SAEDAといえば、早い時期からワンタッチで開閉可能なソフトボックスなどをラインアップする照明ブランド「Phottix」が同社の代名詞であり、毎年のCP+におけるその展示は大きな楽しみであった。しかし、今年のブースに足を踏み入れると、取り扱いブランドが大幅に拡充されており、その雰囲気は一変していた。なかでも一際注目を集めていたのが、従来のラインアップとは一線を画す、ソリッドな質感を備えたデジタルカメラ群である。

なかでも強烈な存在感を放っていたのが、同社が新たに立ち上げた自社オリジナルブランド「BECKS」だ。これは単なる海外製品の輸入代理店業務ではなく、SAEDA自らが企画し、中国の工場と連携して開発した独自のプロダクトであるという。この「BECKS」という名称には、会社を大きく発展させた先代会長への深い敬意が込められており、その想いを英語表現に置き換えた際の頭文字を組み合わせた名称であるという。ブランドの背景に流れる社員たちの誇りと熱意が、製品の佇まいからも伝わってくる。

実際にBECKS B-Quest BQ-1を手に取ってみると、その操作感と割り切った設計に驚かされた。背面を占める4インチの大型液晶モニターは、タッチパネルの反応が軽快で、現代のスマートフォンを操作しているかのような心地よさがある。光学ズームをあえて排し、10倍のデジタルズームを採用した点や、自撮りに適したインカメラの搭載、そしてWi-Fiなど、現代のユーザーが求める「撮る楽しさ」と「共有の速さ」に振り切った設計は、既存メーカーとは異なるアプローチを感じさせる。大画面ゆえに視認性も高く、お散歩カメラとしてはもちろん、シニア層にとっても極めて使い勝手の良い一台に仕上がっている。

ハードウェアとしての「遊び心」も徹底している。レンズ脇に配置された取り外しボタンのような意匠は、実は機能を持たない純粋な「飾り」だという。いかにもカメラらしい情緒的な佇まいを演出するためのデザインへのこだわりであり、レトロさと現代的なセンスが同居する不思議な魅力を放っている。
本体上部にはコールドシューを備えており、外部LEDライトを装着して動画撮影を楽しむといった拡張性も確保されている。カラー展開は、ソリッドなブラック、落ち着いたクリームブラウン、クリームブラックの3色が用意されており、どれも所有欲を強く刺激する。

さらにブースで興味を強く惹きつけたのは、BECKSブランドが展開するもう一つのラインナップである使い捨てカメラ風デジタルカメラ「BECKS B-Quest ND-1」だ。こちらは背面液晶を一切排除しており、撮影者はファインダーを覗き込まなければ構図すら確認できない。かつての富士フイルム「写ルンです」のような不自由さをあえてデジタルで再現した、5色の鮮やかなカラーバリエーションを揃えるという。



今回発表されたBECKSシリーズは、2026年4月の発売を予定している。カメラを単なる記録媒体ではなく、ファッションやコミュニケーションのツールとして再定義しようとする同社の試みが、今後どのような旋風を巻き起こすのか。今後の市場の反応が注目される。