Vol.05 よりリアルな色彩を。あらゆるシーンに対応したデザイナーモニター「BenQ PD3205U」[Monitor Review]

BenQといえばモニターに詳しくない私でも名前は知っているし、業界内でもトップクラスのメーカーだという認識があります。そんなBenQの32型4Kモニター「PD3205U」を2週間ほどお借りしたので使用感などをお伝えします。

PD3205Uの特徴としては、BenQ独自のAQCOLORクオリティ4K UHDの高解像度により、色精度と均一な輝度を実現。暗室・デザイン・CAD/CAMなど多彩なカラーモードを搭載。32型の大画面も非常に魅力的なモニターです。

私のモニター遍歴は、

MacBookPro→iMacPro→LG 32UN550-W(MacPro)

といった感じです。基本的にはMacですがディスプレイ一体型のモデルでは6K、8Kには耐えられずグレードアップしていきました。解像度もですが、収録データ形式も進化していきカラーの重要性が増してきたなと思います。最近では解像度が高いだけでは「綺麗」「クオリティが高い」と言われず、しっかりグレーディングされた映像に感動を覚えるクライアントが増えた印象です。

PD3205Uを活用した制作ワークフロー紹介

私が使用しているカメラは「RED DRAGON-X 6K」で主な案件はMusicVideoです。

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PD3205Uはシンプルなデザインかつ、配線周りがスッキリしており、USB Type-Cも備え付けられていて給電可能なのが良い。

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付属のホットキーパックG2

BenQのモニターを使用したのは初めてで、新鮮に思ったのはコントローラーが付属されていることです。これがとても便利です。他社のモニターだと、Macのキーボードにある輝度調整ボタンが機能せず、モニターのボタンをポチポチ押していました…。

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この2週間で3本のMVを編集しました。設定は下記の通りです。

  • カラーモード:sRGB
  • 輝度:100
  • コントラスト:50
  • シャープ:5

AQCOLORシリーズ、4K UHD、HDR10、ノングレア、10ビット。

専門用語が並ぶだけで間違いないんだろうなという気がしますよね。その通りです。めちゃくちゃ綺麗です。

sRGB/Rec.709の色域カバー率は99%、Display P3/DCI-P3の色域カバー率は95%で色をより正確に再現できるそうです。ノングレア液晶はあまり好きじゃなかったのですが、印象がガラッと変わりました。発色がとにかく良いのです。

使っていて特に良いなと思ったのは、カラーモードの多さと切り替えの簡単さです。私は企画・撮影・編集と案件に関わる全ての工程に関わるので、用途は映像編集だけではありません。

  • Google Chrome…リファレンス探し
  • Pages…企画書作成
  • Adobe Premiere Pro…映像編集

なので、目に優しい「ブルーライト軽減」モードはとてもありがたい点です。編集時もオフラインの際はカラーを気にしないので、常に「ブルーライト軽減」で作業していました。長時間作業していても疲れないのは嬉しいポイント。

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今回使用したカラーはこの3つ。

  • M-Book
  • ブルーライト軽減
  • 暗室

このようにシチュエーションに応じたカラーモードがあるのはとても魅力的でした。映像編集を暗闇で作業するのが好きなクリエイターが多いので、暗室モードがあるのは良いですね。設定変更がコントローラーでサクッとできるのもポイント。

私はPremiere Proで編集からグレーディングまで全てを完結させています。MV案件が多いので、iPhoneでの視聴を前提にして制作しています。Apple製品であるMacBook用のM-bookモードがiPhoneに近いかと思い、試してみましたがsRGBの方がiPhoneの発色に近かったです。この見比べにはデュアルモードが役立ちました。視聴環境によって見え方は全然違ってくるので、このモードはかなり需要あると思います。

SNSを意識した機能搭載に期待

要望を挙げるとすると、スマホでの視聴を目的としたSNS広告案件も増えているので、スマホモードが今後搭載されたら嬉しいです。業務が多岐に渡るクリエイターにはぴったりのモニターだと思います。

視聴環境の多様化で適正とはなんなのか…グレーディング時にいつも悩むのですが、PD3205Uはキャリブレーションされた状態で出荷されているので、一つの指標にはなると思います。マスターモニターの概念も扱う案件によって全然変わってきますし、やはりスマホモードが欲しいですね。

スペックは間違いないですし、値段もMacに比べたらかなり安いです。撮影機材が飽和状態な今だからこそ、モニターに目を向けてみてはどうでしょうか?