幅広い映像制作現場に対応するS1HのファームウェアVer2.0を発表

パナソニックのLUMIX S1Hは、“シネマミラーレス”などと呼ばれることも多く、その名の通り幅広い映像制作現場に対応できるフルサイズミラーレス一眼。6K24p、5.9K30p、DCI 4K60p、4:2:2 10bit、H.264、HEVCなどの様々な記録モードに対応しており、シネマカメラライクに使用できる一方、強力な手ブレ補正を活かして手持ち撮影も可能。

今回注目したのは5月25日に無償公開されるファームウェアVer2.0だ。以前より開発発表を行っていたが提供開始日が決定した。同アップデートによりATOMOS社のNinja Vに対し、最大5.9Kの12bit動画RAWデータを出力し、Ninja VでApple ProRes RAWフォーマットでの記録が可能となった。カメラ内での10bit Log撮影に加え、今回新たに12bit RAW出力に対応したことで、さらに映像制作の自由度が向上した。

ファームウェアVer2.0では様々なモードでRAW動画出力に対応。開発発表時から予告していた5.9K最大30pや4K(17:9)最大60pに加え、Super35mmアナモフィックでの3.5K(4:3)最大50pにも対応し、音声も同時出力される。多くのクリエイターの創造を支援することを目指したLUMIX S1Hの思想に基づき、これらの機能強化を全て無償で提供することが、今回の大きなポイントだという。

RAW動画出力時に、カメラ内でもRec.709でのアシスト表示もこだわりポイントだという。今回のファームアップでは単にRAW対応するだけでなく、様々な動画機能強化も同時に行っており、例えば、従来DCI4Kを超える解像度(6K、5.9K、5.4K)での撮影中にHDMIデータ出力ができない仕様だったが、今回からダウンコンバートでの4K出力に対応となった。高解像記録中も含め、いつでも外部モニターを使用可能。

また、動画撮影中にシャッターボタン半押しでAFONを行う操作において、誤って全押ししてRec/Stopしないよう、シャッターボタンの全押しによる記録の開始終了を無効化するメニューが追加される。その他にもSDカードとの互換性向上や、その他の画質改善などが含まれている。

開発の際の難しかった点として、HDMIを経由してのRAW出力伝送の仕様確立が挙げられるという。HDMIの帯域の中でどのようにして5.9KサイズのRAW出力を伝送できるかをATOMOS社と共に時間を掛けて検討したようで、ATOMOS社の親切な対応と、このシステムを実現したいという双方の思いのおかげで、2019年夏に差し掛かる頃には、実現したい仕様案はほぼ固めることができていたという。想定以上に早く実現の目途を立てることができたので、2019年8月のS1H正式発表会でATOMOS社との協業によるRAW動画出力に関する開発についても発信し、さらに翌月のIBC2019では、一部の実現機能とファームウェア公開の目標時期(2020年春)を開発発表することになった。

■一言アピール!

“記録時間無制限”はGH5/GH5Sなどから引き継がれているLUMIXの強みです。GH5/GH5S/S1Hといった動画撮影に強い当社のミラーレス一眼は、動作保証環境下においてバッテリーや記録メディアの続く限り記録を続けることが可能です。もちろん、夏の屋外で撮影する際や舞台撮影の長回しにも重宝すると思いますが、このご時世、YouTubeなどのオンラインで動画配信などを手掛ける方にとっても途中で不意に記録が途切れることなく、安心してお使いいただける仕様です。S1HやGHシリーズは高画質や編集耐性をご評価いただくことも多いのですが、このような実用性にも是非ご注目いただきたいです。