txt:江口靖二 構成:編集部
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展示会2日目である。昨年が「3D」と「電子書籍」一色だったのに対して今年は、事前情報通り「タブレット端末」がそれこそ星の数ほど展示されている。AndroidやWindows7を搭載したこれらの端末は従来のノートPCを同じように差があるといえばあるし、無いといえば無いといった感じだ。また苦戦が伝えられる GoogleTVもまだまだこれからといった感で各社から続々発表されているので今後の動向に注目したい。
CESは、なんと言っても玉石混合がおもしろい!その中から気になるモノが幾つも見つかるのだ。こうしたメジャーなニュースではないモノを中心にご紹介していく。
あのステディカムがiPhoneなどに対応して驚愕のプライスでついに発売
ステディカムといえばプロフェッショナルの間では言わずと知れたスタビライザーの代名詞である。そのスティディカムがiPhoneや小型のビデオカメラに対応したのがこの「STEADICAM SMOOTHEE」だ。昨年のCESで発表され、日本ではInterBEEでもお目見えしたわけだが、ついに米国内で発売となった。さらに価格もなんど事前のアナウンスを下回る199USドルという設定である。
この手のギアは万人が使うわけではないにせよ、 YouTubeや USTREAMといった動画系サービスがますます注目、利用されている中で、手ブレや滑らかなパンやドリーといったプロカメラマンの特権が、またしても職人技ではなくなるという事態を招くわけである。
これは案外あるかも? デュアルスクリーンのアンドロイド端末
大同小異といった感が否めないタブレット端末の中で、これは案外いいかもと感じたのがNECの「LT-W」だ。7インチ800×600のタッチパネル液晶を見開きで搭載しているAndroidタブレット機だ。
2画面の使い方だが、1画面でWEB、もう1画面で別アプリといった使い方や、最初から2画面を使うといった両方の提案をしている。2画面の前提の例としてはシステム手帳のようなものや見開きの書籍スタイルなどがデモされている。いわゆる電子書籍でも、活字だけの小説のようなケースは左右に見えるのは結局文字の羅列であるためさほど効果を感じないが、コミックや雑誌のような場合にはこれまでの紙媒体に慣れているせいなのだろうか、非常に読みやすく違和感が少ないのが印象的だ。
また大画面に2つのウインドウを展開したケースと比べても、1画面に1情報といった方がどうも人間には適しているように思われた。
早くもあのKINECTに強力ライバルが登場
5日のキーノートで全世界ですでに800万台を販売したと語った「KINECT」。新しいマン・マシンインターフェイスとしてWiiリモコンを凌ぐとも言えるKINECTは XBOX360専用である。そのためになんとかPCでも使えないかと様々なハッキングが行われている矢先に、強力なライバルが登場した。ASUSの「XtionPRO」はUSB2.0接続でWindowsに対応したリアルタイムモーションキャプチャー製品だ。
このWebカムで認識する |
談笑している二人を認識している様子 |
PCゲームは勿論のこと、インタラクティブなデジタルサイネージなどにも応用範囲が広がりそうだ。
究極の3Dを手軽に実現
会場内には今年もメガネ有り無しを含めて3DTVに関する展示がこれまた溢れているといって過言ではない。そんな中でホログラムのように空間上に映像が浮かんでいるかのように見えるのが3次元(3D)ホログラフィック・ディスプレイ「HoloAD Diamond Series」だ。原理は案外ローテクで、筐体上部の天版の裏側に3枚の液晶ディスプレイが組み込まれており、ピラミッドのように斜めに設置されたガラス板に上からの映像が写り込んでいることで、180度どちらの方向から見ても立体的に画像が見えるというわけである。
これが家庭のテレビ用に用いられるわけではないと思うが、展示映像などではその効果を発揮しそうである。ただし価格が5000USドルというのが気になる。
クレジットカード自体にセキュリティ機能を付けてみました
何かとセキュリティが問題となるクレジットカード。昨今はICカード化されてはいるものの、カードナンバーや名前、有効期限などはカード表面に思いっきり書かれたままだ。そこでカード自体にセキュリティ機能を搭載したのがDynamics Incの「The Dynamic Credit Card」だ。
「Hidden」というサービスでは カード自体にABCDEの5つのキーが内蔵されており、これがもう一つの暗証番号となっている。 カード表面のカードナンバーの一部がマスキングされていて、正しい暗証番号を入力しない限りカード面には表示されないし、カード自体も有効にならないというものだ。他にも「MultiAccount」では、複数のカードナンバーを選択できたり、「Redemption」ではいわゆるポイントとクレジットのどちらかを選択できるというものだ。これはカードのセキュリティの標準となっていくのかも知れない。
音楽にマッチした画像を自動で選んであげる
グレースノートといえばわずか二人が趣味的に始めたCDDBからスタートして、いまや特徴量抽出技術を核にした音楽メタデータ生成の中心的な企業であるが、一般コンシューマーが直接その名前を知るわけではない。数年前からCESに、昨年は日本のCEATECにも出展しており、今回のCESではサウスホール2階の入り口正面に巨大なブースを構えている。展示の多くはテレビメーカーやアップルに提供している楽曲メタデータサービスの紹介であるが、今回初めて、楽曲だけではなく画像に関する展示を行っていた。
展示は車の中という設定で、実際にBMWを会場に持ち込み、カーオーディオが再生している楽曲に合わせた静止画を自動的に選択して、後部座席のディスプレイに表示するといったものだ。楽曲のメタデータにたとえばアップテンポとかムーディーとかいったようなメタデータが付加されていて、同様に写真にも付加されて同様のデータをマッチングさせるというものだ。
こうした技術を用いれば、ドライブコースに併せて自動選曲したり、部屋で流れている音楽に合わせてテレビに映像を表示するといったことも可能になるわけだ。ひょっとするとこの選曲や映像選択自体が「誰々セレクト」のような付加価値を生み出すのかも知れない。