Vol.06 オンラインプレゼン技法「田口ブラック」徹底解剖[田口真行のライブ配信ディレクション思考]

ウェビナーやイベント配信におけるオンラインプレゼン。人物とスライドを画面合成する「画づくり」は、プレゼンターとユーザーを繋ぐ重要な接点です。今回は、講師の田口真行が考案し、ライブ配信業界の一部で「田口ブラック」と呼ばれているオンラインプレゼン技法についてご紹介します。

オンラインならではのプレゼン表現

これまでプレゼンテーションは会議室やセミナー会場など、オフラインの場で行われるのが一般的でした。 しかし、最近はオンラインで実施する機会が増えてきました。そこには「オンライン(画面越し)ならではのプレゼン表現」が求められます。

Vol.06 オンラインプレゼン技法「田口ブラック」徹底解剖[田口真行のライブ配信ディレクション思考]

人物(カメラ)とスライド(PowerPoint)の合成は、一般的に「ピクチャー・イン・ピクチャー(PinP)」という方式が使用されます。とても簡単で便利な映像合成ではありますが、スライドの割合に対して(物理的に)演者が小さくなってしまうデメリットが生じます。

人物とスライド、どちらか一方を犠牲にすることなく「相乗効果」を目指したのが、私が考案し実践している「田口ブラック」方式です。

ルーマキー合成とクロマキー合成の違い

実際にやっていることはとてもシンプルで、「人物(黒背景)」を捉えたカメラ映像の上に「スライド(黒背景)」をルーマキー合成(暗い部分を透過)しているだけです。

Vol.06 オンラインプレゼン技法「田口ブラック」徹底解剖[田口真行のライブ配信ディレクション思考]

同様のことはグリーンバックを用いた「クロマキー合成」でも実現できますが、隅々まで均一なグリーンを保った背景を用意するのは意外と手間がかかります。また、グリーンバックと人物の境界にジャギーが発生してしまうこともあります。手間を軽減しつつ、品質を担保するために「ルーマキー合成」は最適です。

「田口ブラック」の機材構成

カメラ(映像)とマイク(音声)はPCに接続したキャプチャデバイスを通じて、ビデオミキシングアプリケーション「vMix」にインプットしています。

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PowerPointの映像は画面合成に用いる「スライドショー」とプレゼン時にカンペモニターするための「発表者ツール」、それぞれの映像信号を「NDI(ネットワーク伝送)」でvMixに送出しています。本連載コラムでも何度か取り上げた「NDI」は、1対nで映像や音声を送受信できる仕組みです。これにより(カメラ目線を意識した)複数ポジションのモニター環境をワイヤレスで構築できます。

Vol.06 オンラインプレゼン技法「田口ブラック」徹底解剖[田口真行のライブ配信ディレクション思考]

スライドアニメーション

PowerPointのアニメーション機能は、一般的なプレゼンでは「蛇足(余計なもの)」と敬遠されがちですが、「田口ブラック」方式のオンラインプレゼンにおいては重要な要素です。

Vol.06 オンラインプレゼン技法「田口ブラック」徹底解剖[田口真行のライブ配信ディレクション思考]

ポイントは「プレゼンターのハンドアクションに連動」させること。 人物の動きとスライドの動き、それぞれのシンクロを意識して上手に組み合わせることで、プレゼン進行がスムーズに展開し、メッセージ伝達をより効果的に演出できます。

以上、今回はオンラインプレゼン技法「田口ブラック」について取り上げました。 次回もどうぞお楽しみに!

WRITER PROFILE

田口真行

田口真行

株式会社エンタミナ代表取締役。企業サイトのディレクションだけでなく、アートディレクション、プロデュース、セミナーイベント主催など幅広く活動