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アミューズメントレストランを技術的に支える裏側を大解剖
エンターテインメント性が高く空間演出へのこだわりを持った飲食店が増えてきており、飲食を楽しむだけではなく、映像演出やパフォーマンスを含めて楽しめると人気だ。今回は、イベント映像演出の視点から、そのようなアミューズメントレストランを技術的に支える裏側を見てみたい。
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MLB公認カフェレストラン・スポーツバー「MLB café TOKYO 東京ドームシティ店」
2015年3月にオープンした東京ドームシティ内にある「MLB café TOKYO東京ドームシティ店」。店内にある3面マルチビジョンでは、メジャーリーグの試合映像が流され、ボールパークをイメージした店内で飲食を楽しむことができる。
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M-caf’eGirls
連日、フロアスタッフのM-caf’eGirlsによるショーイベントパフォーマンスも行われ、その際にマルチビジョンも、曲名やイメージ映像の再生などショー演出の重要な機材として活用されている。
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M-caf’eGirlsによるショーイベントパフォーマンス
株式会社サンライズジャパン 新規事業開発本部 企画・営業ディレクターの吉田孝史氏と、店内の映像演出機器選定と導入を担当したフリーランス テクニカル・ディレクターの田中徹氏に機材選定などの詳細について、お話を伺った。
飲食店における映像演出の必要性
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株式会社サンライズジャパン 新規事業開発本部 企画・営業ディレクター 吉田孝史氏
吉田氏:MLB café TOKYOは、世界初のメジャーリーグベースボール公認カフェレストランになります。メジャーリーグの中継映像を大型画面で楽しんだり、メジャーリーガーが来日の際にはファンイベントを開催したりと、コアな野球ファンに向けたスタイルから、M-caf’eGirlsによるお店全体を使ったパフォーマンスを通じて、野球ファンのみならず、あらゆるお客様が楽しめるエンターテイメントレストランを目指しています。
レスポンスの早さと、一目見て使えることが重要
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ライブパフォーマンスに合わせて展開できるPR-800HD
吉田氏:機材選定に関しては、カフェスタッフでも使えるようにすること。ファンイベントや貸切のイベントなどもあるのでそういった際にも柔軟に対応出来ること。という、ちょっと欲張りなオーダーでお願いしました。特にステージショーはタイミングが重要なので、そういった点も選択の際のポイントでした。
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フリーランス テクニカル・ディレクター 田中徹氏
田中氏:プロがオペレーションするのであれば、それぞれの使い慣れた機材となるんですが、通常のレストラン営業もしながらオペレートもしてもらうことになるので、操作画面上で何がしたいかが分かるような仕組みを持った機材を中心に選びました。
特にステージショーに関しては、パフォーマンス用の音も一緒に扱うので、音声面での信頼性も必要でした。 PR-800HDを使って、ステージセットリストに合わせて曲順を入れ替えたり、サプライズを仕込んだりすることに利用しています。
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生カメラを含めたたくさんの映像ソースをマルチスクリーンに映し出すにはXS-84Hが必要
多様なソースを組み合わせて使用
吉田氏:ファンミーティングや企業のパーティーなど貸切営業の場合は、お客様が持ち込まれた素材を使用することになるので、多様な信号形式に対応できるように準備をしています。
田中氏:スクリーンの面数が多いことで、出来ることのパターンが多くなる分、どこに何を出したいのかがシンプルにわかるもの、そして安定しているものというように選んでいきました。
今後の課題と展開
田中氏:今回大変だった点は、LEDパネルなのでビデオ信号とはアスペクトが異なることがあり、その部分で変換や調整などを多く行いました。マルチパネルや変形のパネルなども、スペースの演出などでリクエストされることが増えてくると思うので、そういった点も一台の機材で行えるようになると、飲食店などでの映像演出導入が容易になってくると思いますね。
吉田氏:今後は、照明演出との同期なども精度を上げて、映像演出の延長線上で行なっていきたいと考えています。その際も、次にやりたいことが操作画面上でビジュアル的にわかるかどうかが、機材選択の重要なポイントになってくると思います。
WRITER PROFILE
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