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モニターの枠を超えるAndroid OS搭載ワイヤレスモニター

Accsoonの新製品「CineView M7 Pro」は、これまでのワイヤレスモニタリングの概念を覆す可能性がある1920×1080の解像度と長距離ワイヤレス映像送受信機能を備えたモニターだ。7インチでかつ1,000ニトの高輝度であり、タッチスクリーンを備えつつ、Android OSを搭載。ただのモニターというよりもむしろAndroid OS内のAccsoon SEEアプリでモニターを運用しているタブレット端末という言葉の方が正しいかもしれない(ただし、入れられるアプリには制限がある)。

筆者の所有機材であるキヤノンのシネマカメラ「EOS C400」とCineView Master 4Kを送信機として「CineView M7 Pro」を使用した感想を述べることにする。

パスワード入力不要の即時ペアリング

今回はEOS C400とCineView Master 4K(TX)を組み合わせ「CineView M7 Pro」をRXモードで受信させた。ペアリングはほぼ即時に行うことができた。従来のようにWi-Fi IDを「CineView M7 Pro」側で選択して、パスワードを入力といった接続方法ももちろん可能ではあるが、写真のように、送信側の機器名称の選択、そして、チャンネルのグループを送信機と揃えたときに即時に「CineView M7 Pro」への映像転送が始まった。時間がない撮影現場でのパスワード入力から解放されると思うと安堵した。

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モニター以上の多機能性

「CineView M7 Pro」が優れている点は受信機としての機能だけではない。カメラに直接マウントし、プレビューモニターとして活用するには、この7インチというのは程よいサイズ感である。使用できるLUTはプリセットだけでなくオリジナルLUTをこの機器に放り込むことができる。ImportオプションはSDカードスロット、USB CポートへのSSD接続など様々だ。

このモニターは、実はAndroidのAccsoon SEEアプリで運用しているということは先述したが、それにより、画像や映像のプレビューがタブレットをいじっているかのような感覚で選択、再生ができる。これまでのプレビューモニターは、あくまでリアルタイムで見ることを前提としていたが、「CineView M7 Pro」は、直感的にスクリーンショットの撮影ができ、動画も記録できる。外部レコーダーではないものの、あくまでプレビューするための記録機能に特化しているという点も驚きだ。

Android OSで運用していることのメリットの一つは、自分の好きな映画のシーンのスクリーンショットをこの機器に入れ、実際の撮影現場のシーンとの比較をできることにある。撮影現場にてカラーグレーディング後のファイナルイメージに限りなく近い映像を確認できる。これはすべてのLog映像・RAW映像撮影者にとっては喉から手が出るほど欲しい機能とも言えるのではないだろうか。

安定した伝送性能

写真のように「CineView Master 4K」からの100m距離にて、多少の障害物のある状況でテストしてみた。

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カメラが設置されている箇所を赤丸で囲んだ。約100m離れていても接続できることを確認できた

伝送が止まることなく、継続的に安定して接続することができた。ワイヤレスモニター使用時の接続・非接続を繰り返す悪夢から解放された気分だ。

カメラコントロール機能の現状と展望

多くの人が気にしているであろうカメラコントロールについては、現在のところ提供しているカメラが限定的だ。2025年8月のファームウェアアップデートでは、ソニー機を中心に「FX3」、「FX30」シネマカメラ、「α7C II」などのミラーレスカメラでもカメラコントロールに対応する。つまりタッチフォーカス機能を活用できるということだ。

それだけでなく、色温度や様々なカメラ設定をいじれるとなると、これまでのモニターとは一線を画す存在となっているのが「CineView M7 Pro」だ。

試してはみたが、残念ながらEOS C400では、現時点ではカメラコントロールは実現していない。キヤノンのミラーレス一眼機でも対応ということではあるが、外部モニター使用時にキヤノンミラーレス一眼カメラにかかる制限を考えると、カメラコントロールの実用にはまだ課題が残る。

受信機として活用することで4Kモニタリングにも対応

モニタリング性能は素晴らしいが7インチモニター自体では、フルHD表示である。だが、「CineView M7 Pro」を受信機として活用し、据え置きモニターに映像フィードを送れば、4K高画質を堪能することができ、この機器の真価を発揮できる。

例えば「CineView M7 Pro」の受信機でカメラコントロールを行い、現場のプロデューサーにフィード映像を流すことができるとなれば、必要以上に受信機を増やす必要もなく、コスパよく最高のモニタリング環境を実現できるかもしれない。

総評

Accsoon「CineView M7 Pro」は、多機能かつ直感的な操作性が魅力の新しいワイヤレスモニターだ。

堅牢性が高いところも個人的には気に入っている。Accsoon「CineView Master 4K」との相性もばっちりなので、これからワイヤレスモニタリング環境を構築したい方にとって、必ずや強い味方になってくれることだろう。

渡辺竜平|プロフィール

ハリウッドで映像制作を学び2013年よりセブンシーズピクチャーズとして活動。『書いて、撮って、演出する』映像作家兼スチルフォトグラファー。