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株式会社エンタミナの田口です。

最近ニーズが増してきた、リモートゲストを交えたライブ配信コンテンツづくり。
「Zoom」などのテレビ会議ツール、ウェブブラウザ上で動作する「StreamYard」、リモートゲスト機能を実装した「Ecamm Live」や「vMix」など、様々な選択肢があります。今回は、それぞれのツールの特徴、そして現場運用におけるメリット/デメリットをディレクター視点で解説します。

あくまで「いちディレクターの現場経験に基づく解説」にはなりますが、数々のライブ配信コンテンツをディレクションしてきた立場の意見として、参考にしてもらえたら幸いです。

ニーズに応じて使い分ける「4つのツール」

遠隔の映像&音声をリモートで接続する方法として、私は4つのツールをそれぞれケースに合わせて使い分けています。

それぞれのツールには機能と特性に違いがあり、それは一長一短。「これですべてOK!」ではなく、現場で求められるニーズにあわせてその選択肢は変わります。

Point 1:「リモートゲスト側の負荷と接続の安定性」

遠隔の映像と音声を取り扱うにあたっては、「リモートゲスト側(送信)の負荷」を意識する必要があります。多くの場合、現場側(受信)にはライブ配信の専門知識をもった人員(ディレクターやエンジニアなど)が居ますが、リモートゲスト側にテクニカル面をフォローするリソースがなく「映像と音声を送信できない!」というトラブルが発生することもあります。

そのような状況の中で、Zoom(を含むテレビ会議ツール)は、日常的に利用している方も多く、接続時のトラブル発生率は低い印象があります。それ以外のツールの場合、リモートアクセス用のURLを発行してウェブブラウザ経由で映像と音声を送信する必要がありますが、そこではリモートゲスト側のウェブブラウザの設定(カメラとマイクとスピーカーの設定)、そしてウェブブラウザと接続機器(ウェブカメラやキャプチャデバイスなど)との相性に注意する必要があります。

Point 2:「画質と音質のクオリティ」

リモートゲスト側の映像と音声は、用いるツールによってその品質が大きく異なります。その影響はツール自体の仕様によるところもありますが、ツールを稼働するPCのスペック(マシンパワー)やネットワークの回線状況によっても変わってきます。

また、ツールによってリモートゲスト側から送出する「画面共有(スクリーンシェア)」の方式や、現場側(受信)とリモートゲスト側(送信)の双方向コミュニケーションにおける「レイテンシー(遅延)」にも違いがあります。レイテンシーが大きくなると、リモートでの会話に不自然な間が生まれたり、「会話が嚙み合わない!」といったアクシデントに繋がります。

このあたりは「何を優先とするか」によって選択肢が変わりますが、例えば「会話のキャッチボールを優先する場合」はレイテンシーをほとんど感じないZoomを選び、双方向のやり取りが発生しない場合は画質と音質を優先して、それ以外のツールを選ぶこともあります。

また、イレギュラーなケースではありますが、メインの回線(ライブ配信に反映する映像と音声)とは別に、手元のスマートフォンで「音声通話(電話)」を走らせる方法もあります。その場合、裏側の通話音声がメイン回線の音声に影響しないよう注意する必要があります。

Point 3:「画づくりの自由度」

リモートゲスト側の映像と音声を取り扱うディレクションにおいて、「画づくり」は大きな課題です。ここでの自由度もツールによって差が出ます。それぞれの特徴について解説動画をご覧ください。

vMixを用いたリモートゲスト対応の画づくり

私がメインで使用するvMixは、リモートゲスト側の映像&音声をローカル環境でキャプチャしたインプットソースと(ほぼ同様に)取り扱うことができます。 そのサンプルを紹介します。

今回は「リモートゲスト対応」をテーマに、遠隔の映像&音声の取り扱いについて、私自身がケースバイケースで使い分けているツールの特徴と機能について解説しました。

ぜひ、みなさんの現場でのディレクションのヒントになれば嬉しいです。次回もどうぞお楽しみに!

WRITER PROFILE

田口真行

田口真行

株式会社エンタミナ代表取締役。企業サイトのディレクションだけでなく、アートディレクション、プロデュース、セミナーイベント主催など幅広く活動