txt:岩沢卓(バッタネイション) 構成:編集部
機材一式をオリジナルキットとして制作・運用
舞台音響会社としてスタートし、現在は照明、映像、ワイヤレスマネジメントなどの舞台・イベントに関わる幅広い分野を手がけるセカンドステージ株式会社。今回はミュージカルツアーの演出用にスイッチャー、モニターなど機材一式をオリジナルキットとして制作・運用された件を中心にお話を伺った。
ミュージカルツアーのために4年前から開発
左:セカンドステージ株式会社 代表取締役 若松吉己氏、右:ビジュアルデザインDiv.映像部リーダー 西脇丈也氏
若松氏:弊社が音響をメインとしてスタートした背景もあり、ツアーの際には機材や設定含め、事前に仕込んだ状態のもので会場入りすることが多かったのですが、映像分野でも同じようなことができないかと試行錯誤していました。ユーティリティーケースの中に機器一式を入れることでセッティングも短くできるし、機材の積み込みも楽になるということで、4年前から開発を始めました。
映像システムラック結線図西脇氏:システム化することで、短時間、少人数でのセッティング、撤収を実現できるようになっています。機器構成としてはメインスイッチャーをV-1200HD、映像送出用にPR-800HDをバックアップ含め4台、リモートカメラと有人カメラのライブカメラ計3台を入力して使用しています。同録のシステムを組むにあたっては、V-1200HDが持つ出力の自由度はありがたかったです。
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映像演出はシステムとして同期できることが重要
西脇氏:映像送出のコントロールは、音響卓からのタイムコードでPR-800HDを同期させています。ステージ上では音きっかけで進行することが多いので、音響側がマスターとなるようにシステムを構成しています。それによって仕事の分担も明確になりますし、操作パネルのレイアウトもシンプルに行え、ミスも防げるようになっています。
常にサブ機も同期して稼働させておく
西脇氏:演出上、映像が途切れては困るので、タイムコードを分配してサブ機も常に同期して動くようにしています。その点でもタイムコードでコントロールできることは、台数も増やしやすく安心でした。実際には、全国をツアーするなかでサブ機を使用することはなかったのですが、正確に同期してくれることの安心感は重要です。
準備が素早く完了することでお客様に安心してもらえる
若松氏:リハーサルの段階で素早く映像が出ることで、クライアント・出演者の皆さんも安心してくれるので、その点を重要視しています。実際のイメージに近い形をスピーディーに構築することで、現場にいる全員の意識が「会場に観に来てくれるお客さんのために、最終調整をしていく」という本来の形になれることが大事だと考えています。
LEDパネルも自社製品だからこそ実現出来るスピード感
西脇氏:今回システムを組む中で、LEDスクリーンも弊社オリジナルのものを使用しています。長いツアーのなかで最終出力までテストしたものが利用できることは、お客様にとってもメリットが大きいと考えています。
若松氏:ワイヤレスマネジメントも手がける弊社だからこそ、ワイヤレスシステムに影響しない、漏洩電波がないタイプのLEDであることも特長ですね。
今後は可搬性をさらにアップしたシステムも
西脇氏:今回のシステムを実際の現場で運用してきたことで、ステージの規模や内容に合わせたよりシンプルなシステムも準備しています。
若松氏:イベント/ステージに関わるすべての業務をワン・ストップでサポートできる弊社の強みを生かしたシステム作りを、これからも続けて行きます。