』のVR(バーチャルリアリティ)を体験したことがある?」かを調査した結果、3%しかいなかったそうである。もちろんどのように調べたのかとか、セグメントはどうなのかとか、いろいろ突っ込まれる人もいるかもしれないが、やはりこれはあまりにも少ない状況ではないかと思うのだ(実感では3%でも多いと思う)。
奇しくも「Oculus Connect 2」が翌週にサンフランシスコで開催され、関係者はその未来像に感動し、たくさんのレポート記事が上がっている。ただ、ここに参加されている人たちはもう充分にVRの魅力や将来性について理解している人たちだ。
問題は、まだVRに全く触れていない人たちに、いかに「ちょっとやってみようかな」と思わせることができるのか。その貴重な機会である展示方法が、あまりにもクローズドな雰囲気なのはよろしくないのではないか。とにかく、VRの楽しさをどのように伝えるべきか、私たちはもっともっと真剣に考えていくべきなのではないかと思う。
ところで、Gear VR体験の様子。すでに製品としては世の中に出ているものなのでさほど待たずに体験できる。そして行列もあまりなかった。楽しそうに見える?これはこれで展示方法に工夫がほしい!と思わざるをえない風景。