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ウェアラブルカメラの新境地を切り拓くべく、プロシューマー向けの新製品「Insta360 GO Ultra」が登場した。重量わずか53gの手のひらサイズのコンパクトボディで4K60Pを実現。超広角156°の広視野角を備え、1/1.28インチのイメージセンサーと5nm AIチップにより、かつてない臨場感と美しい夜間撮影を可能にする。

マグネット式マウントとモジュールアクセサリーで様々なものに簡単に装着できるため、斬新なPOVを自在に記録することができる。プロの求める高画質と手軽さの両立を志向したカメラ、それが「Insta360 GO Ultra」である。

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Insta360 GO Ultraの主な機能

Insta GO Ultra(以下、GO Ultra)は、Insta360のウェアラブルカメラであるGOシリーズのプロシューマー向けに開発された新たな製品ラインアップとして位置づけられており、昨年6月に発売された同社のGO 3Sの後継機という訳ではない。

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GO Ultraの新搭載の機能も含めて主な特徴を挙げると、次の通りとなる。

  • 携帯性に優れたコンパクトな53gの筐体
  • 手のひらサイズで4K60fpsの動画解像度を実現
  • 視界に入るすべてを捉えるべく超広角の156°FOV
  • 1/1.28インチイメージセンサーと5nm AIチップで、優れた低照度性能を実現
  • 環境光センサーがフリッカーを低減し、適切な色温度を再現
  • 水深10m対応IPX8防水等級のカメラ本体 & IPX4 防滴アクションポッド
  • 2.5インチフリップ式タッチスクリーンを搭載
  • 充実のモジュール式のアクセサリー群を利用して、斬新なPOVが得られる
  • リムーバブルmicroSDカードに対応し、ストレージ容量の心配が軽減
  • 簡単切り替えボタンを押すだけで撮影が開始できるので、決定的瞬間を逃さない
  • カメラを回転させることで、ポートレート撮影と風景撮影を即座に切り替えて構図をコントロールできる
  • 紛失防止システムを搭載
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ハンズフリーでPOV映像、感動の瞬間を捉えるInsta360 GO Ultra

GO Ultraは、カメラ単体で46×45.7×18.3mmのコンパクトなサイズと重さ約53gの軽量ボディで、持ち運びの際にも嵩張ることがなく、従来のGOシリーズのコンセプト同様、身につけたり、様々な場所に取り付けたりすることで、大型カメラやスマホでは撮ることができない新鮮な映像を撮影できることが魅力の製品だ。ボディカラーは、白(Arctic White)と黒(Midnight Black)の2色展開だ。

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左:Go Ultra、右:GO 3S

水深10m対応のIPX8防水等級のカメラ本体、IPX4対応の防滴アクションポッドは、雨や雪のような悪天候の最中に撮影をおこなうことが可能であり、濡れた状況でもカメラを安全に交換することができる。

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カメラをアクセサリー等にマウントしておけば、アクションポッドのフリップ式タッチスクリーンから、リモートでリアルタイムモニタリングやカメラコントロールが実行できる。

また、GO Ultraでは、カメラ本体をアクションポッドに戻さなくても、録画した動画のプレビューができるから、カメラを離れた場所に取り付けた場合にも撮影後の録画内容の確認が容易である。

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磁気ペンダントやマグネット式簡易クリップを利用することで、ノーファインダーのPOV(一人称)映像が手軽に撮影可能になるから、ディスプレイを気にせずに、体験をそのまま映像として記録することができる。磁気ペンダントは必要に応じて、ティルト角度を調整することで柔軟に視点の向きを変更することが可能だ。

マグネット式簡易クリップを使って、帽子やバックパック、ペットのカラーなどにクリップ留めして撮影すれば、斬新なPOVが得られる。

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磁気ネックレス。子供にも使いやすい調整可能なネックストラップは、肌に優しい素材で快適に装着することができる
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本体のマグネットはもちろん、粘着タブや吸盤マウントなど様々なモジュール式のアクセサリーを利用して、乗り物やおもちゃなどにも取り付けることができるから、アイディア次第でGO Ultraならではのクリエイティブな映像を生み出す可能性が広がる。

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アップデートされたGO Ultraの撮影性能

GO Ultraにおいて特筆すべきことは、ウェアラブルカメラとしてのコンパクトさを保ちつつ、プロシューマー向けの画質にこだわり実装された撮影性能についてである。

絞りは、F2.85。焦点距離は、35mm換算14.27m。広角レンズカメラのカテゴリーにおいて最大級の1/1.28インチイメージセンサー(GO 3Sは、1/23インチ)が搭載されたことにより、優れた低照度性能と夜間撮影を実現できるようになっている。

また、Insta360のいくつかのカメラモデルに搭載されている環境光センサーが本製品にも導入され、撮影性能を向上させる役割を果たしている。これは光の強さや色温度など環境光の特性を感知するセンサーであり、フリッカーを除去して、本来の色味を再現することに寄与する。

環境光センサーは、1/1.28インチの大型イメージセンサーと組み合わせて使用され、明暗差の激しいシーンでも自然な色彩とディテールを表現する。新機能の「アクティブHDR」や「PureVideo」と協働して、暗所や夜間でも手ブレの少ない高品質な映像を実現できる。筆者の検証した作例では、トンネルから日中の屋外に移動する非常にコントラストの強い場面において「アクティブHDR」を利用することで、違和感のない滑らかな描写が確認できた。また、夕暮れ時の低照度下でPureVideoを使用したところ、ノイズが少なく、豊かなダイナミックレンジを保持したシネマティックな仕上がりが得られた。

また、4K 2xクラリティズームは、センサーピクセルモードを調整することで2倍ズーム時でも、4Kショットを実現している。

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環境光センサー

動画のスペックは、フォーマットがMP4。

最高ビデオ解像度は、4K60fps、最高ビデオフレームレートは、1080p@240fps。アクティブHDRは、最大4K30fpsまで使用可能だ。

最大解像度(フレームレート)が、GO 3Sの4K30fpsよりアップデートされており、激しい動きの撮影においてアドバンテージがある。

ビデオコーディングは、H.264とH.265。最大ビットレートは、180Mbpとなっている。

作例|4K60fps

作例|4K60fps

作例|アクティブHDR 4K 30fps

作例|PureVideo

作例|4K 2x クラリティズーム

充実したGO Ultraの静止画機能

写真モードの最大解像度は、50MP(8192×6144/4:3)である。

12.5MP(4096×3072/4:3)と9MP(4096×2304/16:9)を選択した場合は、HDRが自動的に有効になり、輝度差の激しい環境や複雑な照明の下でもディテールをなめらかに描写するので、状況や目的に応じて使い分けると良い。フォーマットは、JPGとDNG。

その他、低照度下でもカメラ内でノイズの少ない明瞭な写真を生成するPureShot。花火や岩に当たって砕け散る波など、ダイナミックな瞬間を記録する際に最適なLive写真のモードもある。Live写真はGIFよりも高画質で動画よりもファイルサイズが小さく、携帯のアルバムにダウンロードできる。

また、新たに追加された「グロー」と「自撮り」を始めとする7つのフィルターは、色調補正や好みの雰囲気を演出する際に利用できる。

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写真モード 50MP(8192×6144/4:3)
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写真モード 4096×3072/4:3(HDR)
写真モード 4096×3072/4:3(HDR)

超広角FOVでアクションシーンへ対応

Go UltraはGO 3Sの150°からアップグレードされた超広角の156° FOVにより、視界に入るもの、ほぼすべてを幅広い視点で捉えることができる。

垂直方向のFOVにおいて、より広い視野角の映像を撮りたい場合は、16:9のアクションビューモードで撮影するか、メガビューや超広角モードのアスペクト比4:3での4K30fpsで撮影する。

作例|縦使いの垂直方向のFOV、16:9のアクションビューモード

Go Ultraの手ブレ補正には、3段階あり、車やバイク向けの「低」、ロードバイクやVLog向けの「標準」、ランニングなどに最適な「高」から選択できる。360°水平維持は、4K30fps以下の16:9および2.35:1のアスペクト比のみにサポートされている。

作例|手ブレ補正(オフ)

作例|手ブレ補正(低)

作例|手ブレ補正(標準)

作例|手ブレ補正(高)

統計ダッシュボードでは、GPSや心拍数、速度などをGarminのデバイスやApple Watchから同期して映像に追加したり、Insta360アプリのGPSアクティビティ統計を通じて統計情報を収集することができる。新たなデータソースとしてStravaが追加されている。

クリエイティブな撮影を支えるユーザビリティ

Go Ultraではクリエイターにとってのユーザビリティについても様々な改善が施されている。

簡単切り替えボタンを押すだけで撮影が開始できるため、決定的瞬間を逃すことがない。また、カメラを回転させることで、ポートレート撮影と風景撮影を即座に切り替えて、スムーズに構図をコントロールすることができる。

デフォルト設定では、アクションポッドの右側面にあるQボタンを押すか、画面左下にあるアイコンをタップすることで、素早くタイムラプスやハイパーラプスのモードにアクセスできる。

作例|ハイパーラプス

また、新たにリムーバブルmicroSDカードに対応したことで、ストレージが満杯になっても慌ててデータを転送する必要がなく、予備のmicroSDカードに交換して、すぐに撮影を継続することができる。最大2TBのmicroSDカードをサポートしているので、ストレージ容量を心配する必要がなくなったことは有り難い。

バッテリーの容量は、カメラ本体が500mAh、アクションポッド1450mAhで、駆動時間はカメラ本体のみで約70分、アクションポッドと併せて使用した場合、およそ200分である(25℃のラボ環境で、1080p24fpsのビデオモード、耐久モードオン、画面とWi-Fiオフの状態でテストした場合。動作時間は条件によって異なる)。因みに、GO 3Sの場合、カメラ単体で38分、アクションポッドに取り付けた状態で140分である。

充電に関しては、カメラ単体で12分で80%、20分で100%の充電:25℃の(ラボ環境で70%以上の電力を備えたアクションポッドを使用、外部電源に接続せず、カメラの電源をオフにした状態)。カメラとアクションポッドの場合は、18分で80%充電、40分で100%充電(25℃のラボ環境、カメラの電源をオフ、PD3.0 PPS認証の30W USB-Cケーブルを外部電源に接続した状態でテスト。充電時間は状況によって異なる場合がある)。

GO 3Sは、80%までの急速充電が、カメラ単体で23分、カメラとアクションポッドの場合、47分となっている。

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アクセサリーについて

新登場のフレキシストラップマウントは、マグネット式のマウントで、GO Ultraをハンドルバーやサドル下、ヘルメット、ベビーカーなどに装着することができる。簡単に装着可能で、対象物に傷をつけないメリットがある。

また、簡易クリップヘッドバンドをキャップやヘルメットに手軽に取り付けて、臨場感あふれるハンズフリーのPOVランニング映像などをスムーズに記録することができる。GO Ultra専用設計のこのマウントは、ベルクロ付きの伸縮性ストラップで、帽子や頭に直接ぴったりと取り付けることができ、激しい動きにもしっかりと固定され、水洗いも可能だ。

小型軽量のリングリモコンは、一度タップするだけで録画の開始や停止ができる。録画状態は内蔵LEDライトにより表示されるので録画状態の確認も用意だ。サイクリングやランニングにおけるハンズフリー操作に最適である。

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Sticky Tabは、強力テープ付きのマウント。テープについているフックをカメラ本体に取り付けることで、どこにでもマウントできる

まとめ

Insta360 GO Ultraは、あらゆるシーンに対応するハイスペックなウェアラブルカメラとして位置付けられる。

ハンズフリー撮影の場面でも、高画質にこだわりながら、長時間撮影ができることが魅力である。スポーツや車載等のダイナミックなアクションシーンから、Vlog用に記録する日常の風景まで、様々な場面でその真価を発揮するはずだ。高画質、高スペックなので、大型のカメラと組み合わせたコンテンツ制作の撮影の際にも導入しやすい。

至近距離でもシャープな映像が得られる別売りのマイクロレンズを装着して、カメラを子どもの帽子に取り付けて、遊んでいる時に「小さな巨人ショット」の撮影をするのも楽しいだろう。

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「小さな巨人ショット」

GOシリーズの売りである小型軽量の筐体は、一方で落下や紛失につながるリスクもあるが、GO Ultraには紛失防止対策が施されている。

クイックリリース安全コードにより、サイクリングでのクラッシュやスキーのジャンプなどの激しいスポーツ撮影でも、カメラをしっかり保持して落下や損傷のアクシデントを防ぐ。必要に応じて、カメラやアクションポッドを素早く取り外すこともできる。

また、Appleの「探す」機能を使うことで、旅行や日常生活においてGO Ultraをどこかに置き忘れた時でも、カメラの在処を正確に特定し、紛失のリスクを防ぐことができる。

また、GO Ultraでは、ペットのポートレートなど好きな画像をアップロードして、DIYカスタムスキンとしてプリントでき、デバイスをオリジナルの外観に仕上げることができる。

もし、あなたが軽量でコスパに優れたカメラを求めている場合は、親指サイズのコンパクトモデルである前述のGO 3Sが適している。気軽に携帯し、ハンズフリーで楽しく撮影したいというニーズに応えるカメラだからだ。

GO Ultraの販路は、オンラインでは、Insta360公式サイト、楽天市場、アマゾン、オフラインとしては、各量販店やコストコで扱われる。

WRITER PROFILE

染瀬直人

染瀬直人

映像作家、写真家、VRコンテンツ・クリエイター、YouTube Space Tokyo 360ビデオインストラクター。GoogleのプロジェクトVR Creator Labメンター。VRの勉強会「VR未来塾」主宰。