ビデオ信号の記録にはアナログ記録の時代からテープが使用されてきた。記録がデジタルになり、さらにHDになったあたりからVTRという物理的なメカニズムに依存したフォーマットから解放され、ビデオ信号はファイルとして記録できるようになった。ファイルとして記録できるということは、記録媒体はテープでもディスクでも、半導体メモリーでもデジタルデータを書き込み保存できる媒体であれば、なんでも利用できるということになる。
一方記録フォーマットも効率のよい圧縮フォーマットが開発され、転送レートや容量を飛躍的にコンパクトにできるようになり、最近ではこうした圧縮フォーマットを採用したビデオカメラが各社から発売になっている。特に、半導体の書き込みスピードの向上と大容量化により、ハードディスクや光ディスクから現在では半導体メモリーを記録媒体にした製品が主流になっている。長年取り扱い易さや価格という面から収録機材はテープが使われてきたが、ここへきていっきに逆転といった様相を呈している。これは、昨年のInterBEEや各社からの製品発表を見るまでもなく如実にわかる現象だ。
映像を捉えるカメラ部分も業務用機はCCDという常識もそろそろ通用しなくなる時期がきた。感度やノイズ、ダイナミックレンジといった撮像素子としてポイントとなる性能面でCCDを凌駕するディバイスが開発され、製品にも搭載されるようになってきたからだ。
今回の特集では、こうしたカメラを選択するための基準や基礎知識、さらには運用面についていくつかのメーカーのカメラのレビューを交えて考察。私、稲田出がナビゲートする。
- レンズとセンサーサイズを考える!
- 押さえておくべきレンズ知識「フランジバック」と「アイリスのF」
- 撮像素子(センサー)を考える!
- カメラの光学系基礎知識
- ファイルフォーマットとワークフロー再考
- 池上通信機:HDS-V10レビュー
- ソニー:PMW-350レビュー
- パナソニック:AG-HPX305レビュー
- ビクター:GY-HM700レビュー
- ソニー:NXCAM(HXR-NX5J)レビュー
- キヤノン:XF300/305レビュー
- 特別編 キヤノンXF305によるクロマキー合成トライアル
- 番外編 ~メリット、デメリットとAVCHD運用の実態~
- 特別編 キヤノンXF300/305開発者が語る
- 特別編 ソニー:PMW-320レビュー
- 特別編 ソニー:NEX-VG10レビュー
txt:稲田出 構成:編集部