株式会社エンタミナの田口です。
ライブ配信における「画づくり」を担うビデオミキシングツールは、様々な種類があります。中でも「vMix」は幅広い映像演出ができるソフトウェアですが、高機能な反面、"とっつきにくい印象"を持たれている方も多いかもしれません。
今回は、ライブ配信ビギナーの方に向けて「vMix」の特徴的な機能、そして「どういった表現ができるか」という観点で解説をします。
テキストだけでは伝わりにくい点もあるため、それぞれ動画解説とあわせてお楽しみください!
多彩なミキシング表現
「vMix」は、インプットした複数の映像ソースをレイヤーで重ねて表現豊かな「画づくり」ができます。
例えば、ホール空間をモチーフとした静止画ソースの一部にPowerPointのスライド映像ソースを埋め込み、その手前にグリーンバックの人物の映像ソースをクロマキー合成したバーチャルセット配信も可能です。
ソース単位の個別の拡縮やアングル調整はもちろん、構図全体をモーションさせた仮想的なカメラワークをつけることも可能です。
柔軟なシーンセッティング
ミキシングした映像ショット(シーン)は、カメラ映像のスイッチングと同様にワンボタンで切替可能です。キーボードショートカットも細かく設定ができ、トランジションの種類やタイム違いのバリエーションをそれぞれ異なるキーにアサインもできます。
充実のインプット/アウトプット
「vMix」はPC(Windows)上で動作するソフトウェアです(Mac非対応)。USBカメラやマイクはもちろん、動画や静止画ファイル、WAVやMP3形式の音声ファイルなど様々なファイルをインプットできます。
特徴的な点としては、PowerPointファイルの直接読み込み。スライド送りを「vMix」上でオペレーションもできます(PowerPointのアニメーションは反映されません)。
もちろん、ファイルのインプット以外に、PCに接続したビデオキャプチャデバイスやオーディオインターフェースなど外部機器の映像及び音声ソースもインプットできます。
また、アウトプット系も充実しており、PCに接続した外部ディスプレイ出力に加えて、NDIや外部モニターデバイス等への出力もできます。
出力するソースはマルチビューやプログラムアウト以外に、特定のインプットソース(またはミキシングした映像ショット)をアサインすることも可能。まるで「オーディオのバスアウトのような感覚」で扱うことができてとても便利です。
マルチソースレコーディング対応
「vMix」は、ファイルレコーディングにも対応しています。メインのプログラムアウトはもちろん、インプットした映像ソースを(任意で選び)個別にマルチレコーディングも可能です。レコーディングしたファイルは、ライブ配信後の後編集用の素材として応用できます。
豊富な外部コントローラー対応
様々な機能に溢れた「vMix」の中で、「これぞ最大の特徴!」と個人的に感じている点が外部コントローラーへの対応です。PCに接続したUSBやBluetooth系のコントローラーはもちろん、MIDI機器にも標準で対応しています。
外部コントローラーは、ワンマンオペレーション以外に「複数人での作業分担」にも効果的です。例えば、音声ミキシング担当(=フェーダータイプのコントローラー)、シーンスイッチング担当(=ボタンタイプのコントローラー)、PTZカメラ担当(=ジョイスティックタイプのコントローラー)といった具合に、物理的に役割とコントローラーを分けることで、それぞれ専任の担当者がそれぞれのオペレーションに集中できる状況が構築できます。
さて今回は、ビデオミキシングソフトウェア「vMix」を、実際に現場で使い続ける中で感じた「このソフトウェアならではの特徴」を軸に解説をしました。
私がディレクションしたライブ配信のアーカイブは、株式会社エンタミナのYouTubeチャンネルで視聴できます。様々な映像表現にチャレンジしていますので、実際に「vMixを活用したライブ配信の事例」としてチェックいただけたら嬉しいです。
引き続き、ライブ配信ならではの「表現を拡張するツール」として、私自身もじっくり使い込んでいきたいと思います。
次回もどうぞお楽しみに!