カテゴライズできない新領域にNEW OTHERS

これまでの部門に入りきらなかった製品をまとめ、その中から優れた製品を表彰するNEW OTHERS部門。ノミネート基準は特に決められないが、今年コレだ!と思った製品の中から幾つかの目立ったものが選ばれた。

小型モニターでは、ソニーから今年発売された有機ELを採用した「PVM-740」。液晶とは大きく異なる画質の良さと、画像に映らない黒の部分には電流が流れない有機ELならではの、高コントラストと広いダイナミックレンジで、特に黒の諧調がハッキリと映し出すことができる。 ニコンシステムから発売されたノイズ検出装置「VQ-RT101」は、映像素材をリアルタイム検査してビデオテープのノイズを自動検出、テープノイズ/ブラックアウト/フィールドブラックアウト/タイムコードエラー/フリーズなどの映像信号検査に加えて、ピーク/無音/モスキート音などの音声チェックも可能な検査機器。

GoPro HD Motorsports HEROは、NABで登場して来た視野170°のフィッシュアイレンズを搭載したミニHDカメラ。水深60mまでの防水オンボードカメラなど、アクセサリーキットも付属している。スノーボード、パラグライダー、サーフィン、スキューバダイビング、スカイダイビング、レーシングスポーツ全般などでオンボード映像撮影用に使用されている、まさにホビー感一杯の製品ではあるが、飛び道具的な映像が欲しいときのエクストリームなビデオガジェット。

放送局系では、多くのポストプロダクションや放送局にとって、素材アーカイブの悩みから解消してくれる製品として、朋栄のLTO-5ビデオ・アーカイブレコーダ『LTR-100HS』に注目が集まった。すでに業界標準となりつつあるアーカイブメディア”LTO-5″テープに、VTRライクな操作性でデータを管理/アーカイブすることができる。

NewTekのTriCasterはリバイバル的なノミネートとなった製品。ローランドのVR-5同様、USTREAMなどのライブストリーム配信におけるプロツールとして、特に国内では使用用途が見直された製品。スイッチャー、テロッパーに加えて、クロマキーヤー、バーチャルスタジオセットなども同梱しており、多彩な演出が可能だ。

txt:石川幸宏 構成:編集部

PRONEWS AWARD 2010 NEW OTHERS部門ノミネート製品

  • ニコンシステム VQ-RT101
  • ソニー 有機ELモニター PVM-740
  • 朋栄 LTR-100HS
  • GO Pro HD Motorsports HERO
  • NewTek TriCaster

PRONEWS AWARD 2010 NEW OTHERS部門受賞製品発表

NEW OTHERS部門
ゴールド賞
有機ELモニター PVM-740
ソニー
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7.4型Quarter HD(960×540)有機ELパネルを搭載した高精細、高性能の業務用モニター。有機ELパネルは、電流を流すと有機材料が自ら発光する自発光型パネルで、流す電流量により発光の強さをコントロールできる。黒レベルの信号入力時はまったく発光しないため、真の黒を再現、優れた動画応答性を実現でき、動画のぶれや残像の少ない映像を表現可能。また環境温度に左右されない等の優れた特性をもつ。ソニー独自の技術であるSTE(スーパートップエミッション)が効率よく外光を低減するため、屋外撮影時でも実用的で優れたコントラストと広いダイナミックレンジを再現できる。

NEW OTHERS部門
シルバー賞
LTR-100HS
朋栄 
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ファイルベース時代の新たなアーカイブソリューションとして登場した「LTR-100HS」は、最新ストレージ規格であるLTO-5 (LinearTape Open) ドライブを搭載したビデオアーカイブレコーダー。表面パネルの操作感はVTRそのもののデザインを踏襲しており、放送業務やポスプロ従事者に理解しやすい。1.5TBの記録容量とLTFSファイルシステムの採用により、素材/番組交換用のメディアとしての活用が可能。また、HD/SD-SDI入出力、放送品質MPEG-2コーデック、MXF (OP-1a) ラッピング/アンラッピング機能など多数の機能を搭載。LTO-5に記録されたMXFファイルはノンリニア編集システム等での利用も可能だ。

総括

幅広く違ったジャンルの製品の中から、あえて受賞製品を選ぶというのは至難の業だが、今回はその中でも”これから先の何かが見える”製品を受賞選出した。

ソニーの有機ELモニター「PVM-740」は、30万円前後とこのサイズのモニターとしては高額ではあるが、圧倒的なクオリティとその画質感は映像制作者には捨てがたい魅力だ。「LTR-100HS」は、LTO-5というネット販売でも購入出来るメディアでアーカイブできることと、映像制作に慣れ親しんだVTRライクな操作性は現場にすぐにでも受け入れられるレガシーなデザイン。ファイルベース化への移行に向けての堅実な製品設計が汲み取れる。また朋栄がオープンフォーマットに対応する製品を出すのは、企業としても新しいチャレンジだと言える。今後の展開に期待したい。