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txt:土持幸三 構成:編集部

小学校の授業で映像作品を作る

今年、川崎市での小学校映像授業は早く始まった。例年、夏休みの宿題としてそれぞれが物語を考えてくるのだが、今年は夏休み前に物語の書き方、考え方を授業してきた。まずは普段の学校や周辺で何気なく見ている風景が見方によっては全然違うものに見えてくると紹介した。

例えば、校内にある、意見などを書いた紙を入れる「ポスト」は未来からの手紙が出てきたり、過去への手紙をだすことができたり、エレベーターは宇宙船に、校長室は国会議事堂になったり、校内の写真を見せながら子供達に色んな想像や意見を言ってもらった。

物語を書くポイントとして「書ける所から書く」と伝えると納得してくれたようだったので夏休みが終わってから、クラスでどのような物語が選ばれ、脚本になり、そして撮影につながっていくか、今からとても楽しみである。

「レンズはかえられないの?」小学生の素朴な疑問に答える

前置きが長くなってしまったが、この授業の中で実際に彼等が使うビデオカメラを三脚にのせてみせたのだが、小さな声で「レンズはかえられないの?」と言った子供がいた。その場ではサラッと流したが、約10年、映像授業をやってきて初めての質問だった。もしかしたら小学生でもレンズを変えて撮影することが憧れというか、良い映像が撮れるという思いがあるのだろうか?さらに「昆虫を大きく撮りたい」という子供もいた。

よく聞くと多分、自作で昆虫を接写するレンズを作成して撮影を行っている昆虫写真家の栗林慧さんが撮られた写真を見て、自分もあのような映像が撮ってみたいと思ったみたいだった。

今まで小学生向けの映像授業でマクロレンズ(マイクロレンズ、接写レンズのこと)について説明したことはないが、何人かの子供から接写レンズについて質問を受けたことがあり、その時は確かビデオカメラにマクロモードがなかったので接写フィルター(クロースアップレンズ)を使用し、マニュアルモードで撮影したと思う。

レンズやリング、ベローズ、リバースアダプターなど接写アイテムは色々

一般向けの映像教室でもある程度、撮影経験がある方からマクロレンズについて質問を受けることは多い。最近はアマチュアの方であっても一眼レフやミラーレスカメラなど、レンズ交換ができるカメラで動画を撮影する方が増えており、ビデオカメラには付いているマクロモードが無いので困ってしまうのだ。

解決策にはいくつかあって、もちろんマクロレンズを購入すれば一番良いのだが、先ほどあげた接写フィルターや接写リング、べローズ、リバースアダプターなどマクロレンズを購入しなくても安価で接写の出来るアイテムは多い。

マクロレンズ、接写フィルター、接写リングを駆使して接写を楽しむ

基本的にマクロレンズとは被写体をそのままの大きさ(等倍)や半分程度の大きさで撮影できるもので、望遠レンズとの違いは近くのもの(接写)に適したレンズになっている。もちろん、接写以外のものでも撮影できて、ポートレート撮影でも使用される方も多いので接写に興味があってポートレートも撮りたいという方にもマクロレンズはお奨めだ。上にあげた接写のためのアイテムの中で一番手軽なのは接写フィルターだろう。

接写フィルターはレンズの前に取り付ける

接写フィルターには1から5程度までの番号がふってあって持っているレンズの口径に合ったものを装着すれば、そのレンズの最短撮影距離を超えて被写体をより近くで撮影することが可能で、結果、接写することができる。5番など数字が大きくなればさらに被写体に寄る事ができる。

接写フィルターは番号によって被写体に寄れる距離が変わる

次に接写リングもお奨めできる。接写リングはレンズとカメラの間に装着することによって焦点距離を伸ばし接写することが出来る。

接写リングを装着したもの

接写リング無し

接写フィルターと違ってレンズがないので画質に影響が無い。接写リングは番号でなくて長さで違いがあるが、だいたい長短セットで販売されている。今まで試してこなかった方はこれらのアイテムを使って是非接写をトライしてみて欲しい。

WRITER PROFILE

土持幸三

土持幸三

鹿児島県出身。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。