今年のNABでもSonnetのブースを取材した。SonnetはThunderbolt製品の開発や認証において、AppleやIntelと密接に連携しているメーカーである。数々の先駆的なソリューションを世に送り出してきた実績があり、クリエイターからの信頼も厚い。
展示エリアには、Thunderbolt拡張システムやドック、デュアルディスプレイアダプター、Mac向け拡張システム、eGPUエンクロージャーなどが並ぶ。制作現場で必要とされる拡張ソリューションの多くが、このブースに集約されている印象だ。
今年は、次世代規格Thunderbolt 5への全面対応に加え、プロユーザーの現実的なニーズを見据えた「0TB」ストレージ戦略が披露された。
実用性と安定性を最優先したThunderbolt 5ストレージ戦略
今回の展示で注目を集めていたのが、今夏発売予定のThunderbolt 5対応SSDストレージユニットだ。最大4枚のM.2 NVMe SSDを搭載可能で、RAID構成にも対応する。
同社はこれまでにも数多くのストレージ製品を手掛けてきたが、現在は大型のスタンドアロン型製品の開発を終了し、今回のような拡張性を重視したコンパクトなスタイルへと舵を切っているという。
この製品は、SSDを一切搭載しない「0TB(ベアボーン)」モデルとして販売される。Sonnetによれば、近年のSSD価格変動の影響もあり、多くのユーザーが最小構成モデルを購入した後、自身で好みの高性能SSDへ換装して運用している実態があるという。
そのため、あえてストレージを付属しない構成とすることで導入コストを抑えつつ、ユーザーが自由にメディアを選択できる合理的な形を採用した。
さらに、いくつか興味深い話も聞くことができた。最新のThunderbolt 5は内部的にPCIe接続を利用しているため、高速なPCIe 5.0 SSDを装着すること自体は可能だ。しかし現状では、Thunderbolt接続側の帯域制約により、Gen5 SSD本来の性能をフルに引き出すことは難しいという。
同社は「現時点では高価なGen5 SSDを導入しても、コストに対するメリットは限定的」と説明しており、実用性と安定性を重視する姿勢を示していた。
市場で注目を集める8TB SSDについても、価格の高さに加え、発熱や消費電力、コントローラー構成による相性問題などから、現段階では積極的な採用を推奨していないという。
現在はWestern Digital「WD_BLACK SN850X」やSamsung製4TBモデルなどを基準に検証を進めており、単純に最新規格を追い求めるのではなく、長時間運用時の安定性を重視している点が印象的だった。
また、同ブースではThunderbolt 5対応ドック「Echo 21」および「Echo 20」も展示されていた。両モデルとも、5基のUSB-C、4基のUSB-A、オーディオジャックを備える豊富なインターフェースを搭載する。
Echo 21は内部にM.2 SSDスロットを1基備えており、ドック自体を高速ストレージとして利用することも可能だ。一方のEcho 20は、セキュリティ上の理由から外部ストレージ機能を制限したい企業・組織向けに、あえてSSDスロットを非搭載としたモデルとなっている。
Thunderbolt 5対応PCIe拡張カードがもたらす次世代のパフォーマンス
今回の展示で改めて注目したかったのは、デスクトップ向けThunderbolt 5 PCIe拡張システムである。Blackmagic DesignやAvidをはじめとするプロフェッショナル向け映像機器メーカーの多くは、主要機能をPCIeカードとして提供しているためだ。

実際にNAB 2026のBlackmagic Designブース内「Immersiveコーナー」では、興味深いデモが行われていた。そこでは「DeckLink IP 100G」が4枚使用されていたが、それらはEcho II DV T5 Desktopに格納され、Thunderbolt 5経由でMac Studioへ接続されていた。そしてMac Studio側でスイッチング処理が実行されていたのである。
それに近い構成が、Sonnetブースでも展示されていた。
展示されていた製品ラインナップには、「Echo SE I」「Echo Express SE IIIe」「Echo III」、そして「Echo II DV T5 Desktop」が含まれていた。
中でも注目すべきは「Echo II DV T5 Desktop」だ。このモデルは、2枚の高帯域PCIeカードをコンピューターの2系統のTB5ポートへ直接接続できる構造を採用している。これにより、各カードに対して最大6,000MB/s級のPCIe帯域幅を利用可能としている。
TB5シャーシにPCIeカードを単体で装着した場合に期待できる性能(スループット)についても確認した。回答は以下の通りである。
- PCIe Gen 3.0(x4, x8, x16)接続時: 約3,400 MB/s
- PCIe Gen 4.0(x4, x8, x16)接続時: 約6,300 MB/s
また、Blackmagic DesignやDeltacastのPCIe Gen3対応カードを装着した場合の挙動についても確認した。この構成では、約32Gb/s(オーバーヘッド考慮後の実効速度で約3,500MB/s)の性能が期待できるという。
多くのBlackmagic Design製カードは物理的にはPCIe 3.0 x8スロット形状を採用しているが、Thunderbolt側のPCIeレーン数は4レーンとなるため、実際にはPCIe 3.0 x4として動作する形となる。
この帯域幅の拡大は、ビデオストリームの同時処理数にも直結する。たとえばBlackmagic Designの8KカードやDeltacast製カードを使用した場合、4K60p環境では従来のThunderbolt 3環境で約2ストリーム程度が上限だったものが、TB5環境では約3ストリーム程度まで拡張可能になるという。
同様に4K50p環境においても、Thunderbolt 3で約3ストリームだった構成が、TB5では約4ストリーム程度まで対応可能と見込まれている。
TB5の導入により、これまで帯域不足がボトルネックとなっていた高解像度・多チャンネル映像制作環境は、さらに進化していくことになりそうだ。